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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
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第129話『俺、文化交流の第一歩で翻訳の壁にぶち当たった』

いつもご覧いただき、本当にありがとうございます……。

皆様が読んでくださっているおかげで、潤様の物語もここまで来られました。


なろうではコメント欄が少し静かですが、

感想でなくても……日常のこと、アニメのお話、ささいなつぶやきでも……

どんなお言葉も、心から嬉しく拝見しております。


そして──

いただいたコメントには、潤様や他のヒロインたちが反応させていただくこともございます。

……けれど、潤様の視線が他の子ばかりに向きませんように……ふふ、冗談です。


皆様と物語の外でも、穏やかなひとときをご一緒できましたら……

私、とても嬉しいです。


どうか、これからもよろしくお願いいたしますね……♡


今、俺は──

木と葉と土と謎の獣のにおいに包まれた、

文字通り“地図にすら無さそうな場所”にいた。


(……いや、さっき地図見たら本当に載ってなかったけど!?)


 


ここは、文明という言葉を思い出すのにも一瞬かかる、

そんな“ガチの奥地”だった。


バスがあったことだけが、唯一の奇跡だった気がする。

(徒歩地獄を一時間で済ませたのは、もはや神の慈悲)


 


ガタガタと揺れるバスを降りると、俺たちは――

木々の間にぽっかり開けた空間に立っていた。


周囲には、蔓で編まれた吊り橋。

焚き火の煙。

樹の根をくり抜いたような家々。

そして、腰に布を巻き、身体にペイントを施した人物たちがちらちらと顔をのぞかせていた。


(完全に先住民の村やん……!)


 


その中のひとり。

一際立派な羽飾りをつけた男が、俺たちをまっすぐ見つめながら、重々しく口を開いた。


「──ようこそ遥々我らの村へ。私は村長、ユパと申します」


 


……たぶん、そう言った。

俺にはひとっっっっっつも分からなかった。


 


※なお、ここから先しばらく、潤とカエデとリアには言語が理解できません。

読たんは“翻訳こんにゃく”を食べた前提でお楽しみください。


 


「おっす〜! 俺ユパって言ってまーす!」


チャマの軽すぎる通訳が炸裂した。


「軽っ!!!」


 


いやいやいや!?

今の声、どう聞いても“風と語り合ってた系”の威厳だったろ!?

何勝手にカジュアル営業トーンに変えてんだよ!!!


 


俺は恐る恐る名乗る。


「えー、俺は……悪徳リクルートエージェント社の社長、潤です」


リアが静かに一礼する。


「私はリアです。よろしくお願いします」


カエデはいつものノリで元気に手を振る。


「うちはカエデや〜、よろしくなっ!」


 


チャマはそれを村長に伝える──ように見せかけて、


 


「この、ちょっと抜けてそうなのが潤っす。社長って言ってますけど、たぶん村だったら木の皮むく係ですね」


(※潤には聞こえてません)


 


「隣の真面目そうな人がリアさん。すっごく知的っぽいんですけど……胸がちょっと、ね? 村の基準だと貧栄養寄りかと」


(※リアにも聞こえてません)


 


「で、最後がカエデさん! 見てくださいよこの立派な……ね! 村では完全に豊穣の象徴っすわ! 最高っすよね!」


(※カエデも当然聞こえてません)


 


ユパ村長はうんうんとうなずき、なぜかチャマとグータッチ。

こちらの三人はポカンとしたまま微笑むしかなかった。


 


「なあ……今の、ちゃんと通訳してくれたよな?」


俺が不安げに聞くと、チャマは親指を立てて笑う。


「バッチリ伝えましたよ〜! 特にカエデさん、全力で推しときました!」


「……なんで“特に”がついた!?」


 


リアもわずかに眉をひそめる。


「……彼の表情から察するに、我々の扱いが……やや不利な気がします」


「やっぱそう思うよな!? 今の絶対なんか混ざってたよな!?」


カエデは全然気にしてない様子でにっこりしていた。


「えっ、褒められたんやろ? なんかめっちゃ好印象っぽかったで〜?」


「逆にその無邪気さが怖いんだってば!!」


 


村長は何やら満足げにうなずきながら、手を大きく振った。


「ではどうぞ、我が家へ。ささやかながら、皆さんを歓迎したい」


 


