表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
184/262

第161話『俺、病室』

作者『今日はエーペックスをやりました。

……ランクは、全然上がりませんでした。』


潤『本当に日記やるのかよ』


作者『えーーえーえーやりますとも!

コメント5件来るまで続けますとも!!』


潤『目標ひっく!?志望動機みたいなノリ!?』


作者『……で、でも……今の宣言、逆に“誰もコメントしなくなる”パターンじゃないよね!?』


潤『自分で死亡フラグ立てにいくのやめろ』



 


──目が覚めた。


 


薄暗い天井。微かに漂う消毒液の匂い。静寂。鈍い痛み。


そして、硬めのベッドの感触と、ゆっくりと脈打つ胸の内側──


 


(……あれ?)


 


静かに視線を横に向けると──


 


そこには、金色のモヒカン頭があった。


 


「……モヒカン……?」


隣のベッドに寝ているその男は、どう見ても“悪役No.3”みたいな見た目なのに、安らかな寝顔だった。


 


(ああ……うちの社員だった……)


 


さらにその奥には──


小太りでハゲ気味のおっさんが寝ていた。


 


(……誰?)


 


──いや、よく見たらポイズンフェアリーだ。

顔が腫れてて一瞬わからなかったけど。


 


(ってか何この病室!?カオスか!?)


(なんで“俺+元暗殺者+社員”っていう構図なの!?)


 


俺はゆっくりと身を起こそうとして──


 


「っ……!」


 


ビリッと腹に痛みが走る。


下を見ると、腹にグルグル巻きの包帯。

腕にも、胸にも、何箇所かしっかりとした処置がされていた。


 


(……そうだ)


 


あのとき──

あの“黒コートの怪物”と戦って。


俺は……暗殺術を手に入れて──


 


(……でも、その後……)


 


意識が途切れた。


それ以降の記憶がない。


 


(……みんなは?)


(リアは?ノアは?カエデやミリーたちは……?)


 


ぼんやりとした不安が、胸の奥に浮かび上がる。


全身が重い。瞼も、心も、どこか鈍くて。


そのとき──


 


「潤さん!!」


 


──病室のドアが勢いよく開いた。


風圧と共に飛び込んできたのは──エンリだった。


白衣の上からエプロンを着たような姿で、手には温めたおかゆのトレイ。


 


「潤さん……! 本当に、良かった……!」


 


目を潤ませながら駆け寄ってくる。


彼女の表情には、安堵と──ほんの少しだけ、怒りが混じっていた。


 


「どうして……一人で突っ込んだりしたんですか……」


「いや俺もあんなになるとは思ってなかったというか……」


 


──と言い訳を口にするよりも早く、


 


「でも……無事でよかったです、本当に」


 


エンリはそっと俺の手を握りしめた。


柔らかくて、あったかくて、包み込むようで──


 


──そして、ドアがもう一度、全力で開かれた。


 


「じゅんくーん!!」


ミリーだった。


今度はバンっと飛び込んできて、まるで弾丸のように俺に抱きつく──


 


「ちょ!? いった!! お腹!! お腹にミリーーーーッ!!」


 


「えええっ!? ごめんっ!? えっ!? 死ぬ!? じゅんくん死ぬの!?」


 


「今のでまた病院送りになるのは嫌だぁぁぁぁぁ!!」


 


(すでに病院にいるわボケェ!!)


 


──さらに、またしてもドアが音を立てて開く。


 


「潤様、お加減はいかがですか?」


 


ノアだ。


すでに病室の椅子を独占しているポーズで、なぜかティーカップを傾けていた。


 


「潤様が目覚めた瞬間から──私はここにいました」


 


「いや、今入ってきたの見たよね?リア、録画してたよね今の」


 


「……ええ。入り口のモーションセンサーが反応した記録、残っています」


リアも来た。パッド片手に淡々と入室。


俺の病室、完全にフリーパス状態なの!?


 


──そして。


 


「ごっめーん♪遅れちゃったぁ〜」


 


最後に現れたのは──カエデ。


病室のドアを片足で器用に開けつつ、両手いっぱいに差し入れを抱えて入ってくる。


 


「潤くんの好きそうなもん、めっちゃ買ってきたで? プリンとゼリーと、あとカレーと牛丼と──」


「多いわ! セレクトの振れ幅もでかすぎだろ!!」


 


気づけば、病室は満員。


いや、もう定員オーバーで消防法に違反してるレベルだ。


 


でも──


 


どこか、安心した。


それぞれがそれぞれの形で心配してくれて、こうして集まってくれて。


身体はまだ痛むけど──


心だけは、妙に軽かった。


 


──と思ったのも束の間。


 


「では、誰が一番潤様のそばにいたか、順番を明確にしましょう」


ノアが不穏な空気を放ち始め、


 


「うちは昨日の夜から病院の前に車泊してたで?」


カエデが火に油を注ぎ、


 


「ミリーはずっと病室の前でねてたのー!」


「潤さん、私が包帯替えしてたんですからね?」


「私はモニタリングと監視カメラの解析を──」


 


「──ああもう!!やめろ!!病人の前でバトるな!!」


 


病室は一気に修羅場モードへと突入した。


 


──静かな目覚めなど、どこにもなかった。






あとがき小話:外部戦力、猫耳にゃんモード突入


 


潤『……で、なんで俺の原稿に、猫耳つけた3人が追加で出てくんの?』


 


久松先輩『いや〜噂っすよ?“猫耳つけたらランキング伸びる”って。

てことで、潤くんもやっぱり男の子っすよね〜にゃん♡』


潤『やめろおおおおおお!?その“すね〜にゃん”って語尾、性癖に突き刺さる音してるんだけど!!』


 


ツバキ『くだらない……実にくだらないわ……。

猫耳だの、媚びだの、こんな低俗な文化……品性を疑うにゃん』


潤『なんでお前がノリノリで装着してるんだよ!?“猫耳すら引き立てる”じゃないのよ!!』


ツバキ『当然よ。私レベルなら、装飾すら格上げするにゃん』


潤『何その“逆・猫耳補正”……!お前の自己評価どこまでインフレしてんだよ!!』


 


──すると、後ろからひょっこり現れたのは──


 


サイレントアサシン『ふぇぇ……なんで猫耳にゃん……。

ステルスミッション中なのに、耳がピコピコ動くにゃん……』


潤『いや一番かわいそうなの来たーーーーー!!!』


潤『っていうかお前、暗殺ターゲットの家に“ふぇぇぇ”って泣きながら侵入してんの!?』


サイレントアサシン『ご主人様に言われたにゃん……「猫耳装備しないと反応率下がる」って……』


潤『誰だその命令したやつ!!出てこいよ!!──アイツだな!?(原作者)』


 



 


【潤の心の叫び】

「猫耳の影に、地獄あり。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