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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
119/262

第101話『俺、滑り出しで全部終わりかけた』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!








──ついにその時が来た。


照明が静かに落ち、会場全体が沈黙に包まれる。


(……これ、ほんとに俺が話す空気か? マジで?)


壇上の中央に足を進める。靴音が反響する。乾いた喉が、口の中で音を立てた。


投資家たちの視線が突き刺さる。全員がこの瞬間の“意味”を受け取ろうとしているのが、肌でわかる。


俺はマイクの前に立ち、小さく深呼吸する。


【スキル発動:《会見演出(Lv4)》】

効果:スピーチ・演説時、構成・抑揚・印象付けが自然と最適化される。

※ただし使用者の演技力が低い場合、逆効果となる可能性あり。


(よし……いける……いや、いける気がしない)


指先に汗。心拍が変なリズムを刻む。

まばたきが妙に増えてきた。視界がチカチカする。


「えー……あの……潤です……えっと、その……潤って書いて……えー、ポテチが好きです……」


一瞬、会場の空気が止まる。


(おい俺、いきなりポテチって何!? 挨拶スピーチで最初に出す単語じゃねぇだろ!!)


誰かが目を細めた。


「……ポテチ、か」


「おそらく“素朴さ”の象徴。彼は我々との心理的距離を縮めるために……」


「いや、むしろ“庶民性の仮面”。そう簡単に読ませない気だ」


「“潤い”と“塩分”の対比……水と塩。生命の根源だ」


「そこまで読み取れる人、他にいました?」


(どっちも違う。俺はただ脳がフリーズしてたんだよ!!)


「えーと……僕は、もともと……無職でした」


投資家の間にざわめきが走る。が、それは失望ではなく“緊張感”に変わった。


「無職という言葉をここで使うか……」


「正面突破……“弱さ”を見せることで、逆説的に“強さ”を演出している」


「それに“でした”と過去形にしたところも意味深だ。今の自分との対比を強調した」


(いやもう黙っててくれマジで!過去形も何も、それ以外言いようがなかっただけだから!)


「ブラック企業に……心を……ぐしゃっとされて……で、寝て起きたら、なんか、今ここにいます」


(あぁ〜〜完全に詰んだ。寝て起きたらここにいましたって、異世界転生かよ!)


ざっ……


誰かがわずかに椅子の位置を直す。

それが合図のように、別の投資家がうなずいた。


「“寝て起きたらここにいた”……示唆に富んでいる」


「再起。再生。“潤”という名との整合性が取れている。彼は何もかも計算して話している」


「あるいは“社会のループ構造”への問題提起かもしれん」


「そもそも“寝ている間に状況が変わる”という比喩は、無意識と意識の乖離を……」


「いや、それに気づけるの、たぶん私くらいだと思うんですよ」


(してない!俺のどこにそんなメッセージ性あった!?)


スキル《会見演出》のせいなのか、俺の間や抑揚が“あまりに整って”聞こえるらしい。


「……だから、その……僕たちは、変わりたいなぁって……思って……ます」


静寂。


(“なぁ”とかつけちゃったし……すっげえ不安定な語尾……絶対減点だろ……)


「“変わりたいなぁ”……あの語感、あえてだな」


「ええ。理想に手が届かない人間の“現実的なもがき”。完全ではない、未完成な誓いこそ──本物」


「“なぁ”にこそ真実が宿る」


「“なぁ”をあえて語尾に使うなんて、なかなか勇気が要る。“敢えて崩す”ってことですよね」


「いや、“なぁ”を使うのは単なる感情表現じゃない。“共感の余地”を残してるんです。わかります?」


(わかんねぇよ!!)


