主さまのところへ
『ところでアオイはなんでこんなところに〜?』
「なんで、って言われても」
非常に難しい問いだ。
この世界に呼ばれて、殺されて、転生して、そしたら転生先で大量虐殺、民族浄化ならぬ種族浄化が行われいた。
そこで敵の人間を殺して、集落らしきところから出ていった。
その結果として今森の中のここにいる。
「……まあ、色々あったんだよ。逆にへノーはなんでここにいるの?」
『ボクは主さまのところで住んでるんだよ〜。たまたま散歩に出たらダークオーガに捕まって』
「ダークオーガ?」
『アオイが倒した真っ黒な魔物だよ』
そんな名称だったのか。ところで主さまとはなんだろう。
「主さまって?」
『この森の主さまだよ〜。すごい方だよ〜』
いまいち要領を得ない回答がされた。主さまという存在がこの森に君臨しているのであろうことは理解した。
そして、そこで暮らしていることも。
「ところでへノーって魔人?」
『うん。普通のスライムは魔物だけど、ボクは魔人だよ〜』
「魔人なんだ。僕はよく知らないんだけど魔物と魔人って何が違うの?」
魔人というのを初めて聞いた時には『人』に近い何かなんだろうと思った。例えばツノが生えてるとか翼があるとか。
でもトキシックスライムのへノーが魔人なら別に人の形、というわけでもないのか?
『ん〜主さまがなんか『リセーテキハンダンとイシソツーのできる人間以外』がどうとかって言ってたけど』
リセーテキハンダン? 「理性的判断」のことかな? イシソツーは「意思疎通」か。まとめると
本能だけじゃなくて考えて行動する
意思疎通ができる
人間以外
この三つを満たしていると『魔人』と呼ばれるのか。
『アオイはどこかに住んでるの〜?』
「いや、特に住む場所もないよ」
強いて言うなら『虚無ノ塔』の中だろうか。
『じゃあ主さまのところに来てよ〜』
「……いいの?」
見知らぬ人、いや魔人を棲家に招いていいのか? それ以前に信用できるのか?
このスライムの言っていることが嘘な可能性だって十分にあるし………
『もちろんいいよ! ボクを助けてくれたんだし!』
「……じゃあ、お邪魔しようかな」
深く考えすぎか。僕に危害を加えるつもりならとっくに加えられている。僕を騙しても何も得なんてないだろう。
「どこにその主さまは住んでるの?」
『ボクが案内するよ! でも魔物が多いから注意してね』
「わかった。十分注意するよ」
『じゃあ早速出発だ!』
「あ、ちょっと待って」
『何〜?』
「魔物が多いんでしょ? だったら主さまの住んでるところに行く前にステータスを確認しておきたい」
『わかった』
さっきみたいなダークオーガとかが出てきたら困る。そのためにもまずは自分の『技能』を確認して対策を練らないと。
「ステータス」
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職業:『屍ニ生キル者』
『血染メノ行者』
技能:『屍ニ生キル』『技能継承』『虚無ノ塔』『霞喰』『鉄血魔法』『心魔力』『氷酷』『忌ムベキ剣』『水鴉ノ咆哮』『告害』『主従契約』『蜃気楼』『影法師』『闇奏』『封ジラレタ鏡』
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「は?」
『どうしたの?』
なんか大量に増えてるがそれはまだいい。まさかの『爪撃』が消えた!?




