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ひとりぼっちな一馬くん

第四話

一馬くんについての話です

 夏稀が更衣室で鼻血を出して倒れた事件から早数ヶ月。


「か、一馬くん……触るよ……」

「うん……」


 いまだにこの歪な友人関係は続いていた。

 相変わらず夏稀は俺の脚が好きなようで、もう何度目かわからないほど『俺の脚お触り大会』は開催されている。

 夏稀が小テストで満点を取ったり、バスケ部のメンバーに選ばれたり、大会で優勝したり、毎度差し出される『お礼』は『ご褒美』は様々だ。

 今回は抜き打ちであった古典の小テストが満点だったから、放課後に開催されている。

 

 今日も今日とて、いつも澄ました顔をしていて誰にでも平等に塩対応な無口イケメンが、俺の脚を触って興奮していた。


「は、わ、わぁぁぁぁあ……」


 それも天然記念物を触るみたいに。俺はそんな愉快な景色を上から眺めている。

 

 最近慣れてきて、初めての時のように赤面はしなくなったけれど、その代わり俺は 『俺と夏稀の関係』についてよく疑問を考えるようになった。

 

 『ただの友達』にしては、この行為は少し歪すぎる。『恋人』は絶対違うし、『親友』も違う。

 唯一、渋々頷けるのは『セフレ』で。セックスまではいかないけど『ソウイウ関係の友達』。

 友達以上、恋人未満。


 それで納得して完結してしまえば楽なのだが、どうにも腑に落ちなかった。

 物理の問題みたいに、いくら考えても答えの出ない問題を、夏稀が俺の太ももを触って興奮している間俺はぐるぐるぐるぐる考え続けている。


 俺たちは一体、なんなんだろう。


 『ただの友達』?『気の許せる親友』?

 それとも、名前を付ける程もない性欲処理?

 


︎✿

 


 四限目の現代文の授業が終わって、俺は友達の山口と購買戦争で勝ち取ったきなこパンといちごミルクを食していた。

 二人で雑談をしながら穏やかに暮らしていると、甲高い声や甘い声、大爆笑と言った言葉が相応しい声が、集団になって聞こえてくる。

 教室に入って来た、いわゆる『陽キャ軍団』の中心人物は俺の太ももが大好きな夏稀だ。


 俺の前ではいつも真顔を歪めていて、まるで熱狂的なファンのように接してくる夏稀。こちらが気分を害さないように一生懸命言葉を考えて慎重に発言する夏稀。

 きっと、今夏稀を取り囲んでいる連中はそんな姿考えられないだろう。

 優越感がじわりと滲む。

 

 


 北川夏稀は努力家でバスケが大好きで、接触を拒むくせに変なところで優しくて、イケメンで。老若男女にあり得ないくらいモテていた。

 

 先週。はちみつレモンが好きだから差し入れに欲しいとお願いされて、次の日タッパーの入った袋を片手にバスケ部の前に立ち寄った。

 そうしたら扉の前が夏稀のファンで溢れかえっていて、入ることは愚か見ることも出来ずに突き飛ばされてしまう。

 折角作ったはちみつレモンは突き飛ばされた衝撃でぐちゃぐちゃになってお陀仏。

 「夏稀くんかっこいー!」だの「夏稀くんが私のあげたタオル使ってる……!」だの、雄叫びのような歓声を聞いていたらなんだかあげる気も無くなってしまって、こっそり帰って自分で食べた。

 その後このことを話したら酷く落ち込んでいたが原因はお前なんだぞと教えてやりたい。


 そしてこれは夏稀にとって日常茶飯事なのだが、夏稀の下駄箱はラブレターがぎゅうぎゅう詰めになって入っていて靴が見えない。

 靴を一足取り出すだけで十五分はかかるなんてどうかしてる。

 放課後待ち伏せされて告白は当たり前だし、なんならこの前他校の女子が勝手に校内に乱入して告白していた。

 

 ラブレターも告白も全てご丁寧に直接断っているらしいが、その優しさが返って悪いんだと知らないんだろうか。

 それも全部無自覚に引き寄せているって言うんだから、タチが悪いにも程がある。


「イケメンって罪だな」

「か、一馬くんが俺を見てる……今日も可愛い」


 教室の端から、『北川夏稀』という大罪人について考えながら、見ていた、というか睨んでいたのだが気付かれてしまった。

 夏稀は俺のところに来ようとするが、夏稀が来ると他の大勢もついて来るのでしっしっと手で払っておく。

 悲しそうにする夏稀の頭には項垂れる犬の耳の幻覚が見えたが、無視して俺はきなこパンに齧り付いた。


「はは、アイツにそんな反応して大丈夫なのか?」


 よく焼けた肌の上にある雄々しい眉を、山口は心配そうに寄せる。このTheサッカー少年と言った風貌の短髪男子は、俺の幼馴染だ。

 

