クリスマスパーティー!
「それではみなさん、メリークリスマス!」
「「メリークリスマス!」」
鈴が鳴るように、グラスを合わせる音が次々と重なる。それを合図に、バー貸し切りのクリスマスパーティーが始まった。
テーブル中央には、ゆかがこの日のために用意したメインディッシュのロティサリーチキン。香ばしい匂いを漂わせながらツヤツヤと輝いている。他にも、ホクホクのキッシュや、彩り豊かなポテサラツリーなどの料理が並べられ、思わず胸が弾む華やかさだ。
しかし、奈央と仁は違う意味で胸の奥が弾んでいた。
(むぎちゃん、喜んでくれるかな……ううん、喜んでくれるに決まっているわ!あれぐらいの歳の子で、ぬいぐるみが嫌いな子なんていないもの!……たぶん。)
(やばい、ドキドキしてきた……!いやでも、いけるでしょ!だってむぎちゃん本好きだし、大丈夫なはず……大丈夫だよね?)
落ち着かない気持ちの遣り場に困って、2人ともただただ食事とお酒を口に運んでいく。けれども、美味しいはずの料理と、それらを作ってくれたゆかと健には本当に申し訳ないが、おかしな緊張のせいでしっかり味わうことはできなかった。
「はあー、おなかいっぱい。」
宴もたけなわ。幸せそうな声を上げたむぎをはじめ、全員のお腹が膨れ始めた。その頃合いを見計らってか、次のお楽しみに向けてゆかが口火を切った。
「むぎちゃん、実は今日ね、クリスマスプレゼントを準備してるの。」
「え!ほんと!?」
「うん。ねえ、サンタさん?」
ゆかから送られる視線をきっかけに、奈央と仁が目を見合わせる。お互いに腹を括ったように頷き合った2人は、赤と緑にラッピングされたプレゼントをそれぞれ手に取って、立ち上がった。
「そう!むぎちゃんがいい子でがんばりやさんだから、特別に仁サンタと奈央サンタが来てあげたよ!」
「きっとむぎちゃんに喜んでもらえるプレゼントを考えてきたのよ!だから、はい!これどうぞ!」
奈央が赤いリボンを結んだプレゼントを、むぎの両手に優しく預ける。リボンを解き、開いた包みの中から現れたのは、真っ白なもこもこのくまのぬいぐるみだった。
「わあっ……!かわいい!」
むぎが嬉しそうに顔を綻ばせて、ぬいぐるみを抱きしめる。その姿を見て、奈央は一瞬表情を緩ませると、すぐに得意顔になって鼻を膨らませた。
「ま、まあ当然よね!たっっくさん探して見つけてきたんだから!喜んでくれると思ってたわよ!」
「うん!うれしい。なおちゃん、ありがと!」
「んっ……どういたしまして、むぎちゃん。」
「あはっ、変な顔~。」
「う、うるさい!次は仁君の番でしょ!」
素直な感謝に上がりかけた口角を何とか抑える。それをごまかすように、茶化してきた仁へと注目を向けさせた。
仁が後ろに手を組みながら、ゆっくりとしゃがむ。そうしてむぎと目線を合わせると、隠すように持っていた包みを差し出した。
「はい、どうぞ。仁サンタからのプレゼントだよ。」
奈央のプレゼントよりも控えめな大きさの包みを受け取り、リボンを解く。中から現れたのは、色鉛筆でひよこが描かれた、手作りの絵本だった。
「むぎちゃんとたっくさん遊んだけど、僕はむぎちゃんと絵本を読む時間がすっごい楽しかったの。だからね、一緒に読みたいお話を作ったんだ。どう……かな?」
「これ、じんくんがかいたの?」
「そ、そうだよ。まあ、奈央ちゃんみたいに上手じゃないんだけど」
「かわいい~!」
自信が萎んでいく仁を照らすように、むぎが喜