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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
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第131話『俺、逃げる』

いつも読んでくれて、ほんまにありがとなぁ〜!


なろうのコメント欄ってちょっと静かめやけど、

感想とかじゃなくてもええんよ?

「今日なに食べた〜」とか「最近ハマってるアニメ」とか、

ふらっと話しかけてくれるだけで、めっちゃ嬉しいんやから♡


せやからな、

なんでもええから気軽に書いてってな?ウチら、ちゃんと見てるで?


コメントくれたら、カエデも他のヒロインも潤くんも──

がっつり絡みにいくでっ!(笑)


せやから、作品の外でもいーっぱい遊ぼな?

楽しみに待ってるで〜♪


俺は、紐を靡かせて全力で逃げていた。


 


そう──例の儀式衣装のまま。


 


見えてるかどうかなんてどうでもいい。

いや、むしろ“見えてない方が問題”な気もするが、それすらもうどうでもいい。


 


俺の意識の95%は羞恥心に喰われ、残り5%は“命の危機”に支配されていた。


 


「リアァ! カエデェ!」


 


俺の叫びに、ふたりの声が返ってくる。


「うわあああ!? な、なに見せてんねんっ!?」

「貴方……羞恥心という概念を何処かに売却されたのですか?」


 


振り返る二人が同時に目を覆った。


 


俺は全身で否定する。


「違う違う違う!! そういう意図じゃない! やばいって、マジでヤバいって!」


 


──その時だった。


背後から、パパンッと乾いた音が響く。


 


「銃声!?!?」


 


そして木々をかき分けながら、全身武装の男たちが姿を現した。


 


「うっそだろ!? “民族的な歓迎”って、銃撃含まれてんの!?」


 


「潤くん、どないな観光プラン予約したらこうなんねん!?」


 


「どう考えても“狩られる側”のツアーなんですけど……!?」


 


咄嗟に、俺は両手を伸ばし──


 


「手ぇ繋げ!逃げるぞ!」


 


バッとリアとカエデの手を掴み、森の中を駆け出す。


 


「状況説明してください!!」

「何か言ってくれへんとウチ心が置き去りやで!?」


 


「説明は後だッッ!!」


 


息も絶え絶え、木々を避け、泥を踏み、草をなぎ倒し──とにかく走る!


 


リアは完全に計算外の表情でゼェゼェと息を切らし、

カエデは俺の手を引っ張りながら駆けていた。


 

──が、その時。


「きゃっ……!?」


 


ズルッ!!


 


カエデが足元を滑らせ、崖の縁から──


 


「潤くんっ……!」


 


落ちかける!


 


「カエデ!!」


 


俺は全身の反射神経を総動員して、ギリギリで手を掴む。


 


がっちりと、その手を。


 


そして──


「……ぬぐぅ……!?」


 


横から木を掴んだリアが、二人を必死に支えていた。


 


「っ……重い……!腕……抜けそう……!」


 


「うわああごめんリア!耐えてくれぇぇぇ!」


 


だが、そんなリアの悲鳴をよそに──


 


「ウチが重いわけちゃうで!? これは胸や! 胸の分や! 脂肪ちゃうからな!?!?」


 


「今その情報マジでいらねぇぇぇぇ!!」


 


「潤くん、あかんって!落ちたらあかんて!」

「落ちる時は、みんな一緒やで……♪」


 


「やめろぉぉぉぉ!!仲間意識のベクトルが完全に間違ってるぅぅぅ!!」


 


──だが。


 


「……っ!!」


 


リアの手が──


木から、ふわりと離れた。


 


「う、うそだろ……!?」


 


「え、マジ……?」



3人は落下


「誰かこの旅行プランをキャンセルしてくれぇぇぇぇぇ!!!!」


 


俺の魂の叫びが、森の奥まで響き渡った──。


 


──ドッパァァァァァン!!!


 


 


三人、無情にも崖下の池へとダイブ。


 