「何……夏稀ってそんなに高嶺の花的な存在なの」

「いやそこまで神格化してるわけじゃないけどさ。男女ともに人気だしなによりイケメンじゃん?多分アイツのこと敵に回したら色々ヤバいぞ」

「別に敵対したいわけじゃない。素直に接してるだけ」

「へぇ〜……好きな子ほどいじめちゃう的な?」

「何言ってんの?気持ち悪いこと言うな」

「えーでもお前最近ずっと夏稀のこと見てんじゃん」

「……見てない」

「見てるって。別に俺はそういうの否定しねぇよ?男同士なんて今はさほど珍しくねぇし、いいじゃん禁断の恋。ロマンじゃん」

「適当言うな。勝手に決めつけるな。俺は夏稀のことそういう目で見てない。

 てか人にちょっかい掛けてないで自分のこと気にしたら?そんなんじゃ今年も彼女出来ないぞ」

「うわっ!一馬くんったらひどい!確かに去年は振られたけど今年こそチョーゼツ可愛い彼女出来るもん!」

「わぁ……お前が『もん』とか一番使っちゃダメだろ。うっ、気持ち悪くなってきた、おぇ」


 適当に吐いた素振りをして話題を逸らすが、正直山口の言うことは図星だった。


 ここ最近夏稀がどれだけモテてるかとか、告白は律儀に断ってるとか、妙に夏稀に詳しくなったのは、多分。単純に絡むようになったのもあるけど、俺が目で追ってしまっているから。

 無意識に、声が耳に入ったら追いかけてしまっている。

 今もそう。

 

 女子に腕を絡まれながら囁かれる甘い声を適当に受け流す夏稀を、俺は横目に見ていた。


「ねぇねぇ夏稀〜その唐揚げ一個ちょうだい?」

「自分のあるだろ。てかうざいし邪魔だから離して」

「えーケチぃ」


 胸に違和感を感じた。その違和感は、鉛のように重く、チクチクしていて窮屈で、不快だった。


 もっと強く拒絶しないから、そうやっていつまでも付き纏われるんだ。嫌なら本気で抵抗しろよ。振り払うくらいしろよ。

 それとも、本当は喜んでるのか?

 

 違和感が増すと、比例して毒を吐く量も増してしまう。

 自分の性格の悪さに嫌気がさす。


「夏稀〜お前このAV見た?」


 夏稀の一番の友人、自称親友の高尾くんが夏稀の膝の上に座った。

 いつもの冗談みたいに、こんなの日常だとでも言うように、スマホの画面を見せながら膝に乗る。

 夏稀は心底不快そうに眉を顰めるけど、退かしはしない。スマホの画面を一緒になって覗き見る。


 胸の違和感がまた、一気に増した。

 

 ちょっと友達にしては距離が近すぎるんじゃない、って思うけどお互い様だから何も言えない。

 俺だって『ただの友達』のくせに夏稀の膝の上に座る。夏稀の膝の上は安定感があって好きだ。だから座りたくなるのは共感出来る。

 別に怒ってるわけじゃない。男同士で気持ち悪いとか言うわけでもない。

 なのにどうしても、高尾くんは夏稀のなんなんだ、って詮索してしまう。


 本当にただの幼馴染?友達?親友?

 もしかしたら、高尾くんも俺と同じで『ソウイウ友達』なんじゃない?夏稀は俺みたいに高尾くんの太ももを、脚を、更衣室に呼び出して触ってるんじゃない。

 

 本当に『ただの友達』なら、そんなに距離が近くない。そもそもパーソナルスペースが狭い夏稀は、もっと嫌がるはず。

 だからきっと、みんなには隠してるけど本当はそういう、変な関係なんだ。


 俺だけじゃないソウイウ関係。

 『ソウイウ友達』は俺以外にもたくさんいる。


 紙パックのいちごオレをジュッと吸い込む。甘ったるい砂糖が落ちて、胃を溶かすように広がる。

 黒くて不快な鉛は、強引にピンクの甘さで汚く塗りつぶされた。


「あ〜ちょっと高尾ずる〜い。私も座らせてよっ」

「うわっ」


 腕を組んでいた女が、高尾くんを退かして夏稀の膝の上に座った。柔らかそうな太ももが夏稀の膝の上で潰れるのが、短すぎるスカート越しに見える。

 夏稀は吐きそうな顔をしていたけど、俺にはちょっと嬉しそうに見えた。


「ん、どっか行くの一馬」

「紙パック捨ててくる」


 山口は「俺も行く」と言ってくれたが、断って無理やり教室から出る。通り過ぎにいる夏稀をなるべく視界に入れないようにしながら。

 肌寒い廊下を足早に歩いた。

 

