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天空のソフィア  作者: 髪白悠 (白村から変えました)
第一部 ソラの旅編
7/24

第七話 駄々っ子ハンターと盗賊

 ソラ「あーもー」


 にゃん吉「どうして駄々っ子ハンターなどと名乗ったのじゃ」


 ソラ「だって捕まえるとか言うから慌てちゃったんだもん」


 にゃん吉「ソフィアと名乗れば良かったものを」


 ソラ「あーその手があったよねぇ」


 にゃん吉「それにしてもそのマスクはやっぱり失敗じゃな」


 ソラ「えー、これは失敗じゃないもん、可愛いでしょ!」


 にゃん吉「……微妙じゃな」


 ソラ達はトロールとゴブリンを討伐したあと、

 森に入った。

 不思議な事にあれだけ何もいなかった森には普通に魔物がいて、

 適当な数を狩ってからギルドに戻る事にした。


 ソラ「こんなもんかな?戻っても怪しまれないよね?」


 にゃん吉「ふむ、問題ないじゃろ」


 ……………………………………


 狩った魔物をギルドに持ち込む。


 なんだかギルドがいつにも増して騒がしい。


 受け付けの職員が声を掛けてくる。


 職員「あらソラさん」


 ソラ「魔物を狩ってきたんですけど、なんか騒々しいですね」


 職員「ソラさんがいない間に大変だったの、駄々っ子ハンターが現れたの」


 ソラ「え?!へ、へぇ駄々っ子ハンターがねぇ」


 職員「凄い活躍してから、どこかに行ってしまったらしいの」


 ソラ「あははー、忙しい人なんですねぇ」


 職員「忙しい…そうかも知れないですのね」


 ソラ「あ、魔物を狩って来たので、引き取って貰えます?」


 職員「あ、はい、じゃあ引き取り場の方へお願い」


 なんだか妙に視線を感じる。


「ちょうどソラさんくらいだったよな」

「あぁ駄々っ子ハンターって大男じゃなかったのか?」

「ソラさんじゃないのか?」


 うーん、微妙に聞こえてるんですけど。


 ソラは苦笑しながら引き取り場へ行き、

 魔物を換金してさっさとギルドを後にした。


 これはバレる前に次の街に行った方がいいよね。


 とりあえず旅に必要な物を購入し、

 メイの家に戻った。


 メイ「ソラお姉ちゃんおかえり!」


 抱きついてくるメイ。

 あー可愛い妹よ。


 ソラ「ただいまメイ」


 メイ「今日ね、駄々っ子ハンターが出たんだって!」


 ソラ「へ、へぇそーなんだ」


 メイ「でもさ、駄々っ子ハンターって凄く強いみたいだけど、変な名前だよね、自分で名乗ったらしいよ」


 ぐ、確かに自分から名乗ってしまった。

 そもそも誰だよ駄々っ子ハンターなんて、

 超絶ダサいネーミング付けたのは。


 ソラ「そ、そうだよねぇ、ダサいよねぇ、あはは」


 メイ「お姉ちゃんもそう思うでしょ?メイなら自分で名乗れないよぉ、どんなセンスしてるんだろうね、あとマスクしてたらしいけど、マスクも変だったんだって、もぉね、メイは駄々っ子ハンターは変態だと思うの、変態ハンターだよ!あははは!」


 ぐぬぬぬ、言い返せない。

 しかしメイに罪は無い。

 無邪気にはしゃいで話してるだけなんだ。

 駄々っ子ハンターと名付けたやつ、

 許すまじ。


 ………………………………


 部屋に入り、旅支度をする。

 なんだかんだと数週間お世話になった。


 可愛いメイともお別れ。

 ほんとに妹みたいに可愛いメイ。


 明日は一日中メイと一緒にいよう。


 …………………………………


 2日後、朝にはメイとお別れして、

 領門に来ていた。


 メイの泣き顔が頭から離れない。

 また必ず会いにくると約束して、

 メイとその家族に別れを告げた。


 ソラ自身も別れは辛かった。

 気持ちが昂って龍人化するのではとヒヤヒヤした。


 こんな事ならもう宿屋に泊まる以外はしないと誓ったのだった。


 メイのお兄さんにも挨拶して、

 領門を抜けたところで声がかかる。


 ラートル「ソラ、待ってくれ」


 ソラ「あ、ラートルさん」


 ラートル「ギルドでは話しづらいからな、待っていたんだ」


 ソラ「何かお話しですか?」


 ラートル「あぁ、歩きながら話そう」


 ソラは歩きながら話しを聞く事にする。


 ラートル「率直に言う。トロールとゴブリンを討伐したのは君だろう?」


 ソラ「ぶうううう!な?!何を言ってるんですかぁ、ヤデスヨモォ」


 ラートル「惚けなくても良い、秘密にするつもりでこうやってここまで来て話してるんだ。君が秘密にしたい理由は分からないが、あえて聞かないでおこう。あの時はありがとう、心から礼を言う。」