「さーさー来いや〜! って言ってますね〜! テンション上がってきましたね〜!」


「いやもう訳が軽い!! いつも軽い!!」


 


案内されたのは、草で葺かれた屋根と、編み込まれた竹で囲われた円形の建物。

床は土のまま、壁には獣の頭骨。

それでも、村人たちの手で丁寧に飾りつけられ、どこか温かみを感じさせた。


(……想像より“文化っぽい”。ていうか、案外ちゃんとしてる)


 


建物の前に立つと、家族らしき人々が中から出てきた。

身体にはペイント、手には木の実や花。

顔に浮かぶのは柔らかい笑顔だったが、

──背後の大鍋と煙だけが妙に気になる。


「なあ……あれ何煮てんの?」


「さぁ……歓迎のスープとかちゃう?」


「“スープ”って言葉の響きだけで安心していいか……?」


 


チャマがさらっと言う。


「たぶん……宴っすね。“とりあえず踊って食って祝え”がこの村のスタイルなんで」


「いやそれ取材の撮影になんのかよ……」


「うん、まぁ。でも文化っすから!」


「便利な言葉だな文化って!!」


 


──こうして俺たちは、“文化交流”という名の未開の地に、

言葉も意図も分からぬまま、深々と足を踏み入れることになった。


 


ユパ村長が手を叩くと、周囲の村人たちがわらわらと集まり始めた。

子供、女性、おじいちゃんらしき人物──全員が手に何かを持っている。


次々に運ばれてくる木製の器。

その中には、妙に泡立った液体と──……動いている何か。


 


(いやいやいや……待て待て待て待て!?)


思わず目をこするが、見間違いじゃない。

泡の下で、明らかに細長い何かがうねってる。跳ねてる。たぶん……生きてる。


 


カエデも目が笑ってない。

口元を引きつらせて「どないしよ……」って顔してる。


リアに至っては、もう明後日の方向を見つめて魂を旅立たせていた。


 


そのとき、ニコニコ顔の子供たちが俺たちの前にやってきた。

目がキラキラしてる。期待の視線が全力で刺さる。


(うっわ……ここで断ったら……村全体にフルボッコにされるパターン……!)


 


「おい、チャマ。これ、食えるやつだよな? 歓迎のスープなんだよな?なぁ?なぁ!?」


俺は必死でチャマに詰め寄る。


 


チャマはなぜか一歩引いた場所で腕を組み、超他人事モードで言った。


「いや〜潤さん!これはすごい歓迎ですよ!めっちゃ文化感じますね〜!」


「お前が言うな!一歩引いてんじゃねぇ!!」


「いやでも見てください!村人たち、めっちゃ笑顔ですよ!……ほらほらほらほら!!」


「“ほら”の圧がうざい!!」


 


仕方ない。いや、本当は仕方なくないけど、これはもう避けられない。

器を手に取り、恐る恐る口元に近づける。


 


泡の奥から、ぬるっとした何かが舌をなでた。

一瞬で背筋に走る冷たい電流。

体が“危険”を察知したのに、それを制御できず、スープはそのまま喉を通過した。


 


「……おひひかっだでふ……」


(喋れねぇ……喉が反抗してる……)


 


俺を見て、カエデとリアが硬直する。

カエデは決死の覚悟で器を掴み──


 


「いったるで……潤くん倒れてへんし、ウチもいける……いけ……」


ゴクリ。

次の瞬間、


「ブハッ!!!!!」


吹き出したスープとともに、カエデがひっくり返った。


 


リアも目を閉じて、無言でスープを一口──

そのまま目を開けずに硬直。

完全に……魂だけどこかに行っていた。


 


チャマが口元を押さえて笑いを堪えている。


(お前……この地獄、エンタメ感覚で見てんだろ……)


 


俺はふらつく手でスープを差し出した。


「なあ、チャマ君? 君も歓迎されないと、ダメだよね?」


チャマが小さく笑う。


「いや〜、俺は……そういうの、ちょっと体質的に……」


 


「飲めやゴラァ!!」


リアとカエデを盾にして、俺はチャマを羽交い締めに。


「いやあああぁああッ!!やめてぇぇぇッ!!文化感じたくないぃぃぃ!!!」


 


