第127話『俺、飢餓と理性の境界線で殴り合う』
えへへ、いつも読んでくれてありがと〜っ♡
なろうのコメント欄って、ちょ〜っと静かめだけど、
感想じゃなくてもぜんっぜん大丈夫なの!
「今日あつかった〜!」とか「最近アニメなに見た?」とか、
ふつーのつぶやきでも、ミリーすっごくうれしいよっ♪
コメントにはね、潤くんとか、他のヒロインのみんなが
こっそり(?)反応することもあるんだ〜♡
だからだからっ!
作品の外でも、い〜っぱいお話できたらうれしいな〜っ♪
これからも、ミリーと一緒にぴょんぴょん楽しもっ!♡
──深夜2時。
「……寝れねぇ……」
「……せんぱい、胃袋が……鳴いてますぅ……」
俺とユズハ、再びソファに戻っていた。
寝ようとしてベッドに入ったはずが──
目が覚めるたびに頭に浮かぶのは、ブロッコリーと……プリン。
「なんか……逆にお腹が空きすぎて、幻聴が……」
「せんぱ〜い、ユズハ今“カロリー”って音が聞こえたんですけど……空耳ですかぁ……?」
(空耳じゃない、たぶん俺の脳が叫んでる)
「てかさ、ノアのあの晩飯……“献上ブロッコリー”って札ついててもおかしくないレベルだったよな……」
「ねぇねぇ、せんぱい。ひとつだけ……提案、してもいいですかぁ?」
「……言ってみな」
ユズハが、耳元で囁いた。
「……コンビニ、もう一回……行きません?」
「お前の中の天使と悪魔、両方ユズハじゃねぇか……!」
──玄関前。
さっきと同じミッション開始。
俺「確認しよう、財布は……ない」
ユズハ「でもっ!でもですねっ!」
ユズハが俺のジャージのポケットをガサゴソやって──
「じゃーん♡ 350円、発見〜♪」
「奇跡のポケット資産!?マジで出てくんのかよ!?」
「これでもう一回プリンいけますよぉ〜! ね?ね?」
──深夜のコンビニ(2回目)
「プリン……プリン……」
「ねぇ、せんぱい。“濃厚焼きチーズパン”ありますよ、ラスト1個♡」
(よりによって!よりによってパンが1個しかねぇのかよ……!)
「……ユズハ。これは……お前にやるよ……」
「……せんぱい、そんなこと言われたら……」
「じゃ、遠慮なく──」
「──って取るんかい!!!!!」
一瞬でユズハが手を伸ばす。
だが、俺も条件反射で手を伸ばしていた──
「ガッ!!」
「ガッ!!」
「や、やめっ、俺が!俺が先に空腹だった!」
「ユズハだってカロリー枯渇してるんですぅうう!!」
バシッ!バシッ!
2人してレジ前でパンの袋をつかんだまま、取っ組み合い。
(誰だよ“ダイエットは心の修行”とか言った奴!これ、ほぼ修羅場だぞ!?)
「離せ!お前にはプリンがあるだろ!?」
「パンとプリンは別腹なんですぅ!!」
「バランス考えろよ!!カロリーのバランス!!」
──そのとき。
「……深夜に争うほどの価値、ですか?」
背後から、声。
ゆっくり振り返ると──
そこにはコンビニのガラス越しに映る、日傘のシルエット。
(──ノア!?!?)
「お二人とも、お小遣い350円で“最後の晩餐”を選ぶとは、実に慎ましいですね」
「違うんですノアさん!これは!偶然ですぅ!」
「そう、俺たちはその……偶然に“パンの神”が降臨して……!」
ノアはカツッ、カツッと店内に入ってきて、俺たちの手からパンを“スッ”と回収した。
「こちら、私が預かります」
「うわあああああああああああ!!!!!」
「まだ商品ですぅぅぅうううう!!!!!」
──そして、朝。
「……今日の罰は、これです」
ノアが出してきたのは──
・ランニングマシン(折りたたみ)
・プロテインスムージー(抹茶味)
・そして、“健康朝礼体操DVD 全8巻”
「潤様、ユズハ様。“選んで良い”とは申しません。すべて実行です」
「せんぱい……これ、地獄ってやつですか……?」
「違う。地獄はまだ……これからだ……」
(……誰だよ、深夜のパンごときで殴り合った奴ら)
──まさに俺らである。
──それから、1週間。
早朝5時からのサーキットトレーニング。
夜は糖質ゼロディナーと、筋肉痛MAX腹筋地獄。
そして今日──いよいよ最終日。
「ふぅぅぅ……やりきった……」
「せんぱい、頑張ったぁ……ユズハ、ちょっと痩せた気がする……」
ノアが、静かに体重計を取り出した。
「では、お二人の努力の結果を確認しましょう」
──俺、体感で5kgは落ちてる。
──ユズハも、昨日の運動中に2回くらい倒れてた。
だが──
「潤様、マイナス0.8kg」
「ユズハ様、プラス0.3kgです」
「「増えとるやないかああああああああ!!!」」
ノアが無言で、第二期メニューのファイルを広げる。
「では本日より“新メニュー”を──」
「ユズハ、逃げるぞ!!」
「せんぱい、了解ですぅうう!!」
──逃走開始。
公園の茂みに隠れ、スーパーの試食コーナーで飢えを凌ぎ、ショッピングモールの人混みに紛れ込んだ。
「せんぱい、ユズハ……もう足が限界ですぅ……」
「俺もだ……だが、ここで捕まったら一生ブロッコリー地獄だぞ……」
そして、追い詰められたのは路地裏の行き止まり。
「見つけました」
ノアが微笑む。
「せんぱいが首謀者でぇぇぇす!!」
「こいつが先に脱走計画立てましたぁぁぁぁぁ!!」
互いを押し出し合い、醜くも必死に責任をなすりつけ合う。
ノアは静かにロープを取り出す。
「では、お二人とも仲良く“強制帰還”ですね」
「「やめてええええええええええ!!!!!」」
──こうして“逃亡と裏切りのダイエット戦争”は終わり、俺たちは縄で結ばれ、連れ戻されたのだった。
あとがき小話
作者『ふと思ったんだけどさ……古文の表現にすれば、どんなエロいこともエロく聞こえない説、あると思うんだよね』
潤『え、なに?急に文学っぽい皮被せてどこ行こうとしてんの?』
作者『たとえば──
“かの御方、夜毎に床を共にし、身を重ねられけり”』
潤『いやもう共にしとるがな!!何の婉曲でもないわ!!』
作者『“しとしとと滴る汗、肌を滑りて、互いの想ひ募りぬ”』
潤『濡れてる濡れてる!!アウトだって気づけや!!』
作者『“そはまさに、百花の香をも凌ぐ、至福の交わりなりけり……”』
潤『やめろやぁぁぁあ!!エモいのベールをかぶっただけのガチやないか!!!』
作者『でもこれが源氏物語だったらさぁ、文学だからね?高尚だからね?』
潤『源氏でも許されないからな!?国語教師なら赤ペンでしばくレベルだぞ!?』
──作者はまた、“エロと古典の融合”という危険な分野に手を出そうとしていた。