「──だから、もし……少しでも、共感していただけたら……その……力を、貸して、ください」


最後の“ください”で、ほんの少し声が裏返った。

マイクの前で小さく咳払いする。


(終わった……これ完全に終わった……)


一拍。

会場が静まり返る。


そして──


「“声が裏返る”ことで感情の高まりを示した……」


「言葉に感情を乗せすぎない、絶妙なバランス」


「……これは投資だ」


拍手が──始まった。


それはまるで静かな波が岸辺に届くように、会場の奥から少しずつ広がっていく。


「彼の沈黙、あれは“間”ではなく“問い”だったのか」


「そうか……聞く者に委ねるスタイル……気づいてなかった人もいるかもしれないですね」


「私は途中で気づいてました」


(だーかーらー! なんで誰も“そのままの意味”で受け取ってくれないんだよ!?)


壇上の照明がほんの少し明るくなる。


前列の投資家が頷きながら、俺に向かって笑みを浮かべた。


(待って待って待って、俺ほんとに何もしてないよな!?)


投資家たちは互いに意味ありげな視線を交わしながら拍手を続ける。


(これもう俺が喋った内容じゃなくて、周囲が勝手に神話化し始めてるやつじゃん!?)


壇上を降りながら、指先に残る汗がやたらと重く感じた。


視界の端でヒロインたちがこちらを見ていた。


ミリーは満面の笑みで両手を振り、カエデは「ふふん」とドヤ顔で腕を組み、ノアは目を細めて静かに微笑んでいる。


ユズハは何故か片手を口元に当て「これは来ましたね〜」と実況していた。


(なぁ……俺、今、なんもしてないよな……?)


ポテチの袋を手に取る。

指に塩がついた。


(いや……もうこれでいいや……)


静かに、それをひとくち。




あとがき小話

〜作者、口調キャラになろうとするの巻〜


作者『好きな喋り方ってあるじゃん? “わっち”とか“うち”とか、可愛さの塊みたいなやつ!』


潤『ほぉ〜ら出たよ、また唐突に語り出したぞコイツ……で? どの系統が好きなの?』


作者『例えば“狼と香辛料”のホロとか……あの“わっち”って喋り方、破壊力高すぎん?』


潤『わかる……珍しく認めざるを得ないやつだな……あれで知性持ちとか無敵じゃん。』


作者『あと“リリカルなのは”のハヤテとかも可愛い。あの“うち”って柔らかい口調、癒しすぎて地球に優しい。』


潤『それってウチの……いや、カエデのポジションじゃね?』


作者『違うんだよぉ! カエデは関西弁ベースで甘え倒してくる元気っ娘でしょ? 俺が今欲しいのはもっとこう、包容力と柔らかさが同居してるやつ! 作風的にどうしても“ほんわかした関西ママ”にはなれなかったのよ……』


潤『ママて。あいつ聞いてたらスリッパ飛んでくるぞ。』


作者『でもさ、口調ってキャラの魅力に直結するじゃん? あれがあってこその“らしさ”ってあるし……』


潤『まぁな。ユズハの「~ですかぁ?」とか、リアの冷静な「……理解に苦しみますね」とか、あれなかったら中身だいぶ変わるしな。』


作者『だよね!? だから俺もなんか特徴的な喋り方したいな〜って!』


潤『え、今更? もう読者の脳内で「平常運転ヘタレ男子」で固定されてると思うけど……』


作者『よ〜し! じゃあ“イケボ”路線でいってみようかな?「僕ちんわぁ〜、今日は〜執筆する気がぁ〜しないぃ〜」みたいな♡』


潤『今すぐその喋り方やめろ。俺が恥ずかしい。読者も恥ずかしい。あと多分全ヒロインが引く。』


作者『でもでも、たまにはさ! いつもテンパってばかりの主人公じゃなくて、優雅に微笑んでキザなセリフ吐くくらいしてもよくない!?』


潤『やめとけ、せめて台詞の中だけにしとけ。

あと何より……作者、口調どうこうの前に中身が変わらんと意味ないぞ。』


作者『中身も変えるよ!? 明日からは真面目に……執筆も……ちゃんと……やるし……』


潤『……語尾のフェードアウトやめろ。めっちゃ怪しいわ。』


作者『でも今日はもう寝たい……』


潤『やっぱりいつも通りじゃねーか!!!』


作者:pyoco(“わっち”って一回くらい言わせてくれませんか?)

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