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おバカで可愛い一馬くん

第二話

BLです

「なん、これ……y=……?……???水平?斜方……??」


 放課後の喧騒の中、頬杖を付きながら、冷や汗を垂れ流す一馬くんを見る。一人で机に向かい物理のワークと戦っているその姿勢は、登校してからずっと、今も変わらない。

 いつもは授業が終わったら一番に教室を出て定食屋に行っているから放課後の一馬くんは新鮮だ。

 それにしても……ワークのページは中々捲られない。しかも一番簡単な、序盤の部分で止まったまま。

 

 本当にバカなんだ、と俺は感動で震えた。


 だがそんな聖域に邪魔するように、ズイッと視界に大きく野蛮な顔面が入ってくる。ピアスまみれのプリン頭。俺の『一応』友達だ。


「……何」

「また柳のこと見てただろ。俺さっきからずっとお前に話しかけてたのに無視しやがって」

「……別に見てないけど」

「流石にそれは無理あるって。俺に邪魔されてちょー顔怖くなってんじゃん。てかお前が誰かに興味あるなんて珍しいな。なに、柳のこと気になってんの?なんかされた?」

「何もされてないし気になってもない」

「朝からずっと見てるだろお前。てか指摘してなかったけど二年なってからずっとそう。あ……もしかしてそういう?狙ってんの?」

「見てないって。ダル絡みうざい」

「ねぇね〜その柳ってやつほっといて早くカラオケ行こうよ!今日オフなんでしょ?」

「行かない」

「え〜つれなぁい」


 柳屋で拝めない分、今存分に勉強を頑張る健気一馬くんを堪能したいというのに外野がうるさい。

 俺を中心に円を作っている男女は、名前だけ知っている人が大半だ。笑いあって話せる仲の奴なんて、小学校からの付き合いで同じバスケ部の一人しかいない。

 そんな浅すぎる関係でよくもまぁ毎日毎日ベタベタと。理解できない。

 近寄るなというのも面倒だから放置していたが『一馬くんタイム』を邪魔するなら話は別だ。


「はぁ……」

「てかさぁ、柳くんってイケメンじゃない?」


 分かる。後ろから聞こえてきた声に、俺は腕を組んで心の中で即賛同した。そう、一馬くんは隠れイケメンであり隠れ神なのだ。

 手足は長く少し長い前髪の下にはキリッとしたかわかっこいい猫目が。首のラインもお手本のように角張って見えるし、片手で包んでしまえそうな小顔は特にキューティーポイント。

 自分で言うのもなんだが俺はイケメンだ。周りに『顔がいい。身長が高い』というだけでチヤホヤされてきた。

 だが一馬くんはこんな俺なんてゆうに上回ってしまうほどもっともっとイケメンで、性格も良くて脚も綺麗で、劣る要素が一つもない。

 

 イケメンといえば一馬くん。太ももといえば一馬くん。これ、世界の常識。


「あー確かに、よく見ればイケメンだな。目ぇキリッとしてるし二重だし……何より顔ちいせぇ。握りつぶせそう」

「でしょ?えー……やっば私タイプかも。なんか近寄るなオーラ?出てて話しにくかったんだけど、ちょっと声掛けてみよっかな」

「私もタイプかも。色白男子いいよね。なんか可愛い」

「だよねだよね。私ちょっと行ってくる」

「おー?逆ナンかー?」


 さっきまで擦り寄ってきた香水臭い茶髪ロングの女はすっと立ち上がって一馬くんの席に向かう。ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、誰かをからかう時の表情で。


 不快極まりない。

 ぐるぐると腹の底で渦巻いて苛立たせるこれは、多分嫌悪感。

 純白の百合に泥を触れさせたくないように、新品の服を汚したくないように。

 綺麗で美しい一馬くん。お日様の温かさを身に纏い、心地良い洗剤の匂いを漂わせる一馬くん。

 そんな天使に香水臭さが付いてしまっては台無しだ。


 俺は立ち上がって友達を手で押し退け、女の後を追う。


 嫌悪感もあるが、この感情の大部分は自分でも分かっている。嫉妬だ。

 チキンレースの俺に対し、女はなんのリスクも顧みず軽々しく口を開く。俺が何度も夢に見て、実行に移せないことをいとも簡単にこなす。


 ずるいだろ。羨ましいだろ。一馬くんと会話させて堪るか。

 俺だってまだ一馬くんと二回しか喋ったことないのに。俺だってもっと一馬くんと話したいのに……!


