第84話『俺、カエデの復讐を見届ける』
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「潤くんっ、ウチのチャリが──おらんっ!」
朝からカエデの絶叫が響き渡った。
その声に何事かと駆けつけると、カエデは会社の駐輪場で腕組みしながら仁王立ちしていた。
「……え、自転車、なくなった?」
「そうや! 昨日ここにちゃんと停めてた、ウチのピンクのハーレー・カエデビットソンがっ!!」
「……あのギラッギラのママチャリな」
「そう、それ! 前カゴにドクロのステッカー貼ってるやつ! 可愛い子なんやから!」
「いや、あれに“可愛い”って感覚があるのすげぇよ……」
カエデの愛車──会社の備品なのに“私物化”されてるピンクのド派手ママチャリが忽然と姿を消したらしい。
「鍵は?」
「かけてへん。ここ、会社の敷地内やし! そんな盗られると思ってへんわ!」
「……そっちの油断が問題なんじゃないか?」
ブツブツ言いながら、とりあえず近所を一緒に探すことに。
歩きながら、カエデはずっと怒っていた。
「もう許されへん……! 盗ったやつ、見つけたらただじゃ済まさへん!」
「ま、まぁ見つけても冷静にな? 暴力沙汰とかにはすんなよ……?」
10分ほど歩いたところで、住宅街の路地裏。
そこに──見覚えしかない派手なピンクのママチャリが停められていた。
「おったぁぁぁぁ!! うちのハーレーや!」
「それを“おった”って言うの、おかしくね……?」
車体は無事。ただしチェーンもロックもなく、明らかに“乗り捨て”られた雰囲気。
「盗られたのは腹立つけど……戻ってきたならまあ、よかったじゃん?」
そう言って帰ろうとした俺の袖を、カエデがつかんだ。
その表情は、怒りよりも静かだった。
「潤くん……これで終わりやと思ってへんよな?」
「……え?」
「ウチ、見つけたからええとか、絶対ちゃうと思うねん。返ってきたらチャラ? そんなん……甘すぎるやろ?」
言葉は穏やかだったけど、目は笑ってなかった。
「……潤くんはもう忘れてええよ。でも、ウチはちゃうからな?」
「……お、おう?」
その一言が妙に引っかかりながらも、俺はそれ以上聞けなかった。
──翌朝。
会社の前で、いつも通り掃き掃除をしていると──
「ぎゃあああああああっっ!!!!!」
鋭い悲鳴が社屋の裏手から聞こえた。
「……まさか……!」
反射的に箒を投げ出して駆けつけると、そこには──
地面に転がって悶絶している男と、倒れかけたピンクのママチャリがあった。
そして、そのサドル。
中心から、金属の棒が飛び出している。
「……えぇ……?」
衝撃で言葉を失っていると、横から軽い足音が近づいてくる。
「潤くーん♪ おっはよー♪」
その声の主は、満面の笑みを浮かべたカエデだった。
「……お、お前……これ……」
「ふふっ、ウチの“ハーレー”にはちゃんとセキュリティ付けといたからな?」
「いや、“棒が出る”タイプのセキュリティってなに!?」
「座ったらサドルがスコンと下がって、その圧力で仕掛けが発動して……ずぼっ、て棒が出るんや♪」
「語尾が楽しそうすぎて怖いんだが!!」
「でもケガせぇへん長さに調整してるで? びっくりするだけや♪」
「充分びっくりだよ!! 俺、見てるだけでお尻キュッてなってるもん!!」
悶絶していた男は、会社のバイトだった。
昨晩、また勝手に自転車を使おうとしていたらしい。
現場に駆けつけた警備員が、苦笑いしながら男を引き取っていく。
「いや〜……また無断で乗るやつ出たか。こっちも対策考えないとなぁ……」
「もう対策済みです♪」
「……カエデ、お前が怖いよ」
その日の帰り道。
カエデは自転車を押しながら、機嫌よく口笛を吹いていた。
「潤くん、今日も一日平和やったなぁ〜♪」
「いや、平和じゃねぇよ。お前のチャリ、戦闘用やん……」
「でもな? ウチのハーレー、守ってくれてありがとうな♪」
「いやいや、俺なにもしてねーからな?」
カエデは、くるりとこちらを振り向いて、片目をつぶる。
「せやけどな……潤くんがちゃんとおってくれるから、ウチも安心して仕掛けられるんよ?」
「“仕掛けられる”って言うな!! なんか犯罪っぽいからやめろ!」
「ふふ〜ん、次は潤くんのお尻に“棒”が出ても知らへんでぇ〜?」
「やめろぉぉぉ!!」
お尻キュッとさせながら俺が叫ぶ横で、カエデは今日も上機嫌だった。
作者『読たん……読ちん……みん……ちゃん……』
潤『……お前さ、今どこに向かってんの?』
作者『あっ、今なにかが……見えた気がする……
“ちゅんぴよ”“みゃるみゃる”“みんちょ”──』
潤『戻ってこい。絶対そっち幻覚だ』
作者『ちょっ、今、“みんちょたん”とか“ぴゅたん”とか……
なんかかわいい!語感だけで癒される世界線!』
潤『お前が見てるの、現実じゃない。あと“ぴゅたん”は危うい』
作者『ぴゅたん!?え、語感やばくない!?ちょっとタグに──』
潤『やめろバンされる!!!』
──あとがき小話、今夜も作者は正気を失っている。
潤『このあとがき、誰に届けるつもりなんだよ……』
作者『読たん……見てる……?(白目)』
作者:pyoco(タグ案「#読たん大感謝祭」だけ残りました)