 ソラ「……」


 ラートル「捕縛したテイマーな、白状したよ。ケルベロスもそいつの仕業だったそうだ。」


 ソラ「そうなんですね!じゃぁもう魔物が襲って来る事はないんですね!」


 ラートル「うん、そうなるかな。君のお陰だ。」


 ソラ「良かったぁ、わざわざその事を知らせる為に?」


 ラートル「うん、それもあるが、これを受け取ってくれ」


 ソラは立ち止まって、ラートルが差し出した物を受け取る。

 ズシリと思い。


 ソラ「え?!これって」


 ラートル「報酬だ。受け取ってくれ」


 ソラ「あ、あの、ダメですよ!これは、あの、ほら、ダッサイ名前の人のだから」


 ラートル「ははは!ダサい名前か!じゃぁ君が預かっててくれ。いつか駄々っ子に渡してやってくれ、あ、これはくれぐれも秘密に頼むよ」


 ソラ「……あ、ありがとうございます」


 ラートル「うん、元気でな。世界樹見つかると良いな」


 ソラ「はい!」


 ラートル「では、気をつけて、また会おう」


 ラートルはそう言って街に戻って行った。


 ラートルは思う。

 (あのテイマーが、何者かに殺された事は言えなかったな。

 まぁ言う必要はない。

 こちらで解決してやる。安心して旅立ってくれ)


 ……………………………………


 なんだかんだと居心地の良かったヨイタウンを後に、

 次の街を目指す。


 次の街はダンジョンの街、

 ダンジョンタウンだ。


 そこの街はその名の通り、

 ダンジョンがあり、

 冒険者で賑わう街。

 ソラも冒険者になるのが夢だったので、

 ダンジョンは少し楽しみでもあった。


 街道の端っこを歩いてると、

 一台の馬車が後ろから通り過ぎていった。

 

「あ、猫ちゃんだ!」


 後ろの荷台から女の子がにゃん吉を見ている。


「バイバーい」


 可愛いなぁ


 ソラも手を振って応える。


 そろそろ野営地があったらそこで野営しよう。


 そう思っていると、

 どうやら野営地に着いたようだ。

 さっき先に行った馬車も停まっている。


 魔物がほとんど来ないスポットと呼ばれるエリアは、街道沿いにも点在している。

 そう言う所は大体野営地として利用される事が多い。

 さらに見知らぬ者同士でも、

 集まって大勢で野営すれば、

 安心度は増す。

 そう言う理由から、

 野営地は旅人が多く集まるのだ。


「こんにちは」


 ソラ「こんにちは」


 野営地では見知らぬ者同士でも挨拶を交わす。

 万が一の時には連携して対処する事もあるから、

 コミュニケーションは大事だ。


 でも今回のこの場所には、離れた所に大きめの馬車が停まっていたが、

 とくに誰も降りてこようとしてないようだ。

 こんなふうに、たまにコミュニケーション取らない人達もいる。


 まぁ放っておこう。


「あ!さっきの猫ちゃんだ!」


 ソラ「こんにちはお嬢ちゃん」


「こ、こんにちは」


 女の子はお行儀よく挨拶してくれた。


 きゃわいー


 女の子「猫さん、逃げたりしないの?」


 ソラ「しないよ、触ってみたい?」


 女の子「うん!」


 にゃん吉「にゃ」


 にゃん吉は女の子に抱っこされ、

 頬擦りされている。

 なんだろう、にゃん吉も嬉しそうに見える。


 女の子「もふもふぅぅ、かわいい〜」


 うーん、改めて思うと、

 にゃん吉の中身は爺ちゃんなんだよね。

 なんかごめん。


 ソラは心の中で謝って、

 野営の準備をした。


「あ、ミリー、ここに居たのね、すいません娘がご迷惑を」


 女の子のお母さんかな?