「ねぇねぇ柳くん、勉強頑張ってて偉いね。苦戦してるみたいだけど大丈夫?分からないとこでもあるの?私で良かったら教えるよ!」

「え、あ……ありがとう……?」

「いいよ全然〜!どこどこ?」

「うわ」


 一馬くんを追いやるようにして一馬くんの椅子に半分お尻を乗せる。触れる手、胸、肩。ピッタリとくっついて腰をわざとらしく揺らして寄せる。

 吐き気が漂って俺は眉間に深く皺を刻んだ。

 一馬くんは追い詰められた犯人のように両手を上げ、どうしたものかと困惑している。

 一馬くんが嫌がっている。


「ちょっと」

「え?」

「一馬くんが困ってるからどっか行って。見て分かんないの。てか俺の方が教えるの上手いから。一馬くんには俺が教える」

「……え?」


 ポカンと口を開けて固まるのはその女だけでなく、一馬くんも、いつも俺を取り囲む連中も、全員が唖然としていた。騒々しかった教室内が、指揮者が指揮棒をピタリと止めたように、一斉に鳴り止む。

 そんな静寂の中で俺の心の中は『いつまでくっついてんだ!』と怒りで混沌と化していた。


「嘘だろ!?夏稀が会話した……!?自ら!?」

「今のって本当に夏稀くん…?幻覚だったりする?」

「春ですなぁ」


 遠巻きに聞こえる雑音は苛立ちを加速させる。未だに離れない女も要因の一つだ。今すぐその肩に指がめり込むくらい掴んでひっぺがしてやりたい。

 

 俺だってそこ座って一馬くんと椅子半分こしたいんだよ!

 

 だが苛立ちも混沌も、鶴の一声で一瞬にして浄化された。


「えっと、あの……北川?」

「はぅ」


 『北川』……!?『北川』……!?!?

 時限爆弾が脳を爆破する。一馬くんという光源で目が焼かれる。なんて眩しい一馬くん。きっとシリウスよりも眩しい。

 そんな一馬くんから初めて。初めて名前を呼ばれた。

 今まで遠くから見ているだけの『推し』と『推しの同級生』という間柄だったのに。名前呼びなんて夢のまた夢、妄想の中だけだったのに。


「はぅ、う、北川……!北川ぁ……!」

「……?」


 『北川』で良かった!生まれてよかった!産んでくれてありがとう父さん母さん!

 脳内では胴上げや盆踊り、どんちゃん騒ぎが始まってまたもや混沌を極めてしまう。女はまだ一馬くんに擦り寄りながらも俺にドン引きしているようだが、今はそんなのどうでもいい。

 

 嬉しさを噛み締めながら、下唇を噛んで『可愛い好きだぁ!』と叫び出したい気持ちをなんとか抑える。


「なぁ教えてくれんの?勉強」

「え、あ、うん、一馬くんがよければ教えるよ」

「じゃあ俺北川にお願いしたい。女の子相手だと緊張しちゃうし、北川の方が助かる。折角誘ってくれたのにごめん」

「ううん!全然いいよ。こっちこそごめんね馴れ馴れしくしちゃって」

「うん。じゃあ北川、前座ってよ。ここ教えて」


 基礎の基礎の部分を指さして上目遣いで言う。俺のHPはもう『0.1』だ。

 掠れた声でなんとか返事をして一馬くんの前の人の椅子に座る。


「ここなんだけどさ……」

「これね……これは……あー、先生が言ってた公式って覚えてる?」

「覚えてない……けど成り立ちは覚えてる。熱を加えてボンボンってしたらおもりがバーンってなるんでしょ」

「ん゛」


 誇らしげに目を輝かせて語る。子どもが新しく見つけたおもちゃを自慢するみたいに。

 擬音まみれで全然何言ってるか分からない、でも全部どうでも良くなるくらい可愛い、全部許せる。


「うん、うん……なんとなく言いたいことは分かった。でも取り敢えず公式覚えなきゃ始まんないからさ、成り立ちはやんわり覚えながら公式覚えよ」

「うん、分かった」


 赤シートを被せて「えふいこーるえむ、えー……えふいこーるえむえー……」と一馬くんは小さく呟いて眉間に皺を寄せる。どうやら暗記系は苦手らしい。


「物理苦手なの?」

「苦手……だけど好きなんだ。計算とかそういうの全然出来ないけど、先生の話が好き」

「へぇ、そうなんだ」


 一馬くんらしい答えだ。きっと先生に『お前の成績でついていけるのか』とか言われただろうに、無理やり突破して来たんだろう。

 どこまでも純粋で真っ直ぐで、怖いもの知らずで、自分の気持ちに正直で。

 相変わらず一馬くんは、()()()からなにひとつ変わらない。


 俺は一馬くんのこういう所が好きだ。太ももとか脚とか関係なしに。確かに惚れた。

 一目惚れくらい衝撃的な破壊力で、好きになって、追いかけて観察して、大好きになった。

 

 きっとそのきっかけになった瞬間は一馬くんにとっては何気ない物で、当たり前なんだろうけど。

 俺はその瞬間を一生覚えてるし一生忘れない。

 