そして──無理やり飲まされたチャマは、


 


「ぶはああああああああ!!!!!」


そのまま白目を剥いて、バッタリ倒れた。


 


(……お前が一番弱ぇじゃねぇか)


 


その様子を、ユパ村長が厳かに見つめていた。

一歩、俺の方へ歩み寄ると──満面の笑顔でこう言った。


「倒れなかったのは素晴らしい。我が村の掟に則り、君には“歓迎の儀式”を受けてもらう」


※ここだけ、潤は翻訳機で理解している。


 


「…………はい?」


 


地獄の予感を背中に受けながら、チャマが地面から起き上がり、苦悶の表情で翻訳した。


「……潤さん、歓迎の儀式やれって言ってます」


 


「あれ?お前、急に翻訳ちゃんとしてんな?」


 


一瞬、見直しかけたその時だった。


チャマは虚ろな目で俺を見て言った。


「……俺も……もう……文化……わかりたくないっす……」


 


──こうして、

命と胃袋を代償に、俺はこの村の“儀式”に放り込まれることになった。







【あとがき小話】


作者『おまえらぁぁぁぁぁそこに座れぇぇぇ!今すぐぅぅぅぅ!正座だ!!』


 


──居並ぶヒロインズ、子うさぎの様に震える読たん、そして潤。

その全員が、ぴしりと正座。

……目の前には、謎にバニー服を着た作者。

耳がピコピコ揺れてる。


 


潤『ちょ、ちょっと待て!? まずはツッコませろ!? なんで作者がバニー!?』


ユズハ『え、作者さん……それ、尻尾までついてるぅ♡』


ミリー『あ、でも結構似合ってるよ〜♡』


ノア『ツッコむところが多すぎて整理が追いつきません……』


リア『なぜか“威圧感”だけはあるのが、より混乱を招きますね……』


 


作者『黙れぇぇぇぇ!!いいか貴様らァァァァ!!』


 


バンッ!!(机を叩く音)


 


作者『わかってない!何もわかってない!!聞け!今日の議題は──「薄い本」だ!!』


潤『話の飛距離ぃぃぃ!?』


 


作者『いいか!? よく言われるんだよ……「自分で小説書いてんだから、パンツの色とか好きに描けば?」とか……「薄い本も自分で描けば解決じゃね?」とか……』


 


作者『甘いッ!! 貴様らぁぁぁ甘すぎるッ!!!!!』


 


潤『なんでキレ気味なんだよ!お前が勝手に脱線したんだろ!?』


 


作者『俺が欲しいのはな!!“自分で描いたヒロインのパンツ”じゃねえんだよ!!!』


 


作者『他人が!俺の描いたヒロインを!!勝手に愛でて!!!』


作者『勝手にパンツ決めて!!!勝手にとろけさせて!!!!勝手に……勝手にぃぃぃぃ!!』


 


リア『情緒が崩壊してますね……』


ノア『なるほど、つまり“自分で想像したら萌えない”と』


 


作者『そうだ!!萌えない!!!自分の手で描いたらそれは料理と同じ!!わかるか!? 自分で作ったカレーってそんなに感動しないだろ!?』


ユズハ『え〜?でも私、手作りカレーで潤先輩を落とす自信ありますけど〜?』


潤『勝手に“落とす前提”で語るなッ!!』


 


ミリー『でもでも〜、読たんが描いてくれるミリーなら、ミリーどんな格好でも嬉しいなぁっ♡』


作者『そういうのを待ってる!!お前は天才か!?天才だな!!よしっ、褒めたから許す!!』


 


ノア『……はっきり言いますが、全く論理が通っていません』


リア『共感より先に診断が必要なレベルです』


 


作者『とにかく!俺が言いたいのは一つ!!』


 


作者『“俺の描いたヒロインのパンツは!!他人が決めてくれ!!!!”』


 


潤『うるせぇぇぇぇぇぇ!!!』

ユズハ『ここ、Xにポストされるやつですね♡』

リア『投稿された瞬間に通報されそうです……』

ノア『作者様、バニー姿での叫びは非常に印象が悪いのでお控えください』


 


──

こうしてまた、1日のあとがきはカオスの中で終わった──。


でも、

ヒロインズが愛されてるってわかるなら、作者はそれで幸せなのでした。



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