「はぁ、ほんと、クソ……『ただの友達』のくせに何考えてんだ俺、図々しい……」


 紙パックを『燃えるゴミ』に投げ捨てる。このままこの不快な違和感も、投げ捨ててしまえたらどれだけ楽だろう。

 ゴミ箱の前で立ち尽くしていると、二人組の男子の声が耳に入ってきた。


「お願い奢って!マジで!一生に一度のお願い!」

「いやだ。この前も奢っただろ、その時も一生に一度って言ってたし。お前の人生何個あるんだっての」

「まぁまぁいいじゃんそれは!なんでもするからこのとーり!なぁお前俺のこと『好き』だろ?このままじゃ干からびちゃうから助けて!俺もお前のこと『好き』だから奢って!」

「なんだよそれ気持ち悪いな、どういう理論だよ。別に好かれてても奢らない」


 騒がしい二人はジュースを二本買って、小突きあいながら去っていく。

 そんな中、俺だけが購買に独り、取り残されていた。


「……好き……」


 妙にその言葉が引っかかって、金縛りにあったみたいに動けない。

 『好き』。思い浮かぶのは俺の足元で頬を赤らめる夏稀で。


『一馬くんの脚は健康的でツヤツヤしてて俺のドストライクなんだ!どタイプ!めっちゃ好き!』

『俺は特に太ももが好きなんだけど……あ、勿論脚だけじゃなくて顔も好きだよ!』

『はぁ……本当にこのふくらはぎ……すきぃ……』


 ……あれ、もしかして夏稀って『俺』のことはあんま好きじゃなかったりする?

 記憶の中の夏稀は『好き』と言ってはいるものの、対象は『俺』ではなく明らかに『脚』、いや『身体』だ。

 聞こえは悪いが夏稀は俺の身体目当てで接しているのは違い無い。


 身体目当て…………。

 

 ズキズキズキズキ、心臓が痛い。頭も目の奥も、痛くて仕方ない。

 こんな残酷なこと、気付かなければよかった。考えなければよかった。

 目頭を押さえてため息を吐く。


「こんなんマジで……ただのセフレと変わんないじゃん……」


 ポツリと吐き出した言葉は、五分前のチャイムに覆い被さられて消えた。

 


 

 

「ねぇ一馬くん、今日部活始まるのいつもより遅くってさ、その……十分だけでいいから、いい?」


 えぇ……よりにもよって今日……?

 出かけた本音はきちんと喉に留まらせる。

 正直、今日はなにも上手くいかない日、センチメンタルになってしまう日だと薄々自覚しているから行きたくなかった。

 主に目の前にいるこのイケメンのせいで。


「いや、今日は……ごめ」

「俺またメンバー選ばれたんだ。しかも割と大事な大会の。……ダメ?」


 こいつ、有無を言わせる気がない。

 俺の手を握り、捨てられた犬のような顔をする夏稀に、折れるものかと再度断ろうとするが、自分がいかに大会のメンバーに選ばれるために頑張ったか、と熱弁されてしまい罪悪感が湧いてくる。

 

「俺、今日一馬くんを堪能出来たら優勝出来る気がするんだ。だからお願い、一馬くんにしか頼めないんだ……」

「あ、悪手……!お前絶対わかっててやってるだろ!はぁ…………本当に十分だけだよ。バイトあるし」

「うん!あ、今日も部活終わったら食べに行くから待っててね」

「ん」


 ふんわりと笑う顔は『違和感』の痛みを和らげさせてくれる。

 原因は夏稀なのに、治療法も夏稀なんて。こっちが振り回されてるみたいでムカつく。

 俺の両手を覆う夏稀の手を、今度はこっちが握って更衣室に歩いた。


「か、一馬くん……!?て、ててて、手!!」


 さっき自分から握ってたくせになに言ってんだ。べっと舌を出して更に強く、思いっきり握ってやった。


「ちっちゃい舌…!かわいいがすぎる……!!ってイタタタ!一馬くん痛い!」

「そのまま潰れろ」

「DV一馬くん……!?レアだ……でもそんな一馬くんもしゅき」

「……」


 気まぐれに呟かれた『好き』に舞い上がる自分が、チョロくてバカで本当に嫌だ。


「一馬くん!?なんか強くなって……ま、マジで痛い!骨ミシミシ言ってる!」

「うるさい夏稀」


 


 

 誰もいない更衣室。薄暗く、灰を被った黒板や机しかない小さな部屋。誰も知らない、校内の隅に隠されたようにある部屋。

 俺にとっては特別な場所。

 

 今日も今日とて、短パンを履かされて脚を鑑賞される。どうやら今日は鑑賞だけでいいようで、触れはしないようだ。

 長いまつ毛の下にある青い瞳は、俺の膝小僧を真剣な眼差しで映している。分析でもしているのだろうか?