「北川。覚えた」

「お。じゃあここ解いてみよ」


 覚えたと言いながらもすぐに忘れてしまったのか、また険しい顔をして唸り出す。ペン先で頭を叩いたり天井を見上げて思い出そうとしたり、一馬くんは一体俺をどうしたいんだろう。

 可愛すぎて心臓も俺の俺も痛い。


「ん……ん……んんん……………………出来た!北川これ合ってる?」

「おぉー…合ってる、正解!」

「わぁ!やば、まじで合ってるの?嘘じゃない?俺が正解した?えぇ、奇跡じゃん。初めて自分で解けた。ふふっ、めっちゃテンション上がる、めっちゃ嬉しい」


 この先難問続きだというのに健気に喜び、ふんわりと女神のような笑みを浮かべる。その笑顔もまたすぐに次の問題で歪み出すのかと考えると気の毒だ。

 けれど今はただ『うんうん一馬くんは世界一だよ!』と高速拍手で祝い、『すごいで賞』を盛大なパーティーを開いて授けたい。


「一馬くんはすごいね、ちゃんとめげずに勉強頑張ってて。偉いよ」

「ありがとう。でもそんなことない。北川の方がすごいよ、毎回学年一位じゃん。物理とか特に凄い、毎回百点」

「いやいや、たまたまだよ。物理はちょっと得意なだけ」

「謙遜しなくていい。勉強頑張ったなら頑張ったって言った方がいいと思う。俺ポーカーフェイスしてるやつより素直なやつの方が好きだよ」

「え、あ……そう?じゃあ、頑張りました?」

「なんで疑問形なの」


 俺が学年一位を取り続けていることを知ってくれているのは嬉しいが、それは全部君のおかげなんですよと伝えてやりたい。

 俺はただの脚フェチであり、一馬くんだいしゅきしゅーき人間なんだ。一馬くんのことやましい目で見てる最低野郎。決して一馬くんに尊敬されるような人間じゃない。

 だからそんなキラキラした目で見ないで……勃っちゃう……。


「なぁ北川、次ここ。教えてよ」

「うん……これさっきと数字変わっただけだね」

「嘘だろ、文章二倍になってんじゃん」

「よく見てみなよ、ほら。これとこれの数字しか出てないでしょ。さっきと同じ」

「ほんとだ……」


 あぁ、本当にバカで可愛い!


 ✿


「ん、んん〜〜……!!めっちゃ進んだ〜!」


 わずか二ページ、されど二ページ。一馬くんにとってはギネス記録更新くらいすごい事なのだろう。

 俺は素直に拍手して「一馬くん天才」と褒めたたえた。


「はぁ〜……本当にありがとな北川。助かったよ。おかげで次のテスト十五点は取れそ」

「そこはちゃんとシビアなんだ」

「現実逃避は甘えだから」


 自分に厳しい一馬くん、素敵……!天才超えてガリレオ!ノーベル可愛い賞受賞!

 一馬くんは机に突っ伏して猫のように伸びをした後、顔を上げて目を合わせる。真っ赤な瞳が俺の青い瞳とぶつかる。

 Love so sweet――。


「夏稀ってさ、毎日来てくれてるよな。うちの定食屋」

「…………え?」

「え?毎日来てくれてるよなって。柳屋。まさか人間違いとかじゃないよね」

「行ってる、けど……え?それ、その前、今なんて……」

「その前?」

「今夏稀って……!」

「え、あー……ダメだったかな。北川ってなんか他人行儀な気がして。嫌だったら全然戻す」

「嫌じゃない!全然嫌じゃないから戻さないで!俺だって一馬くんのこと一馬くん呼びだし」

「あ、うん、そうだね」


 『夏稀』。その三文字が耳の中にエコーのように共鳴している。一馬くんボイスが幸せな波となって脳内を甘く溶かしていく。

 思わず握手会のように両手で手を握ってしまっていた。自分より一回り小さい、細くて柔らかい骨ばった手を。

 手を握られたことに驚いたのか、俺の迫力に驚いたのか、一馬くんは一瞬目を丸くする。


「じゃあ夏稀……?でいいんだよな、改めて言うとはず……」

「うん……!うん、それでいいよ……!」

「なんか嬉しそうだな。名前だけでそんなに?」

 

 少し困ったようにへなりと眉をしならせて小鳥のさえずりのようにクスクス笑った。肩を上げてくしゃりと破顔する。

 

 初めて、一馬くんが笑った顔を見た。初めて、一馬くんが『俺に』笑いかけてくれた。

 顔が熱い。耳の端まで、首まで熱が走っているのを感じる。

 笑顔、めっちゃ可愛い……!天使すぎる……!!

