表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
106/263

第90話『俺、金脈を掘り当てる』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!






──三日目の朝。


目覚ましより早く目が覚めるとか、

社長やってた頃の俺なら考えられなかった。


……いや、元社長、な。

今の俺は裏口入社の窓際野郎だ。


寝起きの頭で、スマホを手に取る。

通知──24件。全てLINE。

察しはついてる。開く。


──そこには、“地獄の朝刊”が並んでいた。



【ユズハ】

《せんぱ〜い☆ 昨日の“デスク埋没事件”、GIFにしましたよ〜!》

《タイトルは『社畜ダイブ2025』です♡ 第2弾も期待してますっ!》

(※どこに投稿してんだよ)


【ミリー】

《じゅんくんっ! 今日も会社行くの? えらい!》

《ミリーだったら3日目はお布団に引きこもってるよ〜》

《じゅんくんって……ドMなの?》

(※この圧で引きこもってるのはお前だけだ)


【カエデ】

《潤くんが脱出したなったらウチが爆速で迎えに行ったるで?》

《原付改造したやつやけど♡最高時速は……言えへんなぁ〜》

(※言って?警察に)


【ノア】

《潤様、非常口の配置図をお送りしました。念のためご確認ください》

《本日の退路は3パターンございます。GPS動作確認も済んでおります♡》

(※脱獄支援か!?)


【エンリ】

《……大丈夫。今日も、あなたなら大丈夫です》

《あなたが耐えている時間、私も同じ空を見ていますから──》

(※やめろ、詩的に励ますな。逆に辛いわ)



「うるせぇよ……!!!」


俺は枕にスマホぶん投げて、

10秒後に「あ、やべっ」と言いながら拾った。


──こうして俺は、今日も地調第3課へ出勤する。



エレベーターで9階へ。

誰もいないフロアの奥、封印された部屋みたいな地調第3課の扉。

ガコンと開けると──


「……誰もいねぇな。あれ?今日は先輩いないのか?」


空っぽの椅子。半分死んでる蛍光灯。

PCはスリープという名の昏睡状態。


昨日と変わらない。

“無音の戦場”、開幕である。


俺は黙ってデスクを通り過ぎ、倉庫へと足を向けた。



──再挑戦、である。


昨日、俺は金脈を掘るどころか、

ホコリとカビと割り箸に裏切られて終わった。


でも。


「なんか……昨日より目が慣れてきた気がするな……。

いや、“敗北で視力アップ”ってどんなRPGだよ……」


ブツブツ言いながら、最奥のゾーンへ。

昨日の時点では“目にすら入らなかった”棚の裏側。


「……このダンボール、埋まってて見えなかったな」


ズズッと引っ張り出す。

重い。嫌な予感がする。


「こいつ……重さの割に希望の香りがしない……!」


ダンッと机に置いた瞬間、

舞うホコリが視界を奪った。


「うっわ!目!目ぇぇ!! なんか……ちょっと味するんだけど!? カビって食べ物なの!?」


むせながら、俺は中を確認する。


──そこには、

分厚いファイルが一冊。


表紙に書かれた手書きの文字。


『営業見込みリスト(2017〜2019)』


「営業……? 見込み……?」


ページをめくった瞬間──俺は固まった。


びっしりと埋め尽くされた顧客リスト。

色分けされたステータス。

手書きで詳細に書き込まれたやりとりの記録。

ペンの筆跡、メモ欄の配置──


「……これ、誰だよ……どんな執念で書いたんだよ……」


資料としての精度が異常だった。


この会社、ここまでやってたのか?

いや、これを“ここ”に放置してたのか!?


最後のページ──


そこには、ポストイットが一枚、貼られていた。


『使うなら──命懸けで使え。』


「……なにこの煽り文句……ビジネスジャンプかよ」


でも、笑えなかった。


なぜなら──


そのファイルには、本物の熱量がこもってたからだ。


これは……実績になる。

いや、使い方次第じゃ、一発逆転の切り札になる──!


俺の脳裏に、昨日の“日曜プロジェクト”の情報が浮かんだ。


「……使う……?」


ファイルを抱えながら、俺は小さく呟いた。



──地調第3課・俺の机。


ファイルを開いたまま、思考が止まっていた。


「……実績には、なる。間違いなく」


このデータ群、マジでとんでもない。

もはや営業マニュアルにできるレベル。

過去の顧客履歴から見込み先の再起動まで、“一人で数課分の仕事を網羅してる”って言っても大袈裟じゃない。


「でも……これ、使えるか?」


問題はそこ。


俺の肩書きは──“ゲンジの推薦で裏口入社した新人”。

配属先は“社内島流し窓際部隊”。

そんな奴がいきなりこれ出したら、どう思われるか?



