第88話『俺、裏口から入社する』
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「……いや、なんで俺が行く流れになってんの?」
俺は会議室で、書類を片手に静かに問いかけた。
その書類のタイトルには──
《入社通知書》
推薦者:幻司 慶雅
という文字が、誇らしげに印字されていた。
「推薦されとるやん。うちの潤くん」
カエデがやたら満足そうに言う。
おい、他人事か。
「いや、だからなんで俺なの!? うち社員何人いると思ってんだよ!?」
「だってその会社、“女性にだけ優しい”って聞いたんですよね〜?
ユズハ、昨日ちょっと面接行ってみたんですけど〜、お茶出されて“お姫様かと思ったよ”って言われました〜」
「それ、甘やかされすぎだろ……」
「ミリーも! にこーってしたら、“あー今日も天使降りてきた”って言われたの!」
「完全にアイドル扱いやんけ……」
「ふふ。私も行ってみましたが……正直、職場としての実態はまったく掴めませんでしたね。
でも、“姫様はこうでなきゃ”とは言われました」
「待て、お前ら全員……」
──こいつら全員、バグってる。
「というわけで、潤さんっ」
パタン、とノアが書類を閉じて言い放つ。
「男性枠で、内部から状況を確認してきてください。……お願い、します」
「お前ら、俺が社長ってこと、もう忘れてない!?」
俺はこうして、
パワハラ疑惑のある──電柱社に就職することとなった。
……胃がキリキリする。
緊張と不安で、もはや口の中がビームの味しかしない。
ゲロビ、出せそう……。
そして迎えた、初出勤日──。
「せんぱ〜い、安心してください☆
泣いたらユズハちゃんに電話してもいいですよ〜?」
笑顔100%で送り出してくるユズハ。
いや、泣かされる前提やめろ。
「潤様……どうか、お気をつけて」
ノアは胸に手を当てて、**“旅立つ勇者を見送る村人代表”**みたいな顔してる。
この会社、勇者職じゃないぞ……。
「じゅんくーん! えいえいおー!」
ミリーは全力で拳突き上げてる。
いやその元気、俺にくれ。
「だのむでぇ潤くん!!」
カエデは涙目で俺の手を握ってきた。
こいつ、絶対に自分が行かない立場だから言ってるな……!
「潤さん……お辛かったら……言ってください」
……エンリさん。
やっぱりあなただけは、女神だよ……。
「俺、行きたくな──」
「私がまた明日も頑張れるように、
潤さんがしっかり癒しますから♪」
「エンリさーーーーーーん!!!」
なんか応援の仕方、完全に“温泉旅館に送り出す風”になってる!!!
──こうして俺は、
ゲンジ推薦の裏口ルートで、電柱社に潜入することになった。
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──電柱社。
ビルは立派、受付も洗練、社員の笑顔もスマート。
だが──
「……お前が推薦で入ったってヤツか?」
目の前の人事担当の男が、あからさまに眉をひそめていた。
ちなみにこの人、名札に**“人事部 調整課 梶原”**とあるが、笑顔は完全にオフ。
「ええ、まぁ。紹介というか、推されまして……」
「……はは、へぇ。あの方から推薦って、随分と“強いコネ”をお持ちで。
──では配属先、こちらです」
渡された書類にはこうあった。
《地域調整室 第3課》
なんか……やばい空気するんですけど。
──案内された部署のドアを開けた瞬間、世界の彩度が三段階ぐらい落ちた。
室内にはデスクが3つ。誰もいない。
蛍光灯は半分死んでる。
空気は淀み、BGMもない。
机の上には「着席時の正しい姿勢」みたいな昭和ポスターが貼ってある。なにこの文化遺産。
俺の心が死にかけたその時──
「新人さん? よろしくです〜」
奥の席からぬっと立ち上がった女が一人。
パーカー、スニーカー、無表情。
名札に“地調3課・松久”と書いてある。
「えーっと、葉山です。今日から──」
「とりあえずそこ座って〜。初日はダンボール整理ね。コード打ち込み。
打てば終わるし、打たなければ永遠に終わらない。それだけっす」
それだけってなんだよ怖ぇよ!!
「ちなみに……部署の方針とか……」
「“あんまり頑張らない”が課訓っすね」
課訓!?
企業って“やる気出そう”とかじゃないのか!?
言われるがままにパイプ椅子へ着席。
デスクの引き出しを開けると、謎のメモが一枚──
『来世に期待』
おい。
PC起動。
デスクトップに現れたフォルダ名──
《どうせ誰も見てない》
やめてえええぇぇえええええ!!
──こうして俺は、
**電柱社・地域調整室第3課、通称“社内無人島”**に漂着した。
……俺は今、社会の“表側”から──
見えないフタをされました。
あとがき小話
作者『こんな作風だけど実はブラックラグーンとかイニシャルDとかめちゃくちゃ好きなんだよね……』
潤『方向性どこで迷子になったんだよ。日本とブラジルぐらい距離あるぞ?』
作者『いやだってさ、ガンアクションと峠攻めるのってロマンじゃん?』
潤『そっからどうやって“スキルぶっこ抜きラブコメ”に転がったんだよ!?ガソリンからいきなりプリン出てくるぐらい意味不明だぞ!?』
作者『いや、もちろん最近のアニメも見るよ?ジャンプ系とか日常系もわりとなんでも』
潤『……で、その結果が“ムキムキプリンと天才探偵とスキンシップモンスター”か。混ぜるな危険って知らんのか』
作者『でも意外とハーレムものってあんま見てないんだよね……』
潤『え、まじで?』
作者『うたわれるものとスクールデイズくらいかな?』
潤『よりによってそっち!?しかも“うたわれ”はまだしも、スクールデイズって……』
作者『……影響、取り入れたほうがいいかな……?』
作者『♪ かなーしみーのーむこーえーとー……』
潤『やめろやめろやめろやめろ!!それやられたら俺、エンド迎えるやつだろ!!しかも最悪のやつな!?』
作者:pyoco(中に誰もいませんよ?)