木々の隙間から差し込む陽光にきらめく水しぶき。

その真ん中で、俺たちは情けなく舞い、派手に水面を揺らした。



ドボォン! という、効果音がリアルすぎて笑えない音とともに──俺たちは見事に全身ずぶ濡れで池から浮上した。


「……ぷはっ! 最悪……」


水面から顔を出したリアが、前髪を払いつつ顔を真っ赤に染めてる。てか目が合わねぇ。


「……潤、すみませんが、視線を合わせるのが難しいです」


「こっちのセリフだよ! どこ見てもアウトなんだよ! 全方位に配慮が要る状況なんだよ!」


隣では、カエデがぐっしょり濡れた髪を絞りながら、地味にキレてる。


「服すっぽ抜け事件やで!? 走ってる途中でどんどん脱げてって、最終的に紐だけやん!? 布、ゼロ! 防御力もゼロやし、倫理観なんて大赤字やで!?」


「言わなくても見れば分かるわ! てか俺もほぼ同じ状況だからな!? こっちも被害者だぞ!?」


……周囲は暗い森に囲まれた、静かな池。どう考えても人の気配なんてありえない。夜の獣の声だけが、やけにクリアに聞こえてくる。


「てか、ここどこ……山の中の池って何……遭難フラグしか見えないんだけど……」


呆然としてると、リアが眼鏡を拾い上げて水滴を丁寧に拭きながら、すっと立ち上がった。


「まずは、衣類の問題を解決しましょう。潤、あなたはそのへんの大きな葉でも巻いてください」


「思考が原始人なんだよ!? もう少しこう……文明の片鱗とか残ってない!?」


「無理ですね」


可能性の探求って概念、どこ行った。


仕方なく、地下で盗み聞きした会話を手短に二人に伝えると──


「なるほど……つまりウチら、めっちゃ危険な状況ってことやな……」


カエデが真面目な顔でうなずく。


「ああ。リア、救助の可能性ってあるのか?」


「明日の定期連絡が滞れば、本社のエンリさんかノアさんあたりが異常を察知するかと。ただ、それまで少なくとも一晩はここで過ごす必要がありそうです」


「うっそやろ!? 誰やこんな僻地に来たいゆーたんは〜!」


「お前だよ!!!!」


全力のツッコミが、虚しく森に吸い込まれていく。


「ちなみに……この辺ってさ、動物出ないよな? 蛇とか、クマとか……UMAとか……」


「通常なら火を焚いて対応しますが、追跡されている状況では火はリスクが高すぎます。合理的に考えれば──“自称・食べごたえのある彼女”を囮にするのが妥当でしょう」


「囮前提で冷静に話すのやめてもらえる!? あとカエデを凝視するな!」


「はぁっ!? ウチは全然美味しくないし!? それより、潤くんをあっためられるのは絶対ウチやし!」


謎の主張が炸裂するカエデは、ドヤ顔でリアの身体を上から下までじろじろ見ている。


「……いいでしょう。決着をつける日が来たようですね」


リアの眼鏡が月光に反射してキラリと光った。


「上等や! 今日は絶対に勝ったるからな!」


「ちょっと待て落ち着け! 俺を巡ってのバトルとかじゃないだろ!? ほら、仕方ないな……3人で──」


「「黙ってて」」


完璧なハーモニーで俺の希望を粉砕すんな。


結局──俺だけが池の近くの洞窟の入口に見張り役として立たされることになった。


──


夜の闇がすべてを覆った。


月明かりだけが、かろうじて視界を保ってくれている。火は焚けない。敵に見つかれば終わるからな。となると、耐えるしかないわけで。


「寒っ……ってか、めっちゃ寒い……!」


肩を抱えて震える俺。その横で、リアが草を手際よく編み始めていた。


「……何してんの?」


「防寒用の即席衣類です」


「マジかよ……天才か?」


一方のカエデは、なぜかニコニコしながら大きな葉を両手に抱えて戻ってきた。


「潤くん〜、これな? めっちゃええ感じにベッドになるで! 一緒に寝たらあったかいと思うで〜?」


「待って!? その葉っぱがベッド!? 防寒力って概念どこ行った!?」


「大丈夫やって♡ ウチの体温であっためたるから♡」


「お前の自信、どこから来るんだよマジで!?」


と、その時。リアが編み終えた草の服を差し出してきた。


「潤、とりあえずこれを着てください。少し草の匂いがしますが、我慢を」


「ありがとう……何かもう、部族というか……縄文時代の民になりつつある気がする……」


「……ええ。概ね、縄文系原住民と同等の文明レベルです」


「その冷静な現状分析、精神にダメージ来るからやめて!?」


──というわけで、俺たちは草の服と葉っぱのベッドという、完全なる原始仕様で寒さに耐える夜を迎えることになった。


「なぁ、リア……」


「なんですか?」


「なんかあったら、すぐ起こしてくれよな……」


「ええ。万が一、野生動物に襲われたら……即座にあなたを盾にして全力で逃げますので、安心してください」


「全然安心できねぇから!? 盾にすんなよ!?」


「潤くん、寒なったらすぐ言いぃや? ギュ〜ってしたるからな♡」


マイペースすぎんだろ……



そして日が暮れ──


「潤くん、ウチ、見張り交代したろか?」


「いや……大丈夫。俺が一番“目立たない服装”してるし……」


「というか服ないやん。それ目立たないやなくて“存在がアウト”や」


「せめて“自然に溶け込んでる”って言ってくれよ!?」


 


