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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
110/262

第93話『俺、鳩とは平和の象徴なのか疑う』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!








──俺、葉山潤。

まさか、こんなことで祝われる日が来るとは思ってなかった。


「潤さん、お疲れさまです」


出社前の静かな朝。なのに──


「おっはよーーーっっ!!!」


ドアが勢いよく開いた。


「じゅんくーん!おめでとーっ!! よくわからないけどおめでとーーーーっ!!!」


ミリーが元気よく突撃してきた。

ぴょんぴょん跳ねながら、全力の笑顔。もう跳ねてるだけで部屋が明るくなるレベル。


「……いや、お前わかってないんかーい」


「あはっ!でも、じゅんくんが褒められてるのは嬉しいのー!」


そのまま飛びつかれて、抱きつかれる。いや、柔らかさの前にこのテンションの高さでちょっと酔う。


「潤様。改めて、おめでとうございます」


ノアがそっと歩み寄ってくる。落ち着いた声、凛とした仕草。……けど、手に持ってる紙が気になる。


「本日、プロジェクト抜擢ということで──お祝いに“ふたりきりでのお出かけ”などいかがでしょうか?」


「いや、普通に嬉しいけどさ、そんな目を潤ませながら誘わなくても……」


「もしくは、これなど──届け出書類になります。ここに印鑑さえいただければ、晴れて私たちは……ふふ」


「なんの届けだよ!!」


しれっと婚姻届っぽいの差し出してくんな!! 字がもう“届け出る”ってなってるし!


「せんぱ~い、会えなくてユズハちゃん成分足りてなかったんじゃないですかぁ~?」


ヒョコッと顔を出したのはユズハ。小悪魔ポニテ。Vネックにスカート。ピースしながらくねっと身体を傾けて──絶対計算してるだろそれ。


「いますよ~ユズハちゃんが~? 愛でてくれても、いいんですよ~? キャッ☆」


「うん、わかった。落ち着こうな?」


「えー? せんぱい冷たいですぅ~。ユズハちゃん、今日の主役のはずなんですけど~?」


いや違うわ俺や俺! 今日ばかりは譲らんぞ!


「潤くん……」


どこからかしっとりとした声が降ってくる。


「うち……ほんま、もうあかんかと思ってたわ。潤くんの実力が分かる人、おらへんのやないかって」


そう言いながら、カエデがそっと俺の腕に抱きついてきた。

至近距離。距離感ゼロ。顔近い。


「けどな? 潤くんはやっぱりすごいんよ。うちの誇りなんやから」


「いや……うん、ありがとう。……でも」


「でも?」


「無理だと思ってたんかーーーい!!」


ちょっとは信じてくれてもええやん!? なんで泣きそうな顔して褒めてからのそれ!?


「……潤さん」


一際静かな声が、全体を包み込む。


「お疲れでしょう? 少し、膝枕でも……」


振り向くと、エンリが穏やかに微笑んでいた。

まるで“全てを許してくれる世界”みたいな顔してる。座布団出てきそうな勢いで。


「今日ぐらいは、甘えていいんですよ? 疲れたときは、誰かに預けるのも大切です」


いやもう、すごいな……清涼感が。

何かの香りするんじゃないかってレベルで癒される。なのにこの場がカオスになってるのも事実。


「……まったく。騒がしいですね、皆さん」


冷静なトーンで入ってきたのはリア。

腕を組んで、全体を分析するように眺めてる。


「でも……面白い。あなたたち、誰一人として譲る気がないのね」


その口元が、ふっと緩んだ。


「私も、別に譲る気はないけれど。ね、潤?」


全員が俺を見る。


──こ、これは……。


「いや、だから! これはお祝いじゃなくて、俺の取り合いの場になってるだろ!!」


助けてくれ誰か!!

いや、エンリの膝はたしかに気になるけど! でも今は落ち着かせて!!