【脳内:俺が提出した場合の地獄シミュレーション】


人事部長(仮):「ふ〜ん、これ君がまとめたの?」

→ ニヤリと笑いながらファイルひったくられる。


経理女史(仮):「なんか……すごいね?(棒)」

→ 明らかに疑ってるし鼻で笑ってる。


隣の課長:「ってか、それ……昔の資料じゃない?」

→ 大声で言われて、空気が一瞬で冷える。


社員A:「裏から持ってきたんじゃね?パクった系?」

→ そっとSlackで裏で晒されてる。


社員B:「推薦で入ったやつってやっぱ……」

→ 俺の後ろで言われてる。



「うおおお……想像だけで精神が死ぬ!!」


勢いよく椅子にのけぞった。

思わず声出た。

誰もいないのに恥ずかしい。


「使いたい……使いたいけど……この肩書きじゃ使えねぇぇ……!」


ファイルの中身をスキャンしようかと思ったが、

途中で手が止まった。


「……ってか、これ全部、“誰か”が書いたんだよな」


ページの端にある小さな走り書き──

『取引先の受付が変わってた(9/4)』

『ここの社長、昔ジャズ好きだった気がする?』

『週末の連絡は×、絶対にNG(教訓)』


どれも、“数字”じゃない。

“人間”として向き合った痕跡だ。


「──これ、俺が使っていいもんかよ……」


指先が、手帳の紙の隅をなぞる。


誰かが、ここで、静かに仕事をしていた。

誰にも気づかれず、成果にならず、

でも──手を抜かず、誇りだけは捨てずに。


「……うわ、急に重い。

なんか……墓暴きみたいな気分……」


ファイルを閉じる。


「ダメだ。やっぱり、俺には……」


背もたれに沈み込み、天井を仰ぐ。


──沈黙。


──蛍光灯の「ジ……」という音。


そしてその静けさの中で、

隣の席から──


「……それ、使うの?」


不意に、松久先輩の声が落ちてきた。



パソコンのファンがかすかに唸っている音の中で──

その声だけが、やけにクリアに聞こえた。


俺はゆっくり顔を上げた。


「……松久先輩」


先輩は、椅子に深く沈みながら、

モニター越しに俺を見ていた。


その表情は変わらない。

まるで、カップ麺の湯戻しを見守るかのような目だ。


「それ、けっこうなファイルでしょ」


「……まぁ。営業資料としては、バケモンっすね」


「じゃあ、出せば?」


「いや……」


俺は言いかけて、口を閉じた。

出したら、間違いなくバズる。

けど、今の俺の立場で目立つのは──地雷の踏み抜きだ。


「……俺が出したら、潰されるかもしれない」


「ふーん」


松久先輩は、パキッと割り箸を折った。

今日2回目だ。何かの儀式か?


「使わないなら、それもありなんじゃない?」


「いや、だからそれができりゃ苦労しねぇって……!」


口をついて出た言葉が、情けなかった。

出したい。でも怖い。でもこのままも嫌だ。


先輩は、一度だけ目を伏せて──

そして、ぽつりと言った。


「火種は、消すより……投げた方が面白いっすよ」


「…………」


俺の思考が、止まった。


「……は?」


何その言い回し。

詩人? いや、哲学者?

いや、カップ麺カルト教祖!?


「いやいや、意味わかんねぇよ!? なんだよ“火種は投げた方が”って!!」


そう言いながらも──

胸の奥に、火が点いた気がした。


背中を押されたというより、

導火線に火を付けられた感じだ。


「いいだろう……火種、投げてやるよ」


俺は再びファイルを開き、

スキャンソフトを起動する。


「誰が作ったかは知らないけど──使わせてもらうぜ、地底の遺産!!」


カタカタと打ち込む指。


“実績を叩きつけて、あの“日曜プロジェクト”に乗り込む──!”


その先に、社長がいる。

電柱社の裏を暴くために、俺は、掘り返す!


「営業リスト、改造開始だぁぁぁぁあ!!」


第3課の空気が、少しだけ動いた気がした。

カップ麺の香りと一緒に。



あとがき小話


作者『世にも奇妙な物語で俺が一番好きな回ってさ……』


潤『また急だな』


作者『あの“電車でお弁当食べるやつ”な。ご飯とおかずの割合間違えたら地獄になるやつ。』


潤『あー、わかるわ。最後ご飯だけとか、最悪だもんな』


リア『比率を計算して食べる……それは極めて合理的な戦略です』


作者『あれ見てから、ご飯とおかずの配分ミスると罪悪感がすごいのよ……』


潤『どんだけ引きずってんだよ。おかず三連続で食ってもいいだろ別に』


作者『それと似た感じでさ、映画館のポップコーンも“クライマックス手前までに7割消費”が理想なのよ』


潤『もはやライフハックじゃねぇか……』


リア『理に適っています。クライマックス中に手を動かすのは集中力低下の要因になります』


作者『あと、炊き立てご飯の湯気吸う時、**“あと3秒で香り消える”**って思いながら深呼吸する』


潤『なんだよその一人制限時間……』


リア『香りの立ち上がり時間には限りがあります。嗅覚重視の作法として妥当です』


作者『コンビニスイーツのフィルム剥がす時も、**“どこまで芸術的に剥けるか”**が勝負だと思ってる』


潤『絶対一緒に食事したくないタイプだな、お前』


リア『私はむしろ、その集中力に敬意を表したいです』


潤『いや今のは引けよ!?引くとこだろ普通!!』



作者:食べる時も全力で生きてるタイプの人間です。

リア:むしろ全ての行動に戦略性があって好ましいです。

潤:早く食え。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