第89話『俺、無人島で社会と絶縁する』
いつも読んでくださって本当にありがとうございます!
なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、
感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、
どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。
いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)
一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!
──出社、二日目。
朝。
静かなビルのエントランス。
エレベーターに乗って、無人島──地域調整室 第3課へ。
部屋のドアを開ける。
「おはようございま──」と言いかけて、声を飲み込んだ。
誰もいない。
いや、正確には──**“人間らしき何かが一体”**、椅子に沈み込んでいた。
「……ぬふぅ……まだ3分じゃない……」
松久先輩だ。
今日はカップ焼きそばと会話している。
「お湯入れたからって油断するんじゃないよぉ……わかってる……?」
麺相手に精神論やめてくれ。
俺は定位置のデスクに着席。
照明は半分切れてる。
備品棚には“使用不可”の付箋。
プリンターは「紙詰まりのため死亡しました」と自己申告してた。いや生きろよ。
──そして何より。
音がない。
この部署、時計の針の音がBGMなんだよ。
「カチ……カチ……」
って、ホラー映画でしか聞かねぇんだよ、そのテンポ。
「ふぅ……」
俺はスマホを開いて、LINEを見る。
【ユズハ】
《せんぱ〜い☆出社おつかれさまで〜す♡》
《ちなみにユズハは今、アイス食べてま〜す♡》
《あとで写真送りまーす☆きらん♪》
【ミリー】
《じゅんくんへ!がんばってねの気持ちをこめて!ミリーのすっごい変顔送りまーす!》
(※画像:目が3割外向いてる)
【カエデ】
《ウチ、応援はしてるけどな〜……絶対そっちには行かんで?》
【ノア】
《潤様、もし辛くなったら……社内のどこにいても迎えに行きますから……♡》
《GPSも動作中です》
GPSって言ったよな今……?
最後にエンリからのメッセージ。
【エンリ】
《……無理は、なさらないでくださいね》
《でも、あなたが頑張ってる姿は……私、大好きですから》
癒された……けど、俺だけ戦地送りじゃねぇか。
「はぁ……」
ふと、カップ麺の方を見ると、松久先輩が割り箸を折っていた。
「……嘘つき……」
どんな裏切りがあったんだよその3分に──!!
──昼休憩。
俺は社内のカフェテリアで、エアチキン南蛮を口に運びながら考えていた。
「……社長に会えねぇ」
いや普通の社員ならそれは当たり前だよ?
でも俺、今回“調査目的の潜入”なんですけど!?
当初の予定では──
「まずは社長に接触して、直に話を聞く」
とか思ってたんだけど。
現実は甘くなかった。
聞いたところ、電柱社の社長ってのは**“雲の上の存在”**らしい。
「基本的に社内には顔出さないんですよね〜」
「総務でも実物見たことないって人いますよ」
「ていうか写真もほぼ出回ってないですよね」
「都市伝説説ある」
「いやマジで」
こっちは「顔合わせて会話したい」とか言ってんのに、
相手は顔そのものが“レアドロップ”状態とか……どうすんだよこれ。
しかも、俺の立場は“裏口入社で即窓際”っていう、
社員図鑑の最終ページレベルだぞ!?
このままじゃ、社長どころかコピー機との信頼関係すら築けねぇ……!
──と、ぼんやりカレー味のチキンを噛み潰してた時。
近くのテーブルの営業部らしき社員たちが話してるのが耳に入った。
「でさ、例の“日曜プロジェクト”さ……」
「うわ、あれやばいよな。選ばれたら社長直通ってマジらしいぜ」
「うちの課からも推薦あるらしいけど……まぁ、俺はムリかなー」
「“日曜プロジェクト”……?」
なんだその……朝のアニメみたいな名前のプロジェクトは。
聞くところによると──
・次期事業改革の中核になる新プロジェクト
・社長が直接選抜するメンバーだけで構成
・現場実績が最優先
・最終的には社長直下部署に転属される
……つまり。
あれに入れば──社長に会える。
その瞬間、俺の中で何かが繋がった。
「実績……今の俺にない。むしろ“在籍してるのがバグ”レベル」
「でも実績を出せば、選ばれる可能性が出る」
「……なら、作るしかないだろ──!」
俺は立ち上がった。
「会いに行こう。俺に、上がってくる“現場の声”があるから──」
……って言いたかったけど、
その瞬間にトレーの上のコップ倒して制服にアイスティーぶちまけたからな。
かっこよさはゼロだよ!
