絶対に許さない
「『聖女』、そして『英雄』!? 陛下! これは偉業ですぞ!」
「おお、まさか私の代で現れるとは! 『技能』は何を持っている?」
「俺は『聖剣創造』と『英雄ノ覇気』、『魔物特攻』に『自律防御』だ」
「私、は、『治癒魔法』、『豊作祈願』、『心魔力』、『光魔法』」
「素晴らしい! 現時点で4つも持っているとは! これからの戦闘でより強力な『技能』を得るだろう」
どうやら『英雄』や『聖女』は非常に強力なものらしい。
じゃあ僕の『職業』はどうなんだ?
「ステータス」
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職業:『屍ニ生キル者』
技能:『屍ニ生キル』『技能継承』
__________
「は?」
全くどんなものかわからない。強いのか、弱いのか。役に立つのか、立たないのか。
「そこの者。其方の『職業』はなんだ?」
「『屍ニ生キル者』、です」
「…………は?」
「ふふっははは! だっさ! なんだよその『屍ニ生キル者』って! 俺の『英雄』とは大違いだ!」
「陛下。これは………」
「…………ふ、ふざけるな!」
国王がいきなり大声で僕を怒鳴りつける。
なんで僕が怒鳴られてるんだ。この『職業』はなんなんだ。
「聞いたことのない『職業』! それに『屍』なんて不吉な!」
唾が飛ぶほどの怒声が響く。
大体不吉かどうかなんて僕に言われても困る。
「私は、こんな使えもしない無能のために召喚を行なったのではない! どうしてくれる貴様! 私の労力が!」
「…………」
はい? この人は何を言ってるんだ? いきなり召喚しておいて、僕はお呼びじゃない?
「こんなものが栄えある我が国の救い? とんでもない! こんなものが紛れていたとなっては名誉に傷がつく!」
僕を呼んだのはあんただろうが。
「『英雄』を持つお前! こいつを殺せ! 私たちに従えば莫大な報酬をやる!」
「ちょっと待ってください! 流石に横暴が過ぎます!」
そんな命令、いくら暴力的な人だとはいえ赤城シンが聞くわけ………
「いいぜ、殺してやる! こいつ気に入らなかったんだよな!」
「は? なんでだよ!?」
「いっつもいつも稲生とイチャイチャしやがって! ムカつくんだよ!」
は!? どういうことだ!?
「英雄のお前! せっかくだ、『聖剣創造』を使え! 発動を念じるだけでいいはずだ!」
「なるほどな。『聖剣創造』!」
彼の手に光り輝く整った造形の剣が生まれる。
何より特徴的なのは、周囲に小規模な雷のようなものが生まれては消えること。
「おい、待て! いくらなんでも殺すのは!」
「うるせえ! お前も殺してやろうか!?」
止めに入ろうとしたクラスメイトも剣を突きつけられて押し黙った。
まずい、ここにいたら本当に殺されかねない!
「死ね!」
「うあぁ!」
痛い痛い痛い! 腕が! 血が噴き出ている!
「動いたせいで外したじゃないか!」
「っ!」
思い切り背中を蹴られた。
腕の痛みと相まってもう逃げられない。
「今度は外さない!」
僕に剣が振り下ろされる。
なんで僕が殺されなきゃいけないんだ!
「……ふざ、け、るな………」
「死ね!」
許さない! 絶対に、………
____これが僕が最後に思ったことだった。