 未だに意味がわからないこの行為。単純に脚が好きなら、俺以外でもいいだろうに。

 例えば高尾くん、とか。

 折角緩和していたと言うのにまた『違和感』がぶり返す。


 高尾くんもこうやって、この眼差しで、俺だけの唯一だと思っていた眼差しで、じっくりと見られているのだろうか。

 女王様みたいに脚を差し出して、俺は夏稀とこの時はあまり喋らないけど、高尾くんは他愛ない会話を繰り広げているのだろうか。


 勝手に想像して痛みが膨張して、下唇を噛む。

 イライラして、ムカムカして、頭が沸騰するみたいになって正常じゃなかった。

 だから普段なら飲み込める疑問も漏れ出てしまった。


「ねぇ夏稀」

「んー?」

「夏稀はさ、俺のどんなところが好きなの」

「え……」

「え」


 前を見ると夏稀はぽかんと口を開けてこちらを見ていた。『一馬くんがそんなこと聞くなんて』と顔に書いてある。

 俺も、夏稀と同じで口を開けていた。まさか口から勝手に漏れるなんて、と。

 

 こんな質問、『仕事と私どっちが好き?』と同レベルでめんどくさい質問ランキング上位に入賞している。

 『めんどくさい奴』なんて思われたら、考えただけで血の気が引いて冷や汗が溢れ出た。

 なんでもない、と誤魔化すにももう遅い。夏稀は顎に手を当てて首を捻る。


「ん、んん〜……もちろん脚は大好きだけど、そうだなぁ……俺は、一馬くんの正義感が強いとことか、純粋でどこまでもまっすぐで、素直なところが好きだよ」

「じゅん、すい……」

「うん、誰にでも優しいところとか特に好き」


 嬉しくて心が満たされる、焦燥は引いて幸せが広がる、はずだった。普通に、今の答えは俺の気分を害するような物じゃない。喜ぶべき模範解答だった。

 でもなぜか、夏稀は『俺自身』が好きだと言ってくれたはずなのに、心にぽっかりと穴が空いたような喪失感を感じた。頭が真っ白になった。

 慈しむような目で見られて胸は高鳴るはずなのに、むしろ締め付けられて息が詰まる。

 

 それは違うだろ。お前何言ってんの。と漏れ出る寸前で口を手で押さえる。それが本当に出てしまう前に、強引に立ち上がる。


「もう、十分経った。じいちゃんに怒られる前に帰る」

「あ、うん。ありがとう一馬くん」


 曖昧に返事をして、目も合わせずに夏稀を避けて更衣室を出た。

 早足で下を見て、前にどんな障害物があろうと歩む。


 『正義感が強い』?『純粋』?『まっすぐ』?

 どれもこれも、なに一つ俺に当てはまらなくて笑えてくる。

 一体夏稀は俺のなにを見ていたんだろうか。どこを見てそう思ったんだろうか。

 本当に、虚しいくらい笑えてくる。


 時間が経てば経つほど醜い部分が出てきた。夏稀の言葉を思い出すと、何年も隠して人前で抑えていた本性がさらに暴れ出す。

 

 外に出て、ポツポツと、降り出していた雨は俺の苛立ちが加速するほど激しくなっていった。アスファルトを、一軒家の屋根を、通りすぎていく車を打ち付ける雨の音が頭の奥まで響く。

 ゲリラ豪雨。視界は雨で真っ白で、なにも見えない。音も匂いも何もかも、雨で埋め尽くされていた。

 

 低気圧のせいで頭が痛い。雨の音のせいで耳が痛い。夏稀のせいで胸が痛い。夏稀のせいで鼻の奥が痛い。

 

 世界の全てがうるさくて堪らなくて、気が狂ってしまいそうだった。

 まだ着かない家も、空気を読まない雨も、傘を置いてきてしまった自分も、全部。全部にイライラする。

 でも周りにあるのは雨の溜まる田んぼだけで、当たる物が何もなくて、どうしようもなかった。

 

 虚しくて惨めでたまらなくて、誰もいない道路の真ん中にしゃがみ込む。おもちゃを買ってもらえない子どもみたいに、みっともなく膝を抱える。

 それでも雨は止まない。喧騒は止まない。


 この苛立ちも、『違和感』も、お門違いなのは分かっていた。身勝手で理不尽で横暴な絶望だって理解していた。

 きっと誰にも理解出来ない。今の俺は、『何アイツ急に、気持ち悪』と引かれて当たり前だった。


 

