第146話『俺、ラブアンドピース』
【読たんへお願い!】
作者の夢──
ヒロインの薄い本です!!(ドン!!)
え?真面目な目標じゃないって?
うるさいっ!!
作者は本気なんです!!!(大事なことなので3回目略)
この夢を叶えるためには──
もっともっと!この作品が知られなきゃダメなんです!!
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評価
ブクマ
コメント(なんでも嬉しいです、雑談感覚でOK)
リアクション
あなたのアクション、全部が……
“読たんの一押し”が、作者の魂の着火剤になるんです!!
あなたが思っている以上に──
あなたのリアクションやコメントに、作者は救われています。
ブクマ、評価、コメント、リアクション。
その一つ一つが、
「ちゃんと届いてるんだ」って教えてくれるんです。
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可愛いけどやべー子たち!
愛しいのに社会壊すヒロインたち!
このバカで全力で尊いヒロインたちを、
もっと世界に広めるために──
お願い!
あなたの「読んだよ」が、作者のエネルギーになるんです!
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今後の目標:
「薄い本、ください」って言われるくらいのヒロインズを育てたい!
その第一歩を、あなたの一票で……!
しばらくしていると、久松先輩が──
むくり、とゾンビのように起き上がってきた。
『潤君……おはようっす……腹減った……なんか買いに行くっす……』
その瞬間──
ぐぅぅぅぅぅ~~~~~~~~
……って、腹の音で地響き起きてません!?
音だけは完全に怪獣クラスなんだけど!
そして、ふらっ……ふらっ……
『お、おい先輩!?』
机にごつん──
椅子にがたん──
……ピタゴラスイッチかよ。
『もう! わかったよ! 買ってきますよ! 何が欲しいんですか!?』
『自分で選んだ! カップ麺だから……!』
ぐぅぅぅぅ
『美味しんでしょーがーーー!!』
ぽこぽこぽこぽこ!
『イテッ、わ、わかったから殴らないで!? ならもう不安なんで、俺も……ついていきますよ!!』
──かくして。
深刻な栄養失調(?)の久松先輩を連れ、俺は近くのコンビニへと向かうことになったのだった。
『先輩? どこまで行くんですか……? もうローソンもファミマも通り過ぎましたよ?』
『今日は蒙古タンメンにトッピングの気分なんっす~』
え……普通のセブン飯なのに言い方がプロっぽい!
っていうか「気分」ってなに!?気分で店を三軒スルーすんな!
『潤君は、まさか──どノーマルで食べるトーシローっすか?』
『カップ麺に素人もプロもないでしょ……』
『ふっふっふ……これだからカップの世界を知らない者は……』
いや、知らねーよその界隈!!
ラーメン評論家みたいな顔しやがって!
お湯を入れて三分のくせに!!
そう思いながらも、俺は無言で後ろをついていった。
──到着、セブンイレブン。
『いらっしゃセーッ!!』
自動ドアの音がまだ閉まりきってないうちに、久松先輩は迷いなく蒙古タンメンを2つカゴにぶち込む!
そして──納豆、ゆで卵、韓国海苔。
(えっ……うまそう……くそ……なんかムカつくけど、うまそう……)
だがそれはまだ序章──
『忘れちゃいけないのがコレっすよ〜〜! セブンプレミアムの──豚の角煮ぃ!!』
ドヤ顔で角煮を掲げる先輩。
『3ヶ月に1回の贅沢なんっす……今日は特別講義っすよ……カップ麺とは……ッ!を教えてやるっす……』
(なんだよ……なんだよその熱量……)
『……先輩、俺……どこまでも着いていきます!!』
──というわけで、ラーメンアーティストのレクチャー付きで会計を終えた俺たちは、店を出て帰路についた。
その時だった。
ズシン……ズシン……
──明らかに空気の違う男が、向こうから歩いてくる。
プロレスラーかってぐらいのガタイ。Tシャツが破けそうなほどピッチピチ。腕が太すぎて影ができてる。
あいつだろォォォォ!? 絶対あいつだろォォォォ!!!
『せ、先輩!!』
『ちょっと! な、何するっすか潤君!?』
俺はとっさに久松先輩の手を引いて、裏道にダッシュで飛び込む!!
『無理無理無理無理無理〜〜〜!? なに!? どう倒せってんだ!? あんなの!?』
息を切らす俺の横で、久松先輩がフラッと立ち上がり──
『はぁ……こういうときは……』
息を整えて──
『お巡りさーーーん!! 変出者っすーーーー!!!!!』
すると──
「そこの君! 止まりなさい!」
『え?』
思わず立ち止まったのはあの大男。気づけば四方八方から制服姿が──
「ダメだよ〜そんな格好で歩いちゃあ! かなりね!苦情来てるの!」
「ほら、こっち来て話聞こう? ね?」
どうやら……
もともと別件で通報されてたらしい……。
(いや、それにしても……服装アウトすぎるだろ!?)
(サイレントアサシンといい、この世界のプロ……方向性どうなってんだ!?)
──だが俺は今! 全身全霊の叫びをこめて!
『そんな格好してるからだァァァァァァァ!! 捕まるんだァァァァァァ!!! バァァァァァァカァァァァァァァァァ!!!!!!』
叫んだ。全力で。
魂の絶叫だった。
理不尽な恐怖からの解放を込めた、叫びだった。
──そして今、俺は思う。
今日は──
いつもの5,000倍、カップ麺が美味い気がするッ!!
