第160話『俺、逃げて、殴られて、拾って、奪う』
作者『今晩はこんばんは、辛味噌ラーメン食べました(ドヤ)』
潤『……だから?以外の感想が出ねぇよ!』
作者『いやさ、最近気づいたんだけど……これ、もう“前書き”じゃなくて“前書き小話”でよくね?』
潤『いや読たんはさぁ……どんな気持ちでおっさんの食生活読まされてんだよ……』
作者『大丈夫、ラーメンの話だけじゃないよ?今日のハマりは──“ごま団子”です。あとセブンの冷凍カニクリームコロッケが神』
潤『おいッ!!勢いで食レポ増やすな!しかも“あとがき”じゃなくて“前”にすんの!?』
作者『え?だって……コメント来ないならもう、作者の生活で釣るしかないじゃん(真顔)』
潤『それは一番やっちゃいけねぇ努力!!』
作者『というわけで本編いきまーす! ラーメン派はいいね、団子派はブクマ、カニコロ派はコメントよろしく!』
潤『……すげぇ。読たんの気持ち全部無視して進行してる……』
俺は今──
全力で耐えていた。
いや、全反射で命を繋いでいた。
拳が飛んでくる。回し蹴りが唸る。肘打ちが骨を砕こうとする。
その一撃一撃が、まるで戦車砲のような威力で襲いかかってくる。
(くそっ……!どんだけ全力なんだよ……!)
俺は【反射強化(Lv4)】と【格闘(Lv8)】をフル稼働させ、なんとか急所だけは回避している。
だが──
「ぐっ……!」
一撃。肩を掠めた拳が、骨ごと肉を捩じ切る。
視界が揺れる。
血が流れる。
意識が、砂のように崩れていく。
(っだぁぁぁもう!!)
(体力バー赤点滅どころか、画面が白黒になりかけてるぞ!!)
プリンスの動きはむしろ加速していた。
怒りに燃えた肉体は、理性を超えて“戦闘本能”だけで動いている。
(これもう“殺意MAX状態”って表示出るやつだろ!?)
──そして、最悪なことに気づく。
(この状況じゃ、“才能奪取”の発動タイミングがねぇ……!)
ウインドウを開く──そのたった1秒すらも許されない。
それほどまでに、今の俺は“ギリギリ”だった。
そんな中──
「潤っ!!」
リアの声が、空から落ちてきた。
いや、空じゃない。アパートの2階からだ。
『飛び降りなさい!!』
「飛び……おり……えっ、ここ2階なんですけど!?アパートの2階なんですけどおおおおお!?」
だが、迷ってる暇はない。
後ろから、プリンスの“暗殺ラッシュ”が迫ってくる。
「くそったれがぁぁぁぁぁぁ!!」
俺はもう、反射的に“人生から飛び降りる覚悟”で飛んだ。
──ドン!
「ぐっ!?」
ボフッ!
着地地点には、でかいクッション。
そして──
「潤さんっ!!」
「じゅ、じゅんくぅぅぅぅん!!」
クッションごと、俺を受け止めてくれたのは──エンリとミリーだった。
エンリは目を見開きながら、俺の身体をすぐに支え、
ミリーはもう今にも泣きそうな顔でぎゅっと俺を抱きしめた。
「……助かった……ッ!」
本音が漏れた。
ほんの少しでも、そう思った。
──が。
「逃がすかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
怒声。
プリンスが、2階から飛び降りてきた。
(なんの躊躇いも無く降りれんのかよ?!!)
──そして次の瞬間。
キキィィィィィッ!!!!!
爆音を上げながら突っ込んできた軽トラが、空中のプリンスを正面から弾き飛ばした。
「潤様っ!ご無事ですか!?」
ハンドルを握っていたのは──ノアだった。
ドレスの裾をなびかせ、凛とした目で運転席から降りてくる。
「彼に指一本触れさせません!」
──しかし、プリンスは。
弾かれても、壁にぶつかっても──立ち上がる。
「…………ッ……グ……」
その目からは、もう“人間性”のようなものが消えていた。
──が、次の瞬間。
バァン!!