 ただ単純に、許せなかったのだ。夏稀が俺を『純粋』と言って、そんな俺を好きと頬を赤らめたのが、ショックだった。

 だがそんな被害者ヅラはただの理不尽。知ってる。


 夏稀が好きだと言った『純粋な俺』は俺が()()()()()んだから。夏稀にはそう見るのも、好きになるのはその俺なのも当たり前。

 俺はずっと前から()()()()きたから、俺が隙を見せない限り夏稀には絶対気付かれない。

 だから夏稀が素の俺を見てくれなかったとか、見つけてくれなかったとか、責め立てるのはあまりにもお門違いだ。

 そう、分かっているはずなのに、頭では理解してるはずなのに。馬鹿馬鹿しいくらい、未だに胸が痛む。素直に受け入れて、幸せを感じられない。

  

「夏稀に何期待してんだよ俺……ほんと、バっカみたい」

 

 更に底に落とすように雨は霰となる。

 外も内も痛くて仕方なかった。


 救われる道理もないのに、俺はきっと夏稀に救って欲しかったんだろう。俺なんかが求められるなんて、あり得ない話なのに。贅沢に強請って駄々を捏ねてしまった。


 どれだけ痛がっても泣いても名前を呼んでも、俺に少女漫画のヒーローは現れない。

 通りすがる車も近所の人も友人も、誰一人として、俺を見つけない。


 昔からずっと変わらなかった。寧ろ清々しくて雨が心地よくさえ感じた。

 孤独は永遠に俺に付き纏う。夏稀といられた幸せな瞬間を、握り潰すようにやってくる。

 

 過去を忘れて、図々しく期待していた。自分という存在を棚に上げていた。


 俺のそばに誰かいるなんてのは夢物語で、至極当然なのだと。今日夏稀に、雨に、霰に思い知らされた。


 

 


 食堂の隣にある一軒家。その二階。小さな一人部屋にカシャっと軽快なシャッター音が響く。

 今日はじいちゃんに「今のお前の作る飯は雑草以下だ。今日は俺がやる。お前は帰れ」と殴られてイライラしているため、二週間も自重が成功していたのについ投稿してしまった。

 五分経ったか、そのくらいに更新するともういいねが百もついている。


『久しぶりのカズくんの投稿tskr〜〜!!やっぱ最高!』

『今日はこれでいいや』

『相変わらず綺麗で女の私でも惚れる。これで男ってマ?』

『エッホエッホ

 カズくんが二週間ぶりに投稿したよって伝えなきゃ

 エッホエッホ』


 見たことのある人から全然知らない人まで、次々とコメントは増えていく。


「はぁーーー…………」


 一部のアンチはスルーして、賞賛のコメントを見るたびに心が満たされていくような気がした。

 喉がカラカラで死にそうな時、オアシスに出会えた気分。自然と口角が上がってしまう。

 顔も名前も知らない『フォロワー』は俺に優しくて、否定しなくて、全肯定で、愛おしい。


「やっぱやめらんないなぁ、これ」


 こうして俺が依存しているのは『裏垢』だった。

 投稿する内容は一枚の写真のみ。顔は映さず、上半身が映るのも稀。

 メインは俺の脚だ。


 俺自身、夏稀ほどの脚フェチとまではいかないけど、単純に脚の造形とか筋とか、見るのは好きだった。特に自分の脚は、綺麗だなと思って物心ついた頃から無意識でケアしているほど、好きだった。

 だから唯一の自分の長所である脚の写真を、ちょうど一年ほど前からSNSに投稿している。フォロワー数はどういうわけか一万を超えていた。


 始めた理由は単純で、ストレス発散。自分の素を曝け出しても許してもらえる場所が欲しかったから。

 

 そんな俺のストレスの原因。

 家でも学校でも曝け出せない、夏稀の言う『純粋な俺』を演じ始めたのは中学生になったくらいからだ。

 


 幼い頃から俺の両親は色んな国を飛び回るような生活をしていて、俺はずっと日本に置き去り。いつも独りぼっちだった。

 お正月に帰ってくるどころか誕生日を祝われたこともない。顔も声もぼんやりとしていて思い出せないほど、ほったらかしだった。

 

 月一で送られてくるお金を頼りに、無駄に大きな一軒家に一人、家事をして眠る。そんな生活を僅か五歳で強要された。

 

 もちろん買い物の仕方もお金の使い方も冷蔵庫の開け方も、何も知らない俺は何も成せず痩せていくばかり。

 『お風呂』が分からないから身体はずっと汚いまま。『掃除』が分からないから埃が溜まって、アレルギー体質の俺はハウスダストで咳と涙が止まらない。

 風邪を引いても寝るしか治療法はないし、助けを求めようにも、『知らない大人』は怖い。何を言えばいいのか、どう伝えればいいのか。俺はまだ、言葉を上手く扱えなかった。

 

