第170話『俺、癒しを求める』
作者『今日は読たんにお話があります(ㆀ˘・з・˘)』
潤『さっき感謝してたばっかりだろ!?何でまた“お話があります”系なの!?』
作者『感謝と怒りは別腹だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(バンバンバンッ)』
潤『ドタバタ感情表現しないで!?てか今日は何に怒ってんだよ……』
作者『それは……あとで……ふふ……(目が笑ってない)』
潤『いやホラーじゃねぇか!?前書きだよね!?』
──運転は俺に変わり、車はようやく目的地へと向かっていた。
これで、あの“完全合法巡航車”からは脱出できた。
その代わり、別の地獄が始まった。
後部座席では、
『潤くんの隣に座れるんはウチやろ〜!ノアばっかズルいって〜!』
『潤様の右隣は私のポジションです。法的にも精神的にも』
──カエデとノアによる“正妻戦争”が勃発。
完全に本人の意志を無視した、主語デカすぎ選手権。
『じゅんくーん♡ 次の曲いっちゃうよー!一緒に「恋愛サーキュレーション」歌お〜♪』
『先輩ってこういう曲、裏声で可愛く歌えたりしますぅ?聴きたいな〜♡』
──ミリーとユズハは爆音カラオケ大会中。
生歌。生声。生ボケ。
さっきから**「恋愛」も「サーキュレーション」も“爆音”で粉砕されてるのだが!?
もはやラブでもフローでもない。**耳が痛いんだよ!
『……エンリさん、寝ましたね』
隣を見れば、エンリは微笑を浮かべたまま深い眠りに落ちていた。
この環境で眠れるって、ほんとに人間?
『実況です。潤、現在の精神耐久:残り3。音響ダメージと精神干渉による連続被弾。カウント開始』
リアがなぜか潤の精神状態を実況中。
お前は何の立場だよ!?実況しながら冷静に死亡フラグを刻むな!
「カオスだ……」
これしか言葉が出ない。
というか、出しても無視される。
この車内、会話のキャッチボールじゃなくてみんなで別のスポーツしてる感じ。
「お前らちょっとは静かにしろよおおおおお!!!」
叫ぶしかない!もはや選択肢が叫ぶしかねぇ!!
──だが。
【スキル合成進行率:88%】
「……あれ?」
88%。
──ずっと、88%のまま。
「おい、進んでねぇじゃねぇかぁぁぁぁああああ!!」
この地獄環境で!? この爆音!? この精神ストレス!?
なぜ微塵も動かねぇんだよおおお!?!?
さっきミリーに抱きつかれて事故確定まで行ったろ!?
お前は“合成中”って出したくせにそこから動かねぇのかよ!?!?
「俺だけが焦ってるだけじゃねぇか!!なんだこれ!?どんなバグだよ!?」
『潤様、さきほどから独り言が増えておりますね……心配です』
『病み始めてない?じゅんくん!頭なでよっか?ぎゅーする?』
『ずっとツッコミ入れてるわ!!』
『じゅんくん?ぎゅー欲しいの〜?』
『先輩大胆過ぎますよ〜』
ツッコミが成立しねぇぇぇええええええええ!!!!
何言っても音量にかき消される+合成はピクリとも動かないという新ジャンルの拷問!!
俺は今、何をしているんだ。
どこに向かってるんだ。
目的地は──癒しの温泉。
今の俺に必要なのは──
「もう一回入院じゃねぇのかぁぁああああ!!!」
──そして、目的の宿に到着した。
玄関をくぐると、檜の香りと穏やかなBGMが流れるロビー。
──本来なら「癒し」空間のはず。
だけど今の俺には、全てが前フリにしか見えない。
「はぁ……なんかどっと疲れたわ……」
ボソッと漏らす俺の横で、ユズハがすっと耳元に顔を近づけてくる。
『先輩? “ユズハちゃんに膝枕して~♡”って言ったら……うっかりやってあげちゃうかもですよぉ?』
「癒しが……即座に炎上しそうなんだが……?」
──俺の癒しの旅、ここからだ。
そう思った瞬間──
『ユズハさん、聞き捨てなりませんね?』
ノアの声が、背後から刺さるように飛んできた。
『例え小悪魔でも、潤様にまとわりつく者は──排除対象です』
『だってぇ~♡ ついついからかいたくなっちゃうんですよねぇ〜、てへっ⭐︎』
笑顔のまま、戦場の火蓋が切られる。
あかん、もうロビーが火薬庫。
──が、その間を軽やかにすり抜ける影がひとつ。
『ほな、うるさい二人はスルーして、潤くんいこか?』
そう言って、カエデが俺の腕に絡みつく。
あざと可愛さフルスロットル。
上目遣いやられると破壊力が2.5倍増しなんだよ!!
