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疲労

あとがきに主人公の技能のまとめがあります

一気に振り返りたい方はぜひどうぞ



『客人、よくぞ鏡を制御したな』


 ヘノーがさっきから抱きついて離れない。よほど心配してくれてたんだろう。


 主さまも祝福してくれているみたいだ。


「……今って僕がいなくなってからどれくらいですか?」


 『鏡』のなかで肉体改造している時は全くと言っていいいほど時間の経過がわからなかった。


 なんとなく一時間しか経ってないような気もするし、丸二日ほど経っているような気がする。


 何も時間の経過で変化するものがない空間にいると、かなり感覚があやふやになった。


『今日で10日目だ』


「えっ」


 10日? 十時間とかではなく、10日? そんなに長かっただろうか。


 ……やはり時間感覚が完全に狂ったのか。


「アオイはどれくらいだと思ったの〜?」


「せいぜい2日、多くても3日くらいだと思ったよ」


「へぇ、結構短く感じるんだね。『鏡』の中ってどんな感じだったの?」


「……」


 何気ない質問なんだろうが、こちらからするとトラウマを抉り出して炙るような発言だ。


「変な顔してどうしたの?」


「……いや、二度と鏡は使いたくないなって」


 『封ジラレタ鏡』の中を一言で表すなら、混沌、だろう。



 なんでも手に入るけど何も手に入らなくて、望みを強く持たなきゃいけないけど考えすぎてはいけない。


 そんな矛盾を抱えながら、細胞一つ失敗したら全てを失う綱渡りのような肉体改造を延々と続ける。


 大量のテストを数十時間にわたって解かされた後に、フルマラソンを計3回、その後ミリ単位の精密なプラモデルを32個連続で作るくらいの疲労が一瞬にして押し寄せてくる場所だった。


「ああ……」

 

 二度とやりたくない地獄を思い出して遠い目になっていると、主さまが気を使ったのか休むように言ってきた。


『客人、色々と聞きたいことはあるが、まずは休め』


「……そう、します」


 正直肉体的には全く疲れていない。なにせそういう体を作り上げかたら。


 しかしいくら肉体が丈夫だろうと精神はそうはいかない。正直今すぐに眠ってしまいたいくらいの疲れが溜まっている。


 精神も改造しようと思えばできた。それくらいの昨日は『鏡』にあった。だが流石にそれは踏みとどまった。


 そこまでいくと僕が誰なのか、僕はなんなのかがわからなくなってしまいそうだったから。


『ヘノー、客人も疲れているだろう。質問攻めにするのはそこまでにして休ませてやれ』


「そうだね〜。アオイどこで寝るの?」


「そうだな……」


 前、というか僕が気絶するたびに寝ているところはある意味ベッドだ。

 

 ただし、幻世樹木の枝で作られている。おかげで寝心地があまりいいわけではない。


 精神疲労がかなり蓄積している今は、最上級の環境で睡眠を取りたい。その条件を満たせるのはどこか。


「久しぶりに『虚無ノ塔』で寝るつもりだよ。そこだったら僕の思い通りに変化するしね」


「え〜」

 

「どうしたの?」


 何やら不満げな声を上げたヘノーだったが、どうしたのか聞いても沈黙しか返ってこなかった。


「そうだ主さま、一つお願いがあるんです」


『ほう、どうした?』


「明日また戦闘訓練をしてくれませんか? この身体で一回戦ってみたくて」


『いいぞ。その願い、叶えてやろう』


 ありがとうございます、と主さまにお礼の言葉を述べる。


「……じゃあ、僕は寝ますね」


『そうだ、客人。一つ聞きたいことがある』


 早速『虚無ノ塔』を使って休もうかと思った矢先、主さまに声をかけられた。


『鏡の中で、望む技能と才能は得られたか?』


「はい」


『……ふふっ、流石だな。我が予想をこえてくるか。その肉体の変化は見た目だけに留まらないとは』


「もちろん、あらゆる肉体の性能を向上させましたよ」


 見た目だけ『封ジラレタ鏡』を使って変えるなんて言う無意味なことはしない。

 それこそ時間の無駄。


『これで聞きたいことはおわりだ。ゆっくりと休め』


「わかりました。じゃあへノーもおやすみ」


「おやすみ〜」


 へノーの声を聞きながら『虚無ノ塔』を発動させる。


 一瞬で僕のカスタマイズした空間に辿り着いた。


 この感覚も久しぶりだな、と思いながら休息のための環境を整えていくのだった。




アオイの技能を振り返ろう!

〜『封ジラレタ鏡』を使う前〜



『技能の名称』 効果




『屍ニ生キル』 転生できる


『技能継承』 ???


『虚無ノ塔』 プライベート空間創造


『霞喰』 空気を食料にできる


『心魔力』 魔法を使おうという気持ちに反応して魔力が作られる


『氷酷』 感情を排除した思考になる


『忌ムベキ剣』 無限の魔物発生装置


『主従契約』 ???


『蜃気楼』 身体を一瞬異空間に移す。つまりその間攻撃がすり抜ける


『影法師』 ???


『闇奏』 真っ黒なナニカ、を好きなように操る。アオイがよく使う攻撃はこれ


『封ジラレタ鏡』 ハイリスク肉体改造


『高速思考』 思考が早くなる


『空間網』 周囲の探知。空間系の攻撃までわかるすぐれもの


『魔魔法』 自律人形とかゴーレムとかを作る


『亡霊ノ風』 空間をあやつる魔法


『光吸ノ毒牙』 魂毒。猛毒。詳細不明



注:上記のものは『封ジラレタ鏡』を使う前(第36話時点)の技能です。現在(第40話時点)はそこから『封ジラレタ鏡』を使ったので保有している技能にいくつか違いがあります。ただしそれはまだ作中で明かされていません。

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