 そんな餓死寸前で絶望した俺を見つけ、厳しく躾けたのは隣に住むじいちゃんだった。

 薄暗い部屋で倒れていると「何寝てんだクソガキ」と叩き起こされ文句を言われたのだ。

 頑固で手が出やすくて融通の効かない、料理の腕だけは一流の老害。俺はこの老害に救われたなんて一ミリも思っちゃいない。


 生きる術を軽く教えるだけで後は基本ほったらかし。自分の家に入られることを酷く嫌い、懐く素振りを見せると殴られる。

 優しそうなばぁちゃんは外見だけ。嘘つきで狡猾で、じいちゃんよりも子どもが嫌いだから近寄ると物を投げられた。


 それでも『死ぬのは怖い』という感情だけで必死に食らいつき、寂しくて泣く日もあったし悪夢や雷が怖くて恐怖に苛まれる日もあったけど、俺は家事を一通りこなせるようになった。

 これが七歳までのことだ。

 

 拙いながらも家事をこなす日々。生きていけるようにはなっても、授業参観に両親は来ない、ゲームも持っていない、テレビも見ない俺に友達は出来なかった。

 優しい子が話しかけてくれても、誰かと長く会話をしてこなかったせいでスムーズに受け答え出来ない。


 それでも生きていけることには変わり無い。幸い顔が良いから避けられていたとしてもいじめられることはなかったし、グループ活動には入れてくれた。

 

 無趣味でぼーっと空を眺めているだけ。くだらない幻想に夢を抱いて浸るだけ。そんな生活に、特に不満はなかった。


 だが俺が八歳を迎えた誕生日の日。

 嫌われていると自覚していたから距離を置いていたじいちゃんに、無理やり「俺の店で働け」と言われ強制労働が始まった。

 拒否権も無ければ給料も無い。誘われた理由は『人手が足りない。もう物の分別がつくなら働け』と、まぁ相変わらずである。


 机拭きに皿洗い、料理を出したりレジをしたりと、無理難題を一気に課せられた。その仕事は元はばぁちゃんの物で、ばぁちゃんは仕事が無くなった隙にお客さんと雑談していた。

 教えられるのは一回だけ。ミスをすれば殴られる。

 

 俺にとって『柳屋』は地獄のような空間だったけど、じいちゃんの料理を作る姿を見るのは好きだった。

 あの乱暴な手からは考えられないほど繊細な包丁捌き、目で追うのが追いつかないほど素早い動きで、たった一人だけで大量の定食を作り上げる。そんな姿は、大嫌いなじいちゃんだけど尊敬した。

 俺はそんな憧れを胸に、動作を見よう見まねで家で定食を作ってみたり、フライパンを振って炒飯を作ったり、子どもじみたことをしていた覚えがある。


 それから俺が中学に入学した頃。

 じいちゃんは厨房に入ることを頑なに拒否していたのに、突然「明日からはお前が作れ」と言ってきた。もちろん拒否権はない。


 厨房に立たされるようになると、じいちゃんの俺への扱いは変わった。

 暴力的でこちらの意見を聞かないのは変わらないが、俺の料理を作る一挙手一投足を監視するようになったのだ。今まで見下すだけで目を合わせたことなんてなかったのに。

 包丁捌きに無駄な動きがあれば咎められ、一つでも間違いがあれば怒鳴られる。

 でも料理は好きだから。うざったい監視官がついてようと苦ではなかった。

 むしろ、厨房に立っている時間は、俺が唯一幸せを感じられる時間だった。


 そんな中で、監視官は口癖なのか?ってくらい、耳にタコが出来るくらい、常日頃からこう言っていた。


「美味い飯は清い心からだ。人が困ってたら死んでも助けろ」


 正直、どの口が言ってんだこのクソ老害、と思った。

 お前は血の繋がった家族すら愛さないくせに。死にそうな孫をこき使って殴るくせに。

 心の中でどれだけ小言を言おうと、俺には発言の余地も逆らう気力もない。


 それから俺は言動も行動も、何もかも監視され、じいちゃんの期待に添えなければ叱られるようになった。

 道端で泣いている子どもがいたら一番に助けに行かなければグーが飛んでくる。少し誰かの悪口を言ったり汚い言葉を使えば正座させられて一時間は説教だ。

 そのせいで常に見られている気がして反射的に人助けをしてしまうし、誰も飛び込まないような面倒ごとも真っ先に引き受けることが出来るメンタルをゲット出来た。

 正直疲れるし面倒で仕方なかったけど、おかげで友達も数人出来たし会話も誰とでも気軽に出来るようになった。

 