 ソラ「いえ、大丈夫です。女の子可愛いくて癒されてました」


 母親「お嬢さんお一人で旅を?危険じゃないですか?」


 ソラ「はい、大丈夫ですよ。こう見えて冒険者なんです」


 ミリー「お姉ちゃん凄〜い」


 ソラ「ふふふ、私はソラ。あなたは?」


 ミリー「あたしミリー!」


 母親「冒険者なんですか?そんなお若いのに」


 ソラ「はい!けっこう強いんですよ。なんちって」


 母親「ふふふ、良ければご一緒しませんか?娘も喜びます」


 ミリー「ソラお姉ちゃん一緒しよー」


 ソラ「うん、じゃぁ一緒に野営しよっか」


「おーい、火の準備できたぞ」


 母親「はい、今行きます!ソラさんもどうぞ」


 ソラ「ありがとうございます」


 それから一緒に食事を摂り、

 ミリーはにゃん吉と一緒に寝てしまった。

 

 この家族もダンジョンタウンに向かうそうだ。

 ソラ一人くらいなら馬車に乗れるからと、

 乗せてくれる事になった。

 ミリーの相手をしてくれればお礼は要らないと父親に言われ、断る理由も無くソラは承諾した。


 夜も更けてソラはミリーの隣で横になった。


 ………………………………


「ソラ、私のソラ……」


 ん、どうしたの?


「危険がくるよ、気を付けて……」


 危険?何がくるの?


「私を願って。あなたにはそれが出来るから」


 あなたはだれ?


「私はあなた。あなたは私……」


 あなたは、ソフィアなの?


「ソラ、起きて……」


 ……………………………………


 ソラ「ん……」


 目が覚めた。

 夢?

 ソフィアの夢?


 ソラ「ん?!」


 外がざわざわしてる。

 なんだろう?


 ソラはそっと馬車から外を伺う。

 星明かりに浮かぶ人影。


 あれ?野営地にはこんなに大勢居なかったはず

 

 ハッキリ見えないけど、

 剣を持ってる?


 あ、明かりが灯った。

 誰かが松明を点けたんだ。


 明らかにこの馬車を狙っている。

 盗賊だ。


 離れた所に停まっている馬車は平気なんだろうか?


 にゃん吉「にゃ」


 あ、にゃん吉爺ちゃんが起きてくれた。

 ソラはそっと囁く。


 ソラ「盗賊だよ」


 にゃん吉「にゃん」


 にゃん吉は一言鳴くと馬車から出て行った。


「おわっ、なんだ猫か、驚かせやがって」

「馬鹿うるせーぞ、起きちまうだろ」


 にゃん吉「アイシクルアロー!」


「ぐぁっ」

「ぎゃぁ、痛ぇええ!」


 ソラは馬車から飛び出した。


「なにっ?!起きてやがったのか?!」


 ソラ「みんな盗賊だよ!起きて!!」


 父親「なに?!盗賊?!」


 ソラは刀を空間から取り出す。


 にゃん吉「照明魔法アクティースじゃ」


 にゃん吉の居た所から、

 空に向かって光りの玉が上がる。

 光玉は一定の高さで止まって、

 眩い光りとなって辺りを照らした。


「うわっなんだ!?眩しい」


「くそっなんだこいつら」


「生意気な小娘がぁ、おらー!」


 盗賊の一人が切り掛かってきた


 ソラ「ふん!」


 キンッと音を立てて、

 男の剣は折れた。


「なっ?!」


 ソラ「ぶった斬るよ!」


 ソラは刀を構えて殺気を放つ。


「くっ…せ、先生!先生!来てください!」


 先生?


 暗闇の向こうから一人の男が現れた。


「ほほほ、なんでしょ?呼ばれてくれば、小娘じゃない」


「先生!あいつけっこうやりますよ」


「へぇ、そのようだね」


 にゃん吉「びゃっくしょん!びゃっくしょい!」


 爺ちゃんのくしゃみが止まらない。

 嗚呼、昔から太陽見るとくしゃみが止まらなかったっけね。


 ソラは刀を正眼に構える。


「変わったレイピアねぇ、けど、美しいわぁ」


 気持ち悪い喋り方をする男は、

 剣を構えた。




 スキが無い……


 にゃん吉「ふぇ、ふぇ……びゃっっくしょぉおい!」


 にゃん吉のくしゃみと同時に動く。


 ソラ「雷光石火、一閃!」


 カイーンッ


「凄い技、危ないわねぇ、まともに受けたら剣が持たないところだったわ」


 ソラ「くっ」


 爺ちゃんの剣みたいにいなされた。


「その若さで大したものね、Aランク、いえAAランクかしら」


 男はそう言うと妙な動きを始めた。


 剣が、泳いでる?