でも、方向性は決まった。
“実績”が全て──
なら、“実績になりそうなもん”を探すしかない。
俺は再び、地調第3課へ戻る。
地味で、埃っぽくて、社会から隔離されたようなあの部屋。
でもその中に──もしかしたら“掘り出せるもの”が、あるかもしれない。
「──実績、出すしかないよな……」
そう呟きながら、俺は“地調3課”の奥の資料室に向かっていた。
……資料室といっても、実質“なんでもぶち込み部屋”だ。
倉庫というか、**“会社の押入れ”**というか。
入った瞬間、湿気と紙のカビ臭で鼻の奥がバグった。
「よし……いっちょ、掘り出してやろうじゃねーか……」
古びた棚、傾いたキャビネット、ダンボールの山。
片っ端から開けていく──!
──が。
「……なんだこのフォント……」
最初に出てきたのは、見たこともない明朝体で印刷された名簿。
しかも“平成5年”って書いてある。
次。
「これ……ビデオテープ……!?」
おいおい、これ“DVD化してない劇場版”じゃないんだから。
デッキすら無いぞ。
次。
「“未送信FAXデータ”? って、誰宛だよ“タニグチ様(仮)”って……」
もう“仮”って自分で書いてんじゃねーか!
次。
パスワード付きWordファイル──開こうとしたらフリーズ。
Excel──開いた瞬間に文字化けで**“ギャアアア”**って出た。
「こっっっわ!!!」
とどめに「研修用マニュアル」と書かれたバインダーを開いたら、
中に書いてあったのは──
『仕事は気持ちとご縁です。』
いや情報をくれよ!!!
──結局、数時間探し回ったが、“成果”らしいものは何も出てこなかった。
紙まみれの腕で、壁にもたれる。
「……やっぱり、“無人島”って……そういうことだったのかよ……」
俺はため息を吐いて、デスクに戻る。
椅子に座って、突っ伏す。
呼吸だけが静かに出入りして──
──ふと、横を見る。
「……」
松久先輩が、割り箸を片手に、真顔で──
モニターに向かって“いただきます”のポーズを取っていた。
「……え、なんの感謝? コード? データに? 食う気なの!?」
完全に意味がわからない。
ていうか怖い。
俺はもう、何かがブチッと切れて叫んだ。
「ここ、ホントに社会の端っこすぎるだろぉぉぉぉぉ!!」
俺の声だけが響いた第3課に、
午後の時計の針が「カチ……」と無慈悲に進んだ。
あとがき小話
作者『潤……俺、ついに気づいたんだ……』
潤『嫌な予感しかしねぇ』
作者『読シャイ(読者シャイ)な皆が、なぜコメントをくれないのか──その理由を!』
潤『……いや普通にコメント欄の意味から再確認しよ?』
作者『…………あれって……遊び場じゃないの?(キョトン)』
潤『あぁもうダメだ!魔法少女回で脳のヒラヒラ落としたやつだコレ!!』
作者『いや~でもさぁ!真面目な話、会社ではクソ真面目だからさ? ネットでは超ふざけたいんですよ! “真面目”ってさ、職場だけでお腹いっぱいなんだもん!』
潤『うん、それはわかる。めっちゃわかる……が!』
潤『お前の“ふざけ方”の方向性が毎回ネジ取れてんの!!』
作者『……でも俺、赤ちゃん語も習得したし~』
潤『やめろ。続き言うな。』
作者『バニーコス披露したし~~♪』
潤『あ~~ッ!やっぱ言ったぁ!!』
作者『魔女っ子にもなったしっ!あとマヨネーズ星からの亡命者って設定も──』
潤『やべー奴すぎて話しかけられないんだよお前はッ!!!』
(作者、床に転がってバタ足)
作者『うぅぅ……潤が優しくない……読シャイの皆も優しくない……』
潤『いや逆だろ!?優しさで見守ってくれてるの!!“そっとしておこう”っていう深い慈悲だよ!?』
作者『……コメントくれたらさ、全力で返すのに……赤ちゃん語で……』
潤『だからそれが怖ぇんだよ!!!!』