(……なんかもう、出社前なのに疲れたわ)


時計の針は、まだ朝の8時前だった。



* * *


出社する。


エレベーターは28階──

今日から俺が所属する、“日曜プロジェクトチーム”のフロア。


「ふー……」


さすがに緊張する。

なんせ、電柱社の中でも“超選抜”と噂される部署だ。


……そして隣には、


「おはようっす。がんばるっすよ、応援してるっす」


──やる気ゼロの松久先輩がいた。

タピオカの紙パック片手に、目は眠そう、背筋もまるで伸びてない。


「いや、先輩もがんばってくださいよ……」


「がんばるっすよ。心の中で」


「出してくれそのまま表に……!」


エレベーターが静かに上昇していく。


「ところで先輩、プロジェクトチームって……どんな人たちなんですか?」


俺の問いかけに、松久先輩はモニターの数字をぼんやり見つめながら答える。


「……鳩っすね」


「鳩?」


「うん、鳩。平和の象徴。ちゅんちゅんっすよ」



「それスズメじゃないですか!?」

ちゅんちゅんて……


でもたしかに、優秀な人たちが集まってるなら、自然と協調も生まれるのかもしれない。

和気あいあいとして、意見を尊重し合って、高め合って──


そんな理想のチーム像が、頭に浮かんできた──


──チン。


到着音。

エレベーターの扉が、音もなく開く。


「──って、うおい!!!」


「オメェおせぇえよ!!! コピー用紙は出してから2秒で取りに行けって言ったろが!!」


「こっちの書類、ハンコねぇぞ!? 指詰めるか!? おい!!」


「どうしようどうしようもうおしまいだァ……!」


怒号。罵声。悲鳴。

遠くで机を叩く音。

フロアの空気が、明らかに“常軌を逸している”。


「……あっぶね」


俺はそっと、エレベーターの「閉」ボタンを押す。

静かに、そして確実に、扉が閉まっていく。


──ガタン。

扉が完全に閉まった。


(ちょっと待って……何これ!?)


目が血走った連中。

書類に怒鳴る人間。

デスクで震えるOL。

もう“鳩”どころじゃない。

平和どころか、あれはもう戦場の最前線じゃないか……!


「……先輩。いまの、見ました?」


「見たっす。鳩じゃなかったっすね」


「いやそれどころか、毒くちばしで襲ってくるタイプでしたよねあれ!」


「うん、たぶん軍用に品種改良された方の鳩っすね」


「だからそんな鳩いらねぇんだよ……!!」


心の準備ができてなかったとか、そういう次元じゃない。

あそこに入ったら──確実にHPごとMPまで削られる。


「……行くしかないっすよ、潤くん。

ここで逃げたら、“ちゅんちゅん勢”ってバレるっす」


「バレてもよくないっすか……?」


「だめっすよ。“荒野で羽ばたけるか”が、選抜の分かれ目っすから」


「その選抜、地獄への片道切符じゃないですか……」


でも、松久先輩がこんなテンションでも出社してるってことは、

少なくとも“全滅するほどではない”──のかもしれない。


(……たぶん)


俺は最後にもう一度深呼吸して──再び「開」ボタンを押した。






【あとがき小話】


作者『さてさて、お待たせしましたぁぁぁぁ!!今回はこの企画っ!──“口調シャッフル選手権〜ッ!”』


潤『……言っとくけど誰も待ってないからな。あと選手権ってなに勝負だよ』


作者『次のチャレンジャーは〜!冷静知性の女神・リア!そしてふんわり距離ゼロの関西娘・カエデ!』


潤『ああああやばい、絶対ろくなことにならないやつぅぅぅ……』


作者『ではまず!リアさん、カエデ風でお願いしますッ!』


リア(やや沈黙しつつ)『んふふ〜……うちのこと、ちゃんと見てくれてるぅ? ふわっと包んだるさかい、離れたら……あかんよ?』


潤『誰ッ!?!?誰だよ今の!!!』


リア『……声帯と脳が拒否してます……が、感情の模倣は有効な学習手段です』


カエデ『んふっ、真面目すぎるやろ〜!でもちょっと似てたで?“ふわっと”のとこは!』


作者『続いて〜!カエデちゃん、リアモードでお願いします!』


カエデ(姿勢を正し、超低テンションで)『……感情を排し、冷静に判断するべきやな。でなきゃ、論理が迷子になるで』


潤『おい、カエデ……お前まで誰やねん状態やぞ!?』


カエデ(真顔)『私の中の知性が目覚めてしもたんや……潤、お前、もう逃げられへんで』


リア『その使い方はおかしいです』


カエデ『あ、やっぱり?』


潤『もうやめろぉぉぉ!!俺の知ってるヒロインが遠ざかっていくううう!!!』


作者『あ、じゃあ次は“エンリ×ユズハ編”やりまーす!』


潤『やめろおおおおお!!!』


 


作者:pyoco(次回は“エンリの小悪魔化”により全員崩壊の予定)

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