 あれ?視点が定まらない。


「今度は私の番ね」


 にゃん吉「にゃぁあ!!」


 はっ


 ソラ「ちょ、ちょっとたんま!」


「なぁに?急に」


 ソラ「良いでしょ!私はまだ子供なんだから!少しくらい待ってよ!、それから周りのあんた達!他に手を出さないでよね!勝った後にぶった斬るよ!」


 そうっと動いてミリー達に何かしようとしてる男達に牽制する。


 ちゃんと見えてるんだから


「ぐっこの小娘」


「およしなさい、余計な事しないでくれる」


「へ、へぃ」


 私は空間からマスクを出して被った。


 すーはー


「なに?そのマスク、とてもユニークね、ほほほ」


 すーはー……

 すーはー……


『トクンッ』


 すー…はー……


「もういいかしら、子供のわがままはここまでよ」


 そう言って男はまた妙な動きをする。


 同じだ、剣の視点が定まらなくなってくる。


 あの動きに秘密があるんだと思うけど、

 どうにもならない。

 

 ソラは眼を閉じる。

 そして考える。

 そして感じる。

 

 私はソラ。

 私はソフィア。

 ソフィアは私。

 ソラはソフィア。


 お願い、ソフィア、力を貸して!


 ≪パリンッ≫


 ありがとうソフィア、ありがとう私…


 ソラ「来なさい!私は駄々っ子ハンターだ!」


「いくわよー!」


 ……………………………………


 夜が明けようとしている。

 明るくなって来た空に、明けの明星が光る。


 野営地に離れて停まっていた馬車は、

 盗賊団の馬車だった。


 野営地に何食わぬ顔で停めて、

 獲物を物色し、夜襲をかけていたのだ。


 ソラは盗賊団の馬車の中身を確認した。

 奪った金品に、

 攫った子供達が乗っていた。


 子供達を見た瞬間に頭に血が上り、

 また龍人化したかと思ったけど、

 龍人化はしてなかった。


 とりあえず盗賊団はふんじばって、

 子供達には旅人に面倒見てもらって、

 やがて通る騎士団に助けを求めるようにと言っておいた。

 面倒を見てもらえる為の資金は、

 盗賊団の金品から出せば良いのだ。

 旅人は喜んで面倒を見てくれるだろう。


 結局、オカマ男が変な動きをして斬りつけて来たけど、

 龍人化したソラには全く意味のない動きだった。

 動体視力?だと思うけど、

 集中して良く良く見ると、

 とっても動きが遅く見えるんだよね。


 なにしてんの?

 って感じで、

 峰打ちでボコって終わりだった。


 ミリー「お姉ちゃん強いんだね」


 ソラ「これは内緒にしてね」


 父親「噂の駄々っ子ハンターだったなんて、本当に助かりました」


 母親「心強いわぁ」


 ソラ「本当に秘密でお願いします」


「なんなのよ!あんた!ちょっと待ちなさいよ!」


 野営地から出発しようとするソラに向かって

 オカマ男が騒いでいる


 ソラ「何度も言わせないでよ!ほんとは嫌なんだから!駄々っ子ハンターだよ馬鹿!」

 

――――――――――――


 マリアーノ「これはどう言うことだ?」


 野営地に訪れたマリアーノは、

 男達が縛られている様を見て驚きを隠せないでいる。

 先のトロール討伐で重症を負ったマリアーノだったが、ハイポーションを飲んで回復していた。


 騎士A「マリアーノ様、看板が建てられております」


 マリアーノ「見れば分かる!」


 縛られている男達の脇には看板が立てられており、

 近くの大きめの馬車からは、

 子供達がマリアーノ騎士団達の様子を伺っている。


 看板にはこう書かれていた。


『この者達盗賊につき餌を与えないで下さい。子供達は攫われた子達です、面倒を見て上げて下さい。騎士団の皆様、よろしくお願いします。駄々っ子ハンター改め仮面の剣士ソフィアより』


 マリアーノ「駄々っ子ハンターがここを通ったのか」


 いちおマリアーノは事情を把握した。


 マリアーノ「子供達を保護して、一旦ヨイタウンに戻るぞ、盗賊共は馬車の牢に入れておけ、いや、その前に水魔法で洗ってやれ、臭くて敵わん」


 マリアーノは思う。


 ソフィアというのは駄々っ子ハンターさんの名前だろうか、良い名前だな。

 駄々っ子ハンターさんがこの先にいる。

 会ってお礼を言いたいのだが、

 仕方ない、急いで戻って、

 直ぐにまたダンジョンタウンに向かうとしよう。


 もしかしたら駄々っ子ハンターさんも『奴』を追っているのかも知れないな……。

 

【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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