 だがそのメリットも全て『見られている』から成り立つ物であって、俺自身が『純粋』なわけでも『正義感が強い』わけでも無い。

 だから俺は夏稀の言う『純粋な俺』とはかけ離れている。

 根っこは最低最悪の、両親の遺伝子をしっかり引き継いだクソ野郎。


 そんなクソ野郎が偽善を続けるのはやはり難しかった。

 限界が来たのだ。

 思春期の反抗心、好奇心、性欲。全部相まって偽善者ぶってる自分が嫌になった。

 でも幼い頃からじいちゃんという絶対的な存在を脳に植え付けられている俺は、やっぱり直接反抗することは出来なかった。


 その結果俺がせめてもの、という思いで始まったのがこのSNSアカウント。『裏垢』だ。

 

 初めは誰にも見られなかったけれど、たった一つのいいねが舞い上がるほど嬉しかった。

 特に初めてのいいねは忘れられない。誰にも寄り添ってもらえなかった俺の人生。誰も頼ることが出来くて餓死寸前になった過去。そんな苦労の全てを、やっと誰かに認められた気がして、褒めて貰えた気がして、涙が出るほど感動した。

 初めて貰えたコメントは『オカズありがとうございます』だ。あまり名誉なものとは捉えたくないが、嬉しいものは嬉しい。

 『裏垢』を続けて一年以上。今や一万を超えるフォロワーがいて、カズくん太ももファン♡という過激なアカウントがいくつも作成されている。


 しかし、いくら有名になって満たされても、俺が汚れているのは変わらない。

 こんなことしてて『純粋』なんて有り得ない。

 優しいのも正義感が強いのも、全部、夏稀は俺に夢を見ているだけで、俺は偽善者。嘘つきだ。

 


 

 コメント欄をスライドする手を止める。コメントを呼んでニヤけるはずが、頭の中がいつの間にか夏稀のことでいっぱいになっていた。


 夏稀の言葉を思い出しては罪悪感で押し潰されそうになる。俺のことを好きだと言ってくれたのに逃げてしまった。めんどうなことを考えさせて、言わせて、困らせてしまった。


 こんな最低な俺じゃきっと、夏稀は高尾くんの方がいいって思うだろうな。

 俺は振られてお役御免。高尾くんがこれからあの更衣室に夏稀と二人で入り浸る。

 

 別に相手が高尾くんでも俺は『ただの友達』だから独占する権利なんてないはずなのに。いつも通り、じいちゃんの無理難題を聞くみたいに、少し嫌だと感じても黙って飲み込んで受け流してしまえばいいはずなのに。愛される権利なんて、生まれた瞬間から剥奪されているのに。

 一度考えてしまうと不快で不快で仕方なかった。そんな未来を受け入れたくなかった。

 想像の高尾くんを刺して殴ってしまいそうだった。


 数時間前に霰に思い知らされたはずなのに、懲りもせず図々しい。流石最低最悪の人間。愚すぎてため息を吐いてしまう。


「俺、相当好きなんだなぁ、夏稀のこと」

 

 好きだから、おかげでじいちゃんには怒られるし料理も上手くできなくて指切ってしまった。今日一日中、いや最近ずっと、夏稀のことを考えすぎて調子が悪い。

 もう何から何までダサくて自分が嫌になる。夜だからか、包丁で切った傷口に貼られた絆創膏を見ると死にたくて堪らなくなる。

 

 考えれば考えるほど沈んでいって、いつの間にか目に涙が溜まっていた。頬に伝って流れ落ちる。涙を見ると、少しだけ楽になれた。


 本当に、馬鹿馬鹿しい。恋愛なんかで振り回されているのも、叶うはずもない思いを抱き続けているのも。

 

 こんなに辛くなるなら、恋なんてしたくなかった。


 全ての元凶に思いを馳せる。記憶の中の彼を、憎んだはずなのにどうしようもなく愛おしさを感じて、胸がきゅうっと締まった。

 どうしようもないな、と俺は諦めて、流せるだけ涙を流して疲れてそのまま眠った。

 



  

