第165話『俺、転職先を見つける』
作者『今日は…………そう!活動報告を書きました(涙)』
潤『いやテンション死んでんじゃねーか。語尾に魂が乗ってねぇよ』
作者『だってぇ……いっぱい書いたのに……反応が……(震)』
潤『まぁまぁ元気出せよ?ほら、俺なんかバニー服とかどうでもいいし。
俺はゴスロリ派だし。』
作者『え?ちょっ、潤のゴスロリは誰得なの?てか誰着せる気なの!?』
潤『……読たん』
作者『やめろォォォォ!!!!!!!(活動報告の話どっか行った)』
⸻
今日のまとめ:
バニーは沈んでも、ネタは沈まない。
読たん、ごめん。そしてありがとう。
「……まさかこの俺が……お前ら素人にやられる日が来るとは……」
床に倒れ、手足を拘束された黒コートの男──通称プリンスが、虚空を見つめて呟いた。
いや、こっちはこっちで思ってるからな?
お前がまさか“布団もっこりトラップ”にハマるとは、こっちのセリフなんだよ。
「パシャ♪ いぇーい☆」
「はいっ、変顔でもう一枚っ! はーい、チーズ!」
……っておいおい。
なに勝利記念のフォトブース開設してんだユズハとミリー!
完全に“旅の思い出 in 暗殺者拘束中”みたいになってるじゃねぇか!
しかも──
「プリンス氏、目線お願いしまーすっ!」
「……断る」
「ノリ悪っ!? こんな可愛い女子に囲まれて記念写真って、人生でそう何回もないよ!?」
「拘束されてる状態で言うセリフじゃねぇよ」
なんか、段々哀れに見えてきたぞ。
「……本当に俺は、こんな奴らに……負けたのか?」
そう言って、プリンスはゆっくりと顔を伏せた。
うわ……これは逆に心にくるやつ……。
ちょっとだけ“被害者ヅラ”が板についてきたというか、
こっちが加害者みたいな空気になってきたじゃねぇか。
「潤……お前は一体、何なんだ?」
唐突にこちらを向き、プリンスが俺を凝視してくる。
「……俺の名前を、いや、それ以上の何かを感じ取り……いくつもの奇妙な能力を使う……」
(ぎくぅっ……!?)
お、思いっきりバレてるーーーっ!?!?
やっぱアイツ……才能奪取されてること、なんとなく感覚で分かるのか!?
「ほ、ほらー……社長兼手品師? みたいな?」
ユズハが苦し紛れに放ったフォロー(?)が場に響く。
「手品師……か」
ため息をつきながら、プリンスはまた顔を伏せた。
「……一度目、貴様を襲った時から、私の“暗殺”の精度が落ち始めた。
……ノウハウも、感覚も、まるで削られていくように──」
うわあああああこええええ!!!!
なんだよその“奪われる側の実感レポート”!? やめろやめろ不安になってくるだろ!?
「そして私は──三度も貴様に、ゴムのナイフで首を掻かれた……」
「お前……奪えるんだろ? どうやってるのかなんて、見当もつかんし信じられんが」
「だ……だとしても……ど、どうする気なんだよ……?」
「ふふっ……どうもしないさ。……ただ、興味は湧いた」
「いやいやいや!? いらねーよ男からの熱烈アプローチとか!!」
マジでそっち方面の執着は勘弁してくれ!!
「アプローチか……どうだ? 俺の元で、仕事しないか?」
「どこの業界のスカウトだよ!? っていうかお前まだ拘束されてるんだけどな!?!」
「……冗談だ。こんな状態だしな」
そう言いつつ、プリンスはまた溜息を吐いた。
くそっ……この状況で“余裕風の演出”出してくるの、地味にムカつく。
その時、カエデが社員を引き連れて部屋に入ってきた。
「おーい潤くん、大丈夫かー? こいつら見張っといて! 今警察呼んであるけど、
普通の警官来たって逃げられたら困るし、上からの応援待っとるわ!」
「了解しました! こっちで確保します!」
「私ら元傭兵なんでぇ! 逃げられませんよぉ!」
やたら頼もしい社員たちが、サッとプリンスの周囲を取り囲む。
この会社、本当に採用基準おかしいよな。
「潤さん、傷口は……!?」
「……あまり無理をされては……」
エンリとノアが心配そうに駆け寄ってくる。
あぁ、そういえば……俺、刺されてたんだった。
そうか、治療途中でバタバタしてたから、忘れて──
──あれ、なんか力が……
「あっ……ちょっ、潤様!?」
「潤くん!?」
ずるっ、と足が崩れて、そのまま床へ倒れ込む。
(あー……これ……)
(生きるか死ぬかで……必死すぎて……完全に忘れてたけど……)
(思い出した瞬間、現実が殴りかかってくるのやめてくんね!?)
『潤様!?』
ヒロインズの心配する声が聞こえる───
俺はそのまま意識を失い、再び病院へ運ばれた。
そして──
俺が病院へ運ばれている最中
拘束中のプリンス、
治療中のサイレントアサシン、ポイズンフェアリー──
三名、脱走。
その後、行方不明。
依頼人の情報も聞き出せないまま事件は幕を下ろした
【あとがき小話】
エンリ『潤さんの予定は、すべて私が管理しています。
起床時間、食事傾向、天候に合わせた服装選びまで──安心して任せてくださいね』
ノア『ええ、行動履歴や交友関係も全て把握済みです。
“どの時間帯に、誰と話すとストレスが上がるか”まで記録していますので』
エンリ『この時間は誰と話すと心が安らぐか──まで反映して動いていますから』
ノア『もちろん、“誰と会うべきではないか”も含めて』
──その時。
物陰のすみっこ。
イヨ『…………(ぷるぷるぷる)』
イヨ(こ、こわ……こわい……!な、なにその……完璧すぎる観察……!)
イヨ(う、うぅ……イヨ、潤さんに何かしたわけじゃないのに……
な、なんか……知らない間に地雷踏んでそうでこわいですぅ……)
イヨ(も、もしかして……いつか見つかって、“会うべきじゃない”って判断されちゃったら……)
イヨ(ぅぅ……そ、そのときは……せ、せめて……や、優しく……距離を取ってください……)
潤(……って、なんで俺の後ろから“処刑される人の祈り”みたいなのが聞こえてんの!?)