──だが次の瞬間。
『ミリーも〜っ!!』
ミリーが背後から全力でダイブ!!
「おわっ!?」
潤・腕・カエデの三点セットに、ミリーが突撃してきてバランスが崩れる。
『こらうちが先やで!?』
『ぎゅーに先とか順番とかないもん!ぎゅーは心が感じたらするの!』
『あの、二人とも……潤様が苦しそうなので……離れなさいッ!!』
ノアが割り込んできて──
潤の腕は4人から同時に引っ張られる状態に。
「……両腕ちぎれそうなんだけど!?」
『せんぱ〜い♡ うるさい人たちよりもぉ〜、可愛い後輩がぁ〜』
──ユズハ、胸元に手を当てて小悪魔ポーズ決めてくるんじゃない!!
誰か!俺の理性の残りHP、確認してくれ!!
……その様子を、少し離れた場所から見ていたリアが、ふぅと息をついた。
『はぁ……全く、くだらない……』
──その横で、エンリが穏やかに微笑む。
『ふふ……でも、あんなふうに素直になれるのは……少し羨ましいですね?』
リアがビクッと肩を揺らす。
『べ、別に……羨ましくなんて……』
──その隙を、ユズハが逃すはずもなかった。
『あれあれ〜? リアちゃんも“抱きつきたい”んですか〜?』
『えっ……ちょっ……違……っ』
『照れ屋さんですねぇ〜♡ リアちゃん、照れ屋さん♡』
『照れ屋さんっ!照れ屋さんっ!』
ミリーがぴょんぴょん跳ねながらコールを始める。
リアの耳が赤い!珍しい!!
でも本人が一番冷静装ってるから余計目立つ!!
「いやもう……宿に着いた瞬間から“癒し”が見つからねぇよ……」
【あとがき小話】
作者『うわぁぁぁぁぁぁあああ!!なぁんで!?なぁんで教えてくれなかったの!?!?!?』
潤『……は?』
作者『**「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」**が……!Amazonプライムで観れんの!!今日気づいたの!!!』
潤『え?あぁ、今期新シリーズやってるし、そりゃ前作も観れるようになるだろ』
作者『違う!!問題はそこじゃない!!誰も教えてくれなかったってことなの!!』
潤『誰が!?誰がそこまで面倒みてくれんだよ!?』
作者『そこの震えてる読たん!!!!』
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる……
潤『いやお前それ完全に八つ当たりだよ!?読たんは今、視線が“宙”にいってるから!!』
作者『昨日の夜、観れてたんだよ!?でも私は違った……!何してたと思う!?
寝落ちしながら“おすすめYouTuberの仕事風景ランキング”観てたんだよ!?!?』
潤『何その微妙な選択!?いやそれはもうお前の責任じゃん!!』
作者『ああああああっ、時は戻せないのかっ……!?……くっ……』
(バッ!)
作者『決めた!!**今から観る!!**読たんは見守りなさい!潤は……そうね、マックでポテトL買ってきて!!!』
潤『なんで俺がお前の青春ブタ野郎鑑賞タイムを支援しなきゃいけないんだよ!?』
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる……
作者『あ、読たん……そんなに震えなくても大丈夫。怒ってないから。……ううん、ちょっとだけ怒ってる』
潤『怒ってんじゃねーか!!』




