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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
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第125話『俺、欲情してないってば!』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!







──朝。悪徳リクルートエージェント社・執務室。


「潤、少しだけ頭を失礼します」


「ん……? 何だリア?」


カチャッ。


背後から、リアが無言で何かを装着してきた。

金属の輪がこめかみに触れ、後頭部をぐるりと包むように締め付ける。


 


「……なにこれ? 頭が冷えるんだけど……って、え、なんかピカッて光ったよ!?」


「脳波測定装置です。健全な思考における刺激反応を、日常下で収集するためのテストです」


「いや説明が冷静すぎる!なんで俺が検体なんだよ!」


「大丈夫です。興奮したら音が鳴るだけですので」


「全然大丈夫じゃねぇぇぇぇぇ!!!」


 


リアはモニターに視線を移しながら、さらっと言った。


「皆が潤があまりにも靡かないため……“実は女性に興味がないのでは?”という仮説が上がりまして」


「やめてくれ!?俺の性的嗜好を会議の議題にするな!!」


 


リアは首をかしげながら補足する。


「ヒロインへの興奮反応ゼロ、接触時の体温上昇ナシ、好意の自覚も曖昧──疑われて当然です」


「なぜその分析ができるのに、俺の尊厳には配慮しないの!?」


「その点については、検証後に再評価します」


「もう再評価って時点で負けなんだが!?」


 


そのとき、軽やかな足音が近づいてくる。


 


「おはようございま〜す♪ って、なにしてるんですかぁ〜?」


ユズハがニコニコしながら顔を覗き込んできた。

いつものふざけた笑顔。だがその視線は──何かを察した女の目だった。


 


「もしかして〜、先輩って……私たちに興奮しない紳士さんってことですかぁ?」


「やめろその言い方ぁぁぁぁああ!!いろんな意味で地雷なんだよ!!」


「じゃあ、“誰にもドキドキしない”ってことでいいですよね〜?」


「いやその……そう言われると……何かこう、あの、あるけど!?あるけども!?」


「つまり……“私には反応しない”ってことですね〜♡」


「うわ、罠か!?今の、完璧に罠だったよな!?!?!?」


 


言えば地雷、黙れば罪。


俺は、万策尽きた末に──


 


「……まぁ……紳士の、意地は……見せますよ?」


 


……なにこの流れ。


 


──こうして、俺の煩悩チェッカーは、鳴り響く運命にある。




俺は今──修行僧。


そう言い聞かせている。

全ての煩悩を捨て、己の内なる欲に打ち克つ。


どんな誘惑にも、決して揺らがない精神を身につけるのだ。

俺は大丈夫。俺は硬派。俺は──


 


──ひょっこりと、ミリーが顔を出した。


 


「じゅんくん〜? なんでそんなウルトラマンみたいなポーズしてるの〜?」


 


(見られた!?!?!)


正座+正拳+目を閉じて精神統一してたら、結果ウルトラマンになってただけだ。

だが、今日の俺はミリーにすら油断しない。


「今日はぎゅーは無しだ!」


宣言と同時に、ミリーの笑顔がショボーンとしおれていく。


(……うっ、罪悪感が……)


──が、次の瞬間。


 


「じゅんくんっ♡」


 


抱きついてきた。


(やっぱりかああああああ!!)


全身で包み込んでくるミリーの弾力とぬくもり──

だが今日の俺は違う。


俺はすかさず──バニー服を着たおっさんが高速リンボーダンスをしている映像を脳内に召喚!


(セーフ!!これで脳波は乱れない!──はず!)


 


【ピッ】


 


「やったー! 鳴ったー♡」

ミリーは満面の笑みで小躍りしながら走り去っていった。


(……軽めだし……セーフだよな?)

(ピッ、だし。ピーーーじゃないし……)


 


今日の俺は紳士だ。この程度で負けるような軟派じゃない。


 


──一方その頃。


ミリーが控え室に駆け戻ってくる。


 


「やった〜っ!鳴ったよ〜♡ ピッって♡」


 


「ええ……一応、反応しましたが。想定内の初期反応です。ドキドキ値としては……不十分ですね」


リアが冷静に評価する。


 


「うー……」


「ふっふ〜ん、ほな! 次はうちやな?潤くんが本気でドキドキするん、教えたるわ〜♡」


「潤様はお色気程度では靡きません。真に心を開ける相手は……私のみです」


 


ノアとカエデが静かに火花を散らす。


 


「ノアちゃん、余裕やな? ここで終わらせたるわ!」


「……その自信、潤様が持ちこたえられる限り、無意味ですけれど」


 


──そしてカエデが出撃する。


 


──潤くんブース。


 


「潤くん! 肩凝ってへん? ウチが揉んだるで〜♡」


 


(……あ、あかん……それは……)


この時点で既にアウトの予感しかしない。


危険しかない。むしろ危険そのもの。

スキンシップ×柔らかさ×関西甘え特攻──この組み合わせは殺傷力が高すぎる。


 


──だが今日の俺は違う。


脳内に──バニー服のおっさんが逆立ちしながらフラフープを回してる映像を召喚!