こうして──
俺と久松先輩は電柱社へと無事に帰還した。
久松先輩特製、トッピング全部乗せの蒙古タンメンを食べながら、俺たちは静かにその余韻に浸っていた。
『最高っす……これでリアちゃんの無茶振り……あと3回は耐えられそうっす……』
『ああ……まさか……カップ麺の世界が……これほどまでとは……』
幸せとは──こういう日常のことを言うのかもしれない。
──その時だった。
ガチャッ。
『じゅぅぅぅんくぅぅぅぅぅん♡ ミリーがギューしてあげるのぉぉぉ♡』
……は?
声は──ミリー。
だが──その声質は……
(ゴリッゴリのオッサンボイスぅぅぅ!?)
恐る恐る、ゆっくりと振り返る俺──
そこには、
・パッツパツの子供サイズワンピース
・ミリー風の茶色いウィッグ
・そしてヒゲ面のガチムチオッサン(180cm・たぶん100kgオーバー)
という、どう取り繕っても地獄絵図が立っていた。
『ギュ〜〜♡』
『ぎゃあああああああああああ!?!?!?!?!?!?!?!?』
ハグは、なんとか紙一重で避けた。
キモい……キモ過ぎる!!
『近寄るなァァァァァァァァァ!!!』
俺は部屋を飛び出す。
いや違う。これは逃走だ。全速力の、全力逃走だ。
『なんなんだよあの変態野郎はァァァァァァァァァ!?!?!?!?!?』
【あとがき小話:リアの夏の休日 — 一日編】
06:00
目覚めは静かに。アラームは使わない。
自然光と体内時計が告げる「いつも通りの朝」に、リアは軽くまばたきをするだけ。
「……今日も、変わらず朝が来ましたね」
身支度を整える手の動きも無駄がなく、習慣に一切の迷いはない。
けれど、鏡越しにふと立ち止まり──
「……このまま何もしなければ、“変わらない”まま、ですか」
表情の変化はないまま、瞳だけが僅かに揺れた。
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07:00
朝食は冷製スープとトースト、サラダを軽く。
食べながら、タブレットでニュースと──潤のSNS投稿の履歴を確認。
「昨日の更新は……午後8時17分」
何の意図もないかのように見えて、
ログイン時間、書き出しの傾向、絵文字の有無──全て記録され、データに落とし込まれていく。
「“今日は珍しく早めの更新”……ですか。……ふふ、面白いですね」
誰にも聞こえない笑みは、意識的に抑え込まれる。
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09:00
近所の大学図書館へ。目的は資料の閲覧──のはずが、
持参したメモにはなぜか**「潤が好きそうな夏の話題」**のリストが並んでいる。
・夏祭りの起源
・スイカの品種と糖度の差
・蝉の生態と騒音レベルの相関関係
「……この辺り、会話のとっかかりにはなるでしょうか」
真面目すぎる下調べをしながら、リアは本のページを静かにめくる。
その横顔は誰より真剣で、でも少しだけ──不器用に、恋をしている。
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12:00
帰宅後、冷やし中華を手際よく準備。
でも「潤なら辛子は入れないだろう」と推測し、使わずに仕上げる。
「……別に、誰かが食べるわけではないのですが」
それでも、味見しながらどこか納得したように頷く姿には、
“誰かのため”を想定して生きる優しさが滲んでいる。
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13:00
エアコンの効いた部屋で、ノートPCを開き分析作業。
けれど、集中力は完璧でも、カーソルはついSNSの方に寄ってしまう。
「……今日も、反応はなし。……別に、期待など……していません」
そう言いながら、指は止まる。
そしてそっとタブを閉じる。
「“会わない時間こそ、己を整えるべき”──でしたね」
誰に向けるわけでもなく、静かに自分へ言い聞かせるように。
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15:00
散歩がてらに書店へ。
新刊コーナーの端で立ち止まり、思わず手に取ったのは──
『心理誘導と日常会話における無意識影響論』
「……これは、潤が以前、話題にしていた……」
胸が小さく跳ねる。
しかしすぐに理性で沈め、静かにレジへ向かう。
“欲しいのは本ではなく、あなたの声”だなんて、
言えるはずもない。
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17:00
帰宅。静かな部屋で読書。
しかしページが進まない。
耳が蝉の声や外の雑音を拾ってしまう。
「……隣の部屋の子ども、今日は遊びに出かけているようですね」
どうでもいいような情報すら、心を紛らわす“音”として必要になることもある。
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18:30
シャワー後のリラックスタイム。
普段はつけない香水を手に取る。
ふわりと香る夏柑ベースの香りに、微かに顔を上げて──
「……これは、あの時、少し反応していましたね」
リアにとってそれは、ただの香りではなく、
**過去の潤の“視線の温度”**を思い出させるスイッチでもある。
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20:00
夜のまとめノートを書く。
潤の行動傾向、言動パターン、他ヒロインズとの距離感。
すべて冷静に、淡々と──
……のはずだった。
けれど、ページの隅に小さく、走り書きが残されていた。
『次に会ったとき、少しでも“自分だけ”を見てくれるように』
ページを閉じる手が、微かに震えていた。
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22:00
ベッドの中。
部屋は静かで、どこか肌寒いほどエアコンが効いている。
それでもリアは、タオルケットを首元まできっちりと掛け、
瞼を閉じながら──
「……潤、今日も……何事もありませんように」
その声には感情がない。
けれど、その祈りだけは、誰よりも切実だった。
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作者:pyoco(“感情を抑える”のは、“誰よりも大事だから”)