 昨日泣きすぎたせいか頭が上手く働かなくて、ぼーっと過ごしていたら、もう七限目。〆にあるのは体育だ。

 今日はバスケで、今は試合中。夏稀は真剣な眼差しでドリブルをこなして、もう何本目か分からないゴールを決めている。

 待機中の俺は山口の隣に座ってそれを眺めていた。


「カッコいいなぁ……」


 呟けば、地獄耳の彼は嬉しそうな顔をして俺に駆け寄ってくる。


「一馬くん!見てた?てか今かっこいいって言ってたよね」

「うん。流石バスケ部エース。すごいね」

「嬉しい……嬉しすぎて今ならエベレスト登れそう……」


 笑った夏稀を見て、思う。やっぱり好きだなぁ、って。

 でも好きなのは俺だけじゃなくて、すぐに彼の周りには女子が寄ってくる。俺と夏稀は簡単に引き離された。

 もっと話したかったという気持ちももっと一緒にいたいといつ気持ちも、飲み込んで夏稀をただ眺める。

 俺には、このポジションが丁度いいのかもしれない。

 どうせ実らない恋。俺なんかが実らせてはいけない恋。恋焦がれるだけ焦がれて、『高嶺の花』には触れずに鑑賞しているだけ、そんな関係友達でもないが俺には相応しい。


 チクリと胸は痛むけれど、時間が経てばいつかは慣れるだろう。

 遠目で見ていると夏稀は目を覚まさせるように俺の名前を大きく呼んだ。


「一馬くん、俺行ってくるから応援してて」

「……うん」


 本当に、そんな関係に俺は満足出来るだろうか?我慢出来るだろうか?

 不安で仕方ない。


「はぁ……あのアホ人たらしが……」

 

 そう複雑な表情をしてため息を吐く彼を、一人の男はじっと見つめていた。


 


 

 授業が終わり、体育倉庫で俺と山口は片付けをする。やっぱり癖でやってしまったとはいえ、めんどくさい体育委員なんて引き受けるんじゃなかった。

 重い用具を用具室の奥まで持っていくさながら思う。

 

 やっと最後の用具を片付けられた、そんな時。カチャッと背後から音が聞こえた。


「……ん?どうした山口、なんか鍵閉めた?」

「あぁ……なぁ一馬、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」


 山口は口角を上げながら俺に近付く。用具の置く場所でも忘れたのだろうか?


「なに、早くしてよ。もう学校終わってるし早く帰りたい……ってうわ!」

 

 力強く両肩を押されて俺は呆気なくマットに倒れる。

 

「いったぁ、なにすんだよ……」

「これ、一馬だよな」


 そう言って見せられたスマホ画面の中には、俺の裏垢のホーム画面が広がっていた。


「……え?」


 どこでそれを、なんで知ってる、そう聞く前に山口にズボンの下から手を入れられる。太ももをやんわりと撫でられ、鳥肌が立って変な声が出てしまった。


「な、にすんだよ!やめろ!」

「その反応、やっぱ図星?てかははっ、マジでいい太ももしてんじゃん一馬。カズくん確定だな」

「なっ、ちょっと、やめろって!」

「俺最近お前見つけて、お前で抜いててさ、でも実物の方が良すぎて……はぁ、たまんねぇ」


 そのまま太ももをなぞられながら覆い被さられる。M字開脚のように脚を広げさせられ、お尻に何か違和感を感じた。

 下を見ると山口の勃起したそれが押し付けられているのを見てしまい、小さく悲鳴をあげる。


「ひっ、うそ、だろお前……!マジでやめろって!だ、誰か助けて……!」

「静かにしてろよ一馬。あぁー……もしかして夏稀呼ぼうとしてる?最近仲良いらしいけど既にソウイウ関係なっちゃってたんだ」

「そんなんじゃ、ない」

「はは、まぁ、アイツにこの垢バラされたくなかったら大人しくしてろよ。大事な『友達』に知られたくないだろ?自分がこんなに変態だなんて」


 そうだ、俺は夏稀のただの友達。助けてもらおうなんて思っちゃダメだ。

 昨日思い知らされたはずなのに。『いっそ恋なんてしなければよかった』って泣いたはずなのに、もう忘れていた。


 山口の提案を考えて思う。

 いっそ、バラされて幻滅された方が夏稀とも関わらなくなって、俺は『高嶺の花』と『モブ』の関係になれていいんじゃないかって。

 夏稀も本当のこと知れて、騙されてたって知って嬉しいだろうし、俺は叶わない恋を拗らせずに終わらせることが出来て、一石二鳥だ。


 心の中でモヤモヤが広がるけど、無視する。自分の感情を優先していいほど、俺は贅沢な人間じゃない。

 愛されるよりも、助けられる悲劇のヒロインよりも、人を利用するくらい最低な人間の方が俺には合ってる。


 俺は山口の首の後ろに手を回し、耳元でそっとつぶやいた。


「なぁ山口、やっぱバラされてもいいやソレ。でももし幻滅されたらさ……お前が俺のこと慰めてくんね?」

「うわ……最高……お前がそんなビッチだったなんて知らなかった。今すぐ電話してやるから安心しろよ」


 山口は口角を上げて早くもベルトに手をかけていた。

 俺は、後悔する前に力を抜いて、マットに身を預ける。


 今更、やっぱり嫌われたくないなぁなんて思ったけれど時すでに遅し。

 幻滅される未来を。未来永劫付き纏う孤独を、俺は受け止めよう。

 唇に近付く山口に嫌悪感を覚えるも、覚悟を決めて俺は目を閉じた。

次回で完結です

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