もう一台、今度は黒いバンが滑り込む。
スライドドアが勢いよく開いて──中から聞こえたのは、聞き慣れた声。
「よっしゃぁぁぁあああ!!黒コートぉ!?敵確定やろぉがぁ!!」
──カエデ参戦。
そのまま、バンの中から社員たちが雪崩れ込む。
筋肉。グラサン。元傭兵。
社内の“最強”集団が、一斉にプリンスへと突っ込んでいった。
「おりゃあぁぁぁ!!」
「うちの社長に手ぇ出したらどうなるか教えたるわぁぁ!!」
グシャッ! ドカッ! ベキィッ!!
音だけ聞けば犯罪現場である。
──いや、現場で間違いないのだが。
プリンスが一瞬、動きを止めた。
──隙が、生まれた。
(今しかねぇ!!)
俺は朦朧とする意識の中、ウインドウを開いた。
【スキルウインドウ展開】
【奪取対象:薩澤プリンス】
悪事:傷害 殺人未遂
スキル:気配遮断(Lv6)/存在感抹消(Lv3)/暗殺術(Lv7)/格闘(Lv9)/精神耐性(Lv7)/射撃(Lv7)/戦術(Lv7)
【才能をランダムに奪いますか?】
「──イエス……」
──取得スキル:【暗殺術(Lv7)】
ウインドウに、重く煌めく文字が表示された。
──その直前、ミリーの泣きそうな声が、遠く響いた気がした。
「じゅんくん!?じゅんくーん!!」
それを最後に──
俺の意識は、闇の中に沈んだ。
あとがき小話『夏の怖い話(物理)』
作者『……夏ですね』
潤『急に語り口!?』
作者『というわけで今日は、“ちょっと涼しくなる話”でもしようと思います……』
潤『あ、ホラー系ね?いいじゃん、夏っぽくて──』
作者『題して──
「俺の周りにいるヒロインたちの方がよっぽど怖い件について」』
潤『あぁもうオチが見えた!!!』
⸻
◆ノアの場合
ノア『潤様、万が一……私以外の女性に“ありがとう”と笑いかけたら……その日のうちに……』
潤(こいつ、無言でスケジュール消すタイプだ……)
ノア『私は穏やかです。ただ、“潤様が誤る可能性”に備えて、全自動通話監視システムを開発中です』
潤「それは人間が使うもんじゃない……」
⸻
◆カエデの場合
カエデ『え?他の子とLINEしてた? あーそっかそっか、ほな潤くんのスマホ、ちょっとだけ預かっとこか〜♡』
潤(“預かる”のテンションが刑事ドラマの証拠品……!)
カエデ『大丈夫大丈夫♡ ウチが全部“処理”しといたるからっ♪』
潤「なぁそれ、“既読”じゃなくて“終読”って書いてないか……?」
⸻
◆ミリーの場合
ミリー『じゅんくーん!だいすきーーーっ!!!』
潤「ちょっ、ミリー!社内で飛びついてくんなってば!いやだから!今会議中!」
ぎゅー
潤「仕事中のぎゅーやめろォォォ!」
ミリー『だってじゅんくんに会えて嬉しかったの〜っ♡♡♡』
潤「怖い。社内での立場が怖い。」
⸻
◆ユズハの場合
ユズハ『先輩〜♡ 今日も“あの件”でお疲れですよねぇ?』
潤『は?なんの件だよ!?』
ユズハ『だってSNSで「潤くん、ユズハと付き合ってたの隠してた」とか話題になってましたし〜♡』
潤『待て待て待て待て!?それ誰が流したんだよ!?』
ユズハ『私♡』
潤『一番怖ええええええええ!!!!!』
⸻
◆リアの場合
リア『……人間の恐怖の8割は、合理性の崩壊に起因します。』
潤「唐突に論破始めるな!?」
リア『例えば、貴方の財布のレシート履歴、すでに分析済みです。交友関係も金銭管理も含めて──』
潤「お前が一番ホラーだよ!!冷静に情報で追い詰めるな!!!」
⸻
◆エンリの場合
エンリ『潤さんが、疲れている時。迷っている時。心がささくれた時……』
潤「うん、そんな時は癒してくれるんだよな、エンリは」
エンリ『はい。代わりに私が全部決めておきました』
潤「選択肢がゼロだこれぇぇぇ!!自由のない優しさって怖いんだな!!」
⸻
作者『ということで、“納涼・ヒロインホラー2025”でしたっ♪』
潤『全部俺の周りの話!!なんなら現実!!日常がホラー!!』
作者『ご感想、コメント、その他“読たんの夏の恐怖体験”もお待ちしてます♪』
潤『……いやほんと、読者だけでもまともであってくれ……!』