表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/116

二度と殺されないように

 あの技の仕組みは簡単で、まず『滅流』を発動直前の状態にしておく。そして的は考えない。即ち無差別全方位だ。


 そして、相手の攻撃が届く直前に発動させ、すぐに『虚無ノ塔』に逃げ込む。


 これによって僕が自爆することを避けられる。そして相手の攻撃も届かない。


 最後に、『虚無ノ塔』から元の場所に戻る。


 すると、僕が戻った時には敵は全滅、敵にとっては『攻撃したと思ったら相手が消えててしかも反撃された』というわけだ。




 別に最後に元の場所に戻らず『虚無ノ塔』にしばらく引きこもってもいい、と思うかもしれない。だが、そこには問題がある。


 まず第一に戻る場所は元いた場所、つまりついさっき戦闘をしていた場所だ。


 たとえば1日『虚無ノ塔』に引きこもったとする。

 だが、結局戻るのはあの死体だらけの戦場。死体のせいでそこに新たに動物がやってくる可能性も高い。

 そうする戻った瞬間敵が目の前に、なんてことがあり得る。


 かといって死体が完全に無くなるまで待つのは長すぎる。しかも『虚無ノ塔』の中だと時間がわからない。


 まあ結論として一瞬で戻る必要があるわけだ。


 しかしタイミングを間違えれば自分の攻撃に当たって自爆、敵の攻撃到達前に逃げられなくて致命傷、なんてことがあり得る。


 だからこその緊急時にしかこれは使えない。


「そういえばステータスがなんか変わったんだった。ステータス」



__________


職業:『屍ニ生キル者』

   『血染メノ行者』


技能:『屍ニ生キル』『技能継承』『爪撃』『虚無ノ塔』『霞喰』『鉄血魔法』『心魔力』『氷酷』『忌ムベキ剣』『水鴉ノ咆哮』『告害』『主従契約』


__________




「『技能(スキル)』が減った!?」


 ここまで僕がかなり頼りにしていた『危険察知』がなくなってしまった。今までいろんな攻撃を避けるために頼っていたのに……


 いや、それだけじゃない。『滅流』も消えている。僕のたった二つの攻撃手段が………


 そもそも何で『技能(スキル)』が増えたり減ったりするんだろうか。


 一応あの恨むべき国王が『これからの戦闘で強力なスキルを…』みたいなことを言っていた。実際僕は戦いのたびに強力な『技能(スキル)』を増やしていってる。


 しかし『技能(スキル)』が減るのはなぜだ。


「………増えたのに期待するしかない」


 3つも増えたんだ。何か有用なものがあるかもしれない。


 検証だ。『水鴉ノ咆哮』は名称から察するにさっき殺し切ったやつのか? だとすると『滅流』との違いが気になるところだ。


 万が一『滅流』と同じ性質の攻撃だった時のことを考えて、しっかりと攻撃の的を意識しよう。


 目標はあの木だ。


「『水鴉ノ咆哮』」


 瞬時に僕の前に水の塊がいくつも現れた。そこから視認できないほどの猛スピードで何か、が飛び出していく。


 


 ドオン!と破壊音が響く。


 目標だ、と軽い気持ちで選定した木は、粉々になるまで破壊され、砕け散った。


「………『滅流』の上位互換か」


 よかった。なんとか攻撃手段の確保ができた。


 これで咆哮が聞こえるとか言うような『技能(スキル)』だったら絶望か発狂かするところだった。


 次は順当に行くなら『告害』か。この流れで行くと『危険察知』の上位互換か?


「『告害』………なるほど」


 なんというか、ゲームのマップでもみているような気分だ。


 視界の端に地図らしきものが見える。地図には一つの白い点、そしていくつかの動く赤い点がある。


 おそらく地図を見る限りこの白い点は僕の位置だ。そしてこの赤い点は多分『危険なもの』の場所だと思う。


「早速赤い点が近づいてきてるな」


 地図上の一つの点が白い点に向かって移動している。僕の予想、が正しければ、今から何かが現れるはずだ。


「メエエェエェ!」

「やっぱりか! 『水鴉ノ咆哮!』」


 謎の動物が茂みから現れ、攻撃してきた。即座に攻撃を叩き込んで仕留める。




 予想通り『告害』の能力は『地図を表示し、そこに自分の位置と敵の位置を示す』ことか。


 今までなんとなくでしかわからなかった『危険なもの』の位置が明確にわかるようになった。


 

 まだ試してないのは『主従契約』。だがこれは現時点では何も意味がない気がする。


「『主従契約』」


 念のため発動させようとするが、何も起こらない。


 まあこれは予想通りだ。何せこれは多分『契約』。相手がいないとそもそも契約しようがない。


 やはり嬉しいのは『水鴉ノ咆哮』。攻撃手段はもっともっと欲しい。



 あの『英雄』に復讐をするためには、こんなんじゃ足りない。二度と誰かに理不尽に殺されないようにするには、こんなのじゃ全く足りないんだ。


 『英雄』は今この瞬間にも未知の『技能(スキル)』を磨いているかもしれない。


 僕には教えてくれる人がいない。本当に今の『技能(スキル)』の使い方で合っているのかすらわからない。


 もっと効率的な使い方があるかもしれないし、僕の使い方では根本から欠けているところがあるかもしれない。


 僕がこうしている間にもやつは僕の使えない『魔法』を使えるようになっているかもしれない。


 わからないことだらけだ。だからこそ、僕はもっと戦うしかない。戦場が唯一の僕の教官なんだから。

続きが気になる、もっと読みたい、面白い!


そう思った方はブックマークと高評価、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