──時間が過ぎていく。

森の闇は深く、虫の音と風の音だけが耳に残る。


カエデは葉っぱベッドで丸まりながら、何かをもぞもぞしていた。


「……潤くん」


「ん?」


「ウチ、やっぱ怖いわ。暗いのとか音とか……なんかずっと背中ゾワゾワする……」


「……そっか。まあ俺も……ぶっちゃけ怖い。ガサッて音するたびビクビクしてるし」


リアが無言で草を詰めた即席の枕を差し出す。


「これ、使ってください。多少は……首がマシになるかと」


「おお……ありがとう」


「……ただし、眠っている間に私の近くに寄った場合、即時に頭部への打撃で目覚めさせますのでご安心を」


「全然安心できねぇよ!? やめろその物理防犯システム!!」


 


──静かになった。


……いや、正確には、“静けさが増した”だけだ。


 


(眠れねぇ……)


目を閉じると、逆に周囲の音が際立って、木々の揺れも、虫の羽音も、誰かの寝息すらも気になる。


──いや、誰かの寝息、というより。


「……ん〜……潤くんのえっちぃ〜……」


(誰だ夢の中で俺を攻撃してるの!?)


目を開けると、葉っぱベッドの上でカエデが仰向けに寝ながら、手をふにゃふにゃさせている。


「んふふ〜♡ こっち来たらアカンて〜♡ キスはあかんて〜♡ あ、でもちょっとだけなら……」


「やめろおおおおぉぉぉぉ!!!」


リアがバッと起き上がる。


「襲撃ですか!? 敵ですか!? 動物!? それとも欲望の暴走!?」


「夢の中で何が起きてるか知らないけど、俺のメンタルが襲われてるだけだよ!!」


 


カエデはぐるんと寝返りを打ち、今度は俺の方に手を伸ばしてきた。


「潤くん……ぎゅ〜しよぉ……」


「やめろ! 寝ながら自然に距離詰めてくるな!」


 


──そして。


ふと、リアも横に寝転がる。


「……この状況、合理的に考えて“隣接での就寝”が最適です。暖がとれるので」


「え? 今なんて?」


「手、出したら寝てても殴ります」


「ですよねーーーー!!」


 


葉っぱベッドの上に、俺、カエデ、リア。横一列。


空は満天の星。


なんだこの修学旅行みたいな空気は。


 


──と思った矢先、カエデの寝言が再び炸裂。


「ふふ……リアちゃんも一緒やろ……? 潤くん、すき……ぎゅ〜……」


 


その瞬間──


リアの手が、俺を通り越してカエデにヒットした。


「反射です。防犯反射です」


「痛ぁぁぁっ!? なにすんねんー!!」


 


──結局、寝られたのは、朝方になってからだった。


 


夜のサバイバルは──想像以上に“精神”が危険だった。







 






【あとがき小話】


作者『今日の議題はコレです!「ちょろインとは」!』


潤『いや急に何を言い出すんだよ……』


リア『……定義から始めましょうか。ちょろイン──つまり“ちょろいヒロイン”。主人公の些細な行動や言葉ですぐに好感度が爆上がりする存在ですね』


ユズハ『あー、わかるぅ♡ たとえば〜、ちょっと助けられたら「もう……好き……♡」とか言っちゃうやつですよね〜?』


潤『いや、それは流石に極端すぎる……』


カエデ『そんなん、うちみたいやん』


潤『お前は爆速で懐いて距離ゼロになっただけだろ!』


ミリー『えー!じゃあミリーはちょろくないの?潤くんが笑ってくれたら、ミリーめちゃくちゃ嬉しくなるけど!』


潤『……うん、それはもうちょろイン超えて“ちょろ爆誕イン”だわ』


ノア『私も……潤様に「ありがとう」と言われただけで、1週間分の幸せが補充されるのですが……』


リア『……全員ちょろイン予備軍ですね』


作者『つまり!俺の作品はちょろインのバーゲンセール!ありがとう俺!』


潤『お前が誇るなよ!!というかちょろインの定義が曖昧すぎるだろ!』


作者『いいじゃん!ヒロインがちょろいと読者も癒やされる!たとえ不自然でも即落ちしてくれると安心できる!』


リア『その考え方が一番ちょろいですね……』


潤『ていうかリア、今回一番キレ味あるな!?』


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