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国王の嘘とヘノーの種族

「貴方のことはなんと呼べば?」


『なんでもいい。主でもいいし、霊獣の一角と言っても構わぬ』


「霊獣?」


『深く考えなくていい。特殊な生物の一つだと思ってくれ』


「魔人とは違うんですか?」


 主さまなんてまさしく魔人の条件を満たしていそうだ。意思疎通はできるし、本能的でもないし、人間でもない。


『魔人? 魔人は総じて二足歩行、それも人に近しい外見を持つ。我が魔人なわけなかろう』


「え?」


 人型だなんてヘノーは言ってなかったぞ? 大体ヘノーはスライムで人型とは程遠いが自分は魔人と言っていた。


「ヘノーは魔人だと伺いましたが」


『なに? ヘノー、君がそんなことを言ったのか?』


『だって主さまが前にボクは魔人とも言えるって』


『……ああ、それか。確かに君は魔人の条件は満たしているかもしれないとは言った』


 何やら話が食い違っていた原因がわかったらしい。

 

『ヘノーは魔人と呼ばれるものの条件は満たしている。だが、ヘノーは魔人とは普通呼ばれない』


「どういうことですか?」


『もとより魔人、という名称は人間と多種族が争い始めた頃にできた。昔、人間が他の種族を襲い始めたことを知っているかね』


「人間が襲い始めた………?」


 あの国王は確かに『魔族の侵攻を受けている』と言ったはず。だが、人間が、襲い始めた?


「人間からなんですか?」


『人間が突如、人間以外の種族を襲い始めた。それに対抗するため、人間以外の種族が魔王の元に集結し、魔人を名乗ったのが始まりだ』


 あの国王め。よくわからないし理解したくもない理論で僕を攻撃した挙句、歴史まで捻じ曲げて伝えたとは。


 僕たちが聞いたのではまるで、『人間に向かって攻撃してくる野蛮な魔人を討て』と言ってるようなものじゃないか。

 

 人間が、先に襲い始めただなんて、ただ魔人は正統防衛権を行使しただけなのに。


『その時魔王は『我々は理性を持って行動し、互いに意思を伝え得る、人間以外の者だ』と宣言した。後にこれが魔人、の定義とされる。この時集まったものはみな人型だ。付け足すなら魔人はすべて魔王の庇護下にある』


 あのクソで救いようのないほどのクズ国王は置いておく。


 とりあえずヘノーが言っていた魔人の定義が魔王の宣言に由来しているのは分かった。


「でもなんでヘノーは魔人じゃないんですか?」


『先ほど我は霊獣だと言ったな』


「はい」


『霊獣とは人間からして獣の形、つまり魔物に近い外見を持っている。しかし魔獣などとは全く別物。知能も高ければ当然意思疎通なども容易い』


「霊獣は魔人とは呼ばれないんですか?」


『霊獣は世界に4体しか居らぬ。そして霊獣ならたった一体で大陸など簡単に落とせる』


「は!?」


 大陸が落ちるって一体どんな力を持ってるんだ。しかも世界に4体で、主さまもその一体。


 これがもしゲームだったらラスボスでもおかしくない。


『霊獣は当然ながら魔王の下になどつかない。強いていうなら不干渉。よって我らは魔人とは呼ばれない』


 ここまでの話はわかった。


 魔人は魔王の家臣とか国民とかそんな感じ。


 霊獣は家臣でもなんでもないので魔人とは別物。つまり、主さまは魔人ではない。


「でもそれがヘノーとどう繋がるんですか?」


『ヘノーは霊獣の子供だ』


「………え!?」


『よって、魔人の条件を満たしていようと、魔人とは呼ばれない。厳密にはまだ成長してないから霊獣とも言えないが』


 圧倒的な力を持つ霊獣の子供? ヘノーが? いやでもまだ成長しきってないから霊獣でもないのか。


『前にあの子にこの話をしたんだが、一部だけ切り取って覚えていたんだろう。ヘノー、話はちゃんと聞きなさい』


『は〜い、主さま』


「ヘノー? 君はそんな強い力を持っているの?」


『いや〜持ってないよ〜。でもボクも成長したらすっごい強くなるんだ〜』


 そうか、現状そんなに強いわけでもないのか。確かにダークオーガに襲われてたしな。


〜魔人と霊獣、ヘノーのまとめ〜


魔人: 二足歩行、人に近い外見。 定義は理性的、意思疎通できる、人間以外であること。 基本魔王の配下。


霊獣: 魔物に近い外見。  高度な知能と戦闘力。 魔王とは強いて言うなら不干渉。


ヘノー: 霊獣の子供。 そこまで強くない。 子供なのでまだ霊獣ではない。 魔物でもない。 魔人でもない。

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