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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
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第123話『俺、VRの世界でも不憫だった』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!






 


──電柱社、地下研究室。


「テストプレイ? あの……俺じゃなくてもいいんじゃ……」


「いえ、潤様……社員の安全を守るのも、上に立つ人間の役目です」


冷ややかな笑みと共に、ノアが淡々とヘッドセットを差し出す。

いや、まだ何も許可してないのに、なんで俺が“危険容認前提”で扱われてんの?


「久松先輩、まさかこのVR……爆破とかしないよね?」


「心配しすぎっすよ!せいぜい、意識だけ飛ぶ程度で済みます」


「それが一番やべーやつなんだよ!!」


──というわけで。


どうしてこうなったかというと、電柱社の久松先輩が資料室で発掘した“謎の設計図”を元に、うちの開発部(という名のヒロインズ)と共同で作り上げた新作VRゲームのテストプレイが今日行われることになったからだ。


「原案はどこから来たのか不明っすけど、なんかダンケキって文字が書いてたっす」


「何そのネーミングのゲーム!?」


だが、最大の問題は“誰がプレイするのか”。

社員を巻き込めない。ヒロインズは危険すぎる。ユズハは……最初から遊ぶ気しかない。


社長だからと意味のわからん名目のもとに、“消去法”で俺に決まった。


(こんなデスゲームのような空気で、VRゲームって言われてもな……)


目の前には、見るからにヤバそうなゴーグル。

背面には謎の魔法陣みたいな回路と、鳴り止まぬウィーンウィーンという駆動音。


「ユズハ、これほんとに大丈夫?」


「大丈夫ですって〜♪ リアちゃんもちゃんとチェックしたし〜、私も3回くらい“たぶん動く!”って言いましたから〜」


「“たぶん”が三回あってもゼロ点だろ!? てかリア!? 本当に見たの!?」


リアは本を読みながら、あくび混じりに答えた。


「理論上は作動します。安全性は……祈るしかありませんね」


「せめて祈らせる前に止めてくれぇぇぇぇぇ!!」


──が、断る権利など俺にあるはずもなく。


恐る恐るゴーグルを装着し、電源を入れると──


【起動音】


ポワァァァン♪ という気の抜けたファンファーレと共に、意識が暗転していった。


【潤視点/VR世界】


──視界が、一変した。


ヘッドセットを装着した瞬間、脳内に直接響くような起動音と、ファンファーレじみたBGMが流れ込んできた。


【──Welcome to “ウル⭐︎フロンティア”──】


(……ウル星? フロンティア? なんだそのセンス……)


言いたいことは山ほどある。けど、それより目の前の光景だ。


空が広く、雲がゆっくり流れている。大地は柔らかな草原で、遠くには城壁に囲まれた王都が見える。

(……これ、VRだよな?)


なのに──風の温度、草の匂い、太陽の眩しさ……全てが“本物”だと思わされるほど、リアルだった。


『おぉ……』


思わず声が漏れる。手を広げてみると、体が妙に軽い。思い通りに動くどころか、疲労感や重さが一切ない。


(これが……次世代VR……!?)


──と、そのとき。


『キャアアアアア!!』


甲高い悲鳴が、城の中庭の方から響いた。


(今の……女の子の声か!?)


迷う間もなく走り出す。重力の縛りが薄いのか、地面を蹴るたびに体が浮くような感覚だった。

石造りの廊下を駆け抜け、見渡せる回廊へ出ると、そこには──


──金髪のエルフ少女。ドレス姿で、魔物に追い詰められていた。


(……テンプレか!? いや違う! これは事件だ!!)


目を凝らせば、魔物の肌は灰色にくすみ、牙が滴るほど鋭い。リアルすぎて目を背けたくなる……が、

そんなこと言ってる場合じゃねぇ!


(武器……武器……どこだ!?)


周囲を見渡す。壁に飾られた剣──装飾がきらびやかすぎてどう見ても“展示品”だったが、

今はそれが唯一の選択肢だった。


(文句言うのは助けてからにしろ!)


──ガシッ。


柄を握り、鞘ごと引き抜く。想像より軽い。けど──


『うおおおおおおおおおおおっ!!』


叫びと共に魔物へと突撃。

少女に気を取られていた魔物の背後に斬撃を叩き込む──


──ズシャッ!!


手応えと共に、魔物が崩れ落ちた。


(よし──あと一体!!)


次の魔物がこちらに気づき、振り向く。目が合った。


(──間に合わねぇっ!!)


即興の判断だった。俺は手にした剣を振りかぶり、思い切り投げた。


『せいっ!!』


──カシュンッ!!


刃が空を切り──


──グサッ!!


魔物の胸を貫いた。


しばらくの沈黙。そして、バタリと音を立てて倒れる魔物。


(……やった……?)


放心する俺の前で、エルフ少女が駆け寄ってきた。潤んだ目をこちらに向け──


『あ、ありがとうございますっ! お名前を、お名前を教えてくださいっ!』


『……スーパー潤です』


気がつけばキリッとポーズまで決めていた。

俺の中の中二病が、つい顔を出してしまったのかもしれない。


でも、彼女はキラキラとした瞳で言った。


『きゃ〜〜っ! スーパー潤様!! 助けていただいた私に、何か──何か望みはありますかっ!?』


(……いや、なんだこの展開……)


でも、なんか──テンション上がってきた。


(VR、最高かよ……)


──潤の冒険は、始まったばかりである。





【現実世界】


「おおっ! 始まったでぇっ!」


「私たちはモニターでチェックチェック〜♪」


「音声は骨伝導で脳に直接。プレイヤーの声はこっちには聞こえない仕様です」


「さっすがや……あっ、魔物あらわれたで?」


「うーん、なんか武器探してますね〜、先輩……」


VRヘッドセットをかぶった潤が、ゆらりと立ち上がる。


……そして、何の迷いもなくモップを掴んだ。


「えっ、えっ、それ武器扱いなん!?」


次の瞬間──


バゴォォォォン!!!


潤、床に叩きつける。自分のスマホを。


机ごと破壊。


「「あっっっっ!!??」」


パリンッ。画面がヒビを入れながら、回転しつつ床へダイブ。


「と、止めな──」


──が、止まらない。潤はそのままモップを逆手に持ち、全力投擲!


ブォンッ!


「えっ、そっち!? いや投げるんかい!!」


──ドゴォッ。


着弾先は──久松先輩のデスク。


「──私の……あ、愛しい……ぱ、ぱそこんがあああああっっっ!!」


久松先輩、スローモーションで崩れ落ちる。


倒れたモニターの破片を撫でながら、涙の床這いずり。


「おおおぉぉぉ……がんばってくれてたのにぃ……昨日まで一緒に……アマプラ見たのにぃ……!」


「っていうか何してんねん潤くん!?」


カエデが画面を指差す。


「いや、これは……名前決めるシーンですね」


……画面内、キャラが決めた名は──


【スーパー潤】


「「スーパー潤!?」」


ピンと伸びた背筋で自信満々に表示される名前。


「ダッッッッッッッサぁぁぁああ!!!」


カエデが爆笑で机バンバン叩く。


「潤くん何それ!? ストゼロ時代のハンドルネーム!?」


「潤様……お名前、かっこいいです……っ」


「ノア!? 君だけ時代が昭和なんよ!!」


しばらく爆笑したあと、ふと現実の潤を見ると……


もふ……もふ……。


「あれ……なにしてるん?」


両手で、ぬいぐるみの胸元あたりを──揉んでいる。


もふ……もふもふ……


「ねぇ、あれなにしてんの潤くん!?」


「ご褒美……聞かれて揉んでますね。控えめに言って……キモいです」


「ご褒美って何!?」


「たぶん、スライム倒した直後に“褒美を取らす”みたいな選択肢が出たんだと思います」


「いやいやいやいや、そんなモード入ってたの!?」


ノアが立ち上がる。


「──あの人形、後で処分致します」


「えっ、ノア様それは穏便にっ……」


「穏便など、潤様がぬいぐるみの胸を揉んだ時点で消えまし


「──あの人形、後で処分致します」


「えっ、ノア?それは穏便にっ……」


「穏便など、潤様がぬいぐるみの胸を揉んだ時点で消えました


こうして新作の試験が始まったのである……




あとがき小話

X当番、犯人はお前だ編


作者『今日のX当番、サボりが発覚しましたー!』


(部屋の中央、ホワイトボードの前で腕組みする作者。後ろにはでかでかと「当番表(再掲)」と書かれた紙)


ノア『誰ですか?ちゃんとこの間役割当番決めましたよね?私、月曜・火曜・水曜・木曜・土曜・日曜、担当したいと言ったのに……泣く泣く諦めて、土曜だけにしたのに……』


ユズハ『サボったのって金曜ですよね〜?』


ミリー『えっ!?ミリーじゃないよ!?ミリー、ちゃんと木曜日つぶやいたもんっ!ほらっ、ウサ耳の写真アップしたやつ!』


リア『木曜はこちらで確認済み。写真フォルダのタイムスタンプも一致してる。潔白でしょう』


カエデ『ほな金曜って……ユズハちゃんちゃうの?』


ユズハ『えっ!?いや〜……そ、それは……っ! た、たぶん……電波障害的な……宇宙の乱れ的な……』


ノア『つまり、**“投稿が宇宙に吸い込まれた”**と?』


作者『言い訳がアニメ第23話くらいで急にシリアス展開始まったみたいな匂いしてるぞ……』


ユズハ『うぅ……ちょっと香水のせいかもしれません……♡』


カエデ『出たー!逃げ切れへん時の小悪魔ムーブや〜っ!』


エンリ(ふふっと微笑みながら)『では、今夜はユズハさんが投稿して反省の気持ちを伝える……ということで、よろしいですね?』


ユズハ『ちょっ……あ、え? 今夜って……もうあと15分で日付変わるんですけど!?!?』


ノア(きっちりメモを取りながら)『それと、来週の金曜は私が代理で担当します。ユズハさんの信用が回復するまで、当番表からは外しておきますね?』


ユズハ『ノアちゃん容赦なさすぎじゃない!?会社なら左遷レベルだよ!?』


作者『──では、決まりだな。再発防止のため、全員で“真面目にやると決めた時のユズハ”の顔真似10秒間いきまーす』


潤(なぜか横で巻き込まれながら)『だから俺、関係ねぇって……!』



X当番──それは戦い。

ヒロインたちの“人間味”が垣間見える、ちょっとした事件でした。

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