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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第2章『作者がやりたいことやるでしょう』
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第121話『俺、なら行ってみろよ!って言う』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!








リアは確実に怒ってる。

いや、正確には──鬼神の如くガチギレ寸前ってやつだ。


というのも。


「せんぱ〜い♡ お化け怖いんですかぁ〜? ぷぷぷっ、まさかユズハちゃんがいないと寝られないんですかぁ〜?」


「お化けとか幽霊とかよーわからんもん、怖がりすぎやで? ほぉんま肝っ玉ちっさ〜!」


目の前で笑い転げるのは、テンションで墓場に突っ込む小悪魔と、脳筋な関西弁の甘えん坊である。

俺とリアが、前回の“あの宿”でどれほど恐怖を味わったかをまるで伝える気がない。


「怖くなんか、ありません……っ! や、やめなさい……頬をむにゅむにゅとするのは……!」


必死で反論しながらも、頬をぐにゃらせたままのリア。

いっそホラーよりホラーな顔面だが、可哀想なので黙っておく。


(……てか、俺も同じくらいトラウマなんだけど?)


そう、俺たちは理不尽なほど怖い宿を体験済みなのだ。

あの鏡、あの天井、あの“何か”。

忘れようとしても忘れられない恐怖が、フラッシュバックでぶん殴ってくるレベル。


「じゃあもう、あそこにお前ら二人で泊まってみろよ! どれだけ怖かったか、体験してこい!」


思わず叫んだ。

こっちは人生をかけて逃げ帰ったのに、こいつらは地獄のディズニーランドだとでも思ってんのか。


「ええけど? うちらだけやとビビってたかどうか、確かめようがあらへんしなぁ〜」


「そうですよね〜? やっぱり比較対象がないと☆」


──ちょ、まてまてまて。


「せやから〜潤くんとリアちゃんも一緒に行ったらええんちゃう?」


「再現実験って大事ですもんね〜! あ〜科学的ぃ〜♪」


勝手に拡大される地獄旅行。

こっちは記憶消してでも逃げたいトラウマを、ホイホイ引っ張り出してくるんじゃねぇ!!


「わ……私はっ、べっ、別にその……っ! 行きたいとかは……っ!」


リアの顔が、クレヨンしんちゃんのブルブル顔芸みたいになってる。


(いやいや、俺も同じだから!?)


「お、おれも嫌だ! 絶対に行かないからな! 誰が行くかあんなとこ!!」


──そのとき。


「あら? どうしたんですか? 楽しそうですね」


ちょうど通りかかったのは、我らが癒し担当にして天然災害級の包容力お姉さん──エンリだった。


(きたっ……! このタイミングで現れるって、もはや天啓……!!)



前回はへっぽこ合理少女リアと二人っきりだった。

でも今回は!


「いいところに来たエンリ! 今から4人でお泊まり行くぞ!!」




「ふふっ、いいですね。それではお夜食の準備をしておきますね♪」


これで勝ち確!

さぁユズハとカエデ!

お前らのビビり散らかす悲鳴を堪能してやる!


こうして俺ら4人はあの宿に再び泊まりに行くのだった……


そして、問題の宿の前。


やっぱり……何度見ても──

風通しが異常に良さそうな古民家。


かなり好意的に言って、レトロ。


冷静に言うと──廃屋。


(いや、ツタ絡んでるし……玄関、ちょっと傾いてない?てか、「ようこそ」って文字の札が逆さなんだけど……!!)


「せんぱ〜い? シャンプーハット持参って、子供すぎませんかぁ〜?」


「違うわッ!お前らわかってない!あの宿のシャワー、の恐ろしさ知らないだろ!?

泣きついてきても貸さねぇからな!これは命の装備なんだよ!!」


「ウチら、いらへんもーん♪なー、ユズハ〜?」


「ですです〜♡ せんぱい、それ被ってるところ、ちょっと写真撮っていいですかぁ〜? “夜の戦士”みたいでウケる〜☆」


(こいつら……!絶対に後悔させてやる……!)

(この中で**唯一の“生還準備済み”が俺だということを思い知らせてやるからな!!)


 


「それより、ユズハ?」


「はいは〜い?」


「何で……そんなパーティー会場みたいな格好してんの?」


「え〜? お泊まり会といえば、こういうラメ入りパーカーとカチューシャと──」


「お前、映画の女子会シーンだけ切り取って来たのかよ!?」


(誰か“泊まりに来た”じゃなくて“映えに来た”って言ってくれ……)


 


チラリと隣を見ると、エンリが微笑みながら頷いた。


喋らずとも伝わる、包容力の極み。

癒しの女神。全てを受け入れる余裕の塊──


 


(……で? 何でその手に手作りハーブピロー持ってるの?)


(完全に、リラクゼーションに来てるじゃん……!?)


 


そんなこんなで、満場一致で泊まる気満々なヒロインズとともに──


俺たちは、ついに宿の中へと足を踏み入れた。


(……生きて帰れる気が、まるでしない……!!)






あとがき小話

リアの部屋にて(夜11:52)


──作者、足音を殺し、そっとドアを開けた。


室内は──ほとんど物音もなく、空気まで研ぎ澄まされている。


観葉植物と香りの薄いアロマ。

棚には整然と並んだ書籍、技術書、心理学、詩集、そして──ひときわ目を引くのは『演出心理の逆転理論』。


リア『……これは、“あえて言葉にしない選択”の有効性か……』


(ペンをくるくると回しながら、ソファで脚を組んで本を読んでいた)


リア『“黙ることは、最も強力な言葉になりうる”──ふふ、面白いですね』


──テーブルには湯気の消えかけたハーブティー。

付箋だらけのノートの一角に、“潤”という名がちらっと見える。


リア『……葉山潤。』


(その名前を呟いて、すぐに目を閉じる)


リア『あれだけ騒がしい日々なのに……気づけば、思考の中心にはいつもあなたがいる。』


(かすかに、唇の端が緩む)


リア『……少し、腹立たしいくらいに。』


──ページを閉じ、本を抱えながら立ち上がる。

静かにカーテンを開け、夜空を見上げたリアの横顔は、いつもよりずっと──柔らかかった。


リア『次に会った時は、……少しだけ甘くしてみましょうか』


──作者、扉をそっと閉めた。


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