 

 一馬くんの手に覆い被さるように顔を突っ伏し、大きくため息を吐くと一馬くんの身体はビクッと震えた。


「うん、俺一馬くんに『夏稀』って呼ばれたらめっちゃ嬉しい。ありがとう」

「ふふ、なにそれ。ありがとうって言うのは俺の方なんだけど。色々勉強教えてもらったしさ、お礼したいんだけど何がいい?」

「お礼なんていいよ、俺が好きでやったことだし。それに名前呼びが十分お礼になってるから」

「何がいいかな……定食無料券とか、掃除当番変わる?あ、なんか食べたい物あったら出来る範囲なら作るよ」

「聞いてないなぁ」


 一馬くんは顎に手を当ててブツブツと『お礼』について考えている。

 煩悩たっぷりの俺からしたら『お礼』と言ったら一つしか出てこないのだが、流石にそれは倫理的にどうなんだ?一馬くんに引かれるに決まってる。ともう一人の夏稀が言うので勿論言葉にはしない。

 無難に定食無料券を受け取ろうかと、煩悩たっぷり『お礼』を頭の隅に追いやった。


「なぁ本当に何がいいとかないの?俺に出来ることならなんでもするよ」


 なんでもするよ……?


「……一馬くん、そういうのあんまり軽々しく言わない方がいいと思うよ」

「別に軽々しく言ってない。恩人の夏稀のためならなんでもする」

「恩人って……勉強教えただけなんだけどなぁ……」


 一馬くんはやる気満々なのか、今度はいつの間にか、一馬くんが俺の手を握ってズイと身体を寄せていた。可愛い可愛いお顔がやけに近い。

 

 あまりに一馬くんが真剣に言うせいで。可愛い眉をキュッと寄せて『俺に任せろ』とでも言うかのように鼻を鳴らすせいで。

 それに加えて、十センチ程の距離に顔があるせいで。

 生温かい、小さくて繊細な手の体温が、俺の手の甲をじわりと温めるせいで。

 

 もう一人の夏稀も簡単に絆されてしまう。可愛さに圧倒されて理性の門番の仕事を放棄してしまう。


 俺は一馬くんの手に包まれた自分の手を見つめながら、口を滑らせた。


「じゃあ……『着て欲しいもの』があるんだけど……いい?」

「『着て欲しいもの』…?いいけど、メイド服とかそういうのは嫌だぞ」

「恥ずかしいものでは無いと思うから大丈夫。多分」

「多分……?」

「でも、流石に今日一日だけでこの『お礼』は大きすぎるからさ。一馬くんに分からない問題があったらいつでも俺に言って。全部教えるよ」

「え、それ俺に有利すぎない?いいの?すごい助かるし毎日聞きに行っちゃうけど……。てか、俺そんなにすごい『お礼』要求されてんの……?なんか怖いな……」

「さて、今日はもう帰ろうか。結構遅くなっちゃったしね」

「なんか話逸らされたような気がするんだけど」


 ジト目で俺を威嚇するように見つめる一馬くんを笑顔で流し、名残惜しいが席を立った。

 手に残る感触が愛おしい。本当はまだまだ、出来ることなら一生触れていて欲しかったが、俺の俺が限界を迎えていたのでお開きだ。


 教室を出る時、軽く手を振れば一馬くんも小さく返してくれて「じゃあな。……前屈みになってどうした?お腹痛い?」と心配してくれた。

 大丈夫。ちょっと俺の俺が一馬くんのせいで元気になっただけだから。


 トイレに駆け込んで鍵を閉め、蓋のされた便座に座り手の甲を見つめる。


「あったかかったなぁ……」


 それにしても、我ながらずる賢いなと思う。

 『お礼』をして貰うだけでなく一馬くんとこれからも勉強する権利を得たのだから。

 一馬くんは素直だから、きっとなんの疑いもなく分からないところがあったら聞きに来る。先生のところでもなく、友達のところでもなく、『来ていいよ』と言った俺のところに、真っ先に。


 想像すると一馬くんはワンコのようで可愛い。こんなにも可愛い一馬くんを独占出来るなんて、俺は前世でどれだけ徳を積んだんだろう。


『夏稀、ここ分かんないからもっと詳しく教えて』

 とか

『夏稀天才すぎ。やっぱ夏稀が一番だね』

 とか言ってくれるのかなぁ。

 毎回距離は近ければ近いほど嬉しいから、俺は『友達』という枠組みを存分に利用させてもらって、偶然を装って近距離を攻めようと思う。

 

 妄想をしていればつい口角は上がって胸の奥が暖かい何かで満たされていくような感覚がする。

 あぁ、きっと俺は今、世界一幸せだ。一馬くんと『一緒に勉強する未来』がある。


「一馬くん、だいしゅきしゅーきだよ……勉強頑張ってね……」


 手の甲をおでこに当てて、微かに残る一馬くんの体温を感じた。

次はちょっとえっちです

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