(これで耐える!!見ろ俺の精神力!!!)


 


──だが。


 


「どう?気持ちええやろ〜? なぁ〜潤くん、ウチのこと……どう思ってん?」


 


(背中に……感触……ある!!)


笑顔のカエデが密着しながら耳元で囁いてくる。

甘い声。距離ゼロ。絶対に目を合わせちゃいけない。見たら負ける。


 


(くっ……おっさん!!もっと早く踊れ!!回れ!!回ってくれぇぇ!!)


 


【ピーーッ!】


 


「よっしゃぁ!! 鳴ったぁぁぁ!! 潤くん、落ちたでぇ〜!!」


はしゃぎながらカエデがスキップで控え室に去っていった。


 


(いや……今のは……ギリ……)


鳴ったけど、ギリセーフ。

もしおっさんが回転止めてたら即死だった。本当に危なかった。


 


──控え室。


 


「うち!鳴らしたで!? ピーーって言ったで!?!?」


「……はい、波形としては確かにピーーーですが……数値で言うと50点程度です」


「なんでやねぇぇぇぇん!!!」


 


──そして、静かに現れる影。


 


スッ──と、エンリが前へ出る。


「私の番ですから。任せてください……潤さんを、しっかり癒してみせます」


 


エンリ、出撃。


 


「うわっ……あかん……エンリさんの癒し力は、マジで鳴るわ……」


「ヤバいっすね〜、包容力えぐすぎて脳が抱かれますよあれ」


「大丈夫です。潤様は紳士……膝枕如きで動じたりしません!」


 


──とノアが強く断言した直後、

控え室の扉が、ふわりと閉まった。


 


次なる戦場は──癒しという名の罠だった。




──執務フロア・測定ポイント前。


 


「潤さん? そんなに身構えなくても大丈夫ですよ〜?」


 


(無理無理無理無理無理無理!!)


身構えるな?今この状況で!?

無理しかない。むしろなぜこの期に及んで“平然としていられる”と思ったのか。


目の前にいるのは──癒しの女神、エンリ・オブ・エンリ。

包容力という概念を具現化した存在。


そんな彼女に今、膝枕を提供されようとしている。


 


「さぁどうぞ? 潤さん。無理しなくていいんですよ?ほら……」


「……ほら?」


 


(2回言った!? 圧がすごい!! でも断れない!!)


 


俺は、意を決して──膝に、頭を乗せた。


その瞬間、脳内で非常召喚が始まる。


 


(バニー服の……おっさんを……出せ!!)


俺の妄想力が総力を挙げる。

一人、また一人。ピチピチのバニー姿で踊る中年男性たちが、

脳内ステージで乱舞を始める──


 


(右のやつ、ヒゲ濃いな! よし、もっとはっちゃけろ!!)


 


だが──


 


「潤さん、はい……よしよし……」


手が、優しく頭を撫でてきた。

指先が、額の生え際をゆっくりとなぞる。


 


「……大丈夫ですよ……リラックスしてくださいね」


 


(あ……あかん……ッ)


バニーおじさんが、一人、また一人と──


 


──昇天した。


 


「行くなぁぁぁ……おやじぃぃぃぃ……ッ!!」


 


最後の一人がダンスの途中で天に召され、

俺の脳内ステージは、静寂に包まれた。


 


 


──暗転。


 


 


「…………」


 


「あら? 潤さん……?」


 


「……寝てしまいましたね……ふふっ」


 


 


──俺は、敗北した。


癒しの女神に、俺の煩悩は打ち砕かれた。

武装も妄想も、何の役にも立たなかった。


俺は……ただの男だった。


 


 


──数十分後。控え室。


 


エンリが、穏やかに報告する。


 


「なりませんでした〜。残念ですね」


 


「えっ!? ならんかったんですか!?!?」


 


「ええ。今日一落ち着いてました。

 むしろ、心拍も脳波も極めて安定していて──“熟睡波形”が出ていましたよ?」


 


「寝てたんかい!!!」


 


潤、完封。

エンリ、慈愛の無双。


そして脳内のおっさんたちに、合掌。


 

──次なる刺客は、ユズハ。


しかし、今回は違う。


俺には対策がある。


「せんぱ〜い♡ ユズハ、来ちゃいましたよ〜んっ♪」


早速、ユズハが腰をくねらせながら甘ったるい笑顔を浮かべ、両手を後ろに組んで小首を傾けながら擦り寄ってくる。


「先輩ってぇ、ユズハのこと……どう思ってるんですかぁ?」


ピッ。


微かに鳴ったが……落ち着け俺。このくらいなら許容範囲だ。


「ねぇねぇ、先輩? 私、実は寂しがり屋なんですよぉ〜?」


ぐいぐいと腕に抱きついてくるユズハ。やわらかさが危険すぎるが、今はまだ耐えられる。


ピッ。


また鳴ったが問題ない。むしろ自然な反応だ。


俺はここで切り札を使った。


「ユズハ?」


「はぁい♡」


「そういえばさっき、ゲンジが新しいプロジェクトで『逸材』を探してるって言ってたぞ?」


瞬間──ユズハの瞳が完全に切り替わった。


「……えっ!? それは一大事じゃないですか!? 世界が……ユズハを求めていますよね!」


俺の腕を即座に離すと、風のように駆け去っていった。


ユズハ、不戦敗。


そして束の間の静寂。


「潤、見直しました」


背後から静かな声。リアが近づいてきた。


「本当にドキドキしないんですね。正直、見くびっていました」


「あったりめーよ。『紳士潤』とは俺のことだぜ?」


「では、最終試験に移行します」


リアは眼鏡を外し、わざわざ髪をほどき始めた。さらりと揺れる長い髪、いつも以上に真剣な瞳。


「……なにしてんの?」


「理性の化身として、あえてフェロモン的演出を検証します」


「いや、だからってお前がやる必要ある!?」


リアが静かに接近し、俺のネクタイに手をかけた。


「潤、理性の限界を見せてください」


ピ……。


小さく鳴ったが、すぐに静かになった。


「……鳴りませんね」


リアは珍しく唇を尖らせ、小さく息を吐く。

その表情にはわずかな困惑と、プライドをくすぐられたような微かな苛立ちが滲んでいた。

「潤、あなたは本当に難攻不落ですね」


「お前らが極端すぎるだけだよ!」


そのときだった。


バンッ!!


ドアが勢いよく開き、白銀の髪が翻った。


「潤様に……何をしているのですか?」


──ラスボス、ノア登場。


ノアは静かな足取りでこちらに歩み寄り、リアと俺の間に割り込んできた。


「潤様、今からは私の時間です。ご覚悟を」


(……怖い、怖すぎる!)


だが、ノアの真剣な攻撃にも波形は静かに揺れるだけで、大きな反応を示さなかった。


「なぜ、鳴らないのですか?潤様……私では、不十分なのですか?」


ノアが哀しげに潤んだ瞳で見つめてくる。


(ちょっと待って、逆に罪悪感が!!)


しかしその時だった。


窓際で日向ぼっこをしていた猫が──


ゴローン。


──ピィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーッ!!!!


脳波測定装置が今日一番の爆音を響かせた。


「ええええええええええええええええええええ!?」


その場にいた全員が絶叫した。


「潤くん……猫!? 猫で最大反応!?」


「潤様……説明してください!」


「いや待て、誤解だ! 俺は変態じゃない!」


「いいえ、潤。あなたは立派な変態です。データが証明しています」


「俺の紳士キャラがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


──こうして俺の『欲情してない』という紳士伝説は、猫一匹のゴローンで儚くも崩壊したのだった。





あとがき小話


 


ピコンピコン……ピコンピコン……


潤『……おい、何か聞こえるぞ。』


ユズハ『あ、それポケモンのHPが残り1桁になると鳴るやつですね〜』


潤『おい……まさか……!?』


(部屋の隅──そこには、汗と涙で床にめり込んだ謎の生命体がいた)


リア『あれは……構ってくれない日々に絶望し、さらに連日の湿気で感情と理性が腐敗し、ついにはキノコを生やした“作者”です』


潤『メンヘラ通り越してキノコ栽培家かよ!?』


作者『だってぇ……だってぇぇ……ノアのパンツの色とか、もっと語り合ってもよくない……?淡いレースとか、透け感とか……“白”だと信じてたけど、案外黒だったりしたらどうする?──って読たんと議論したい……したいのぉぉ……』


ピコンピコンピコン


潤『やめろぉぉぉぉおおお!!変態の勧誘するな!読たんは更生の余地があるんだ!巻き込むな!』


ノア『……潤様、失礼ですが、私の下着について他人と語り合おうとした時点で“死刑”だと思います』


潤『ちょ、おまっ、お前の怒りどこ向いてるの!?なぜか俺!?』


作者『……パンツって大事だよね……(ぽつり)』


リア『……体温34.9度。そろそろ“幽体離脱”の予兆です』


潤『勝手に幽霊になるな!!』


(その日、読たんの脳裏には「作者=パンツ=ピコンピコン」が深く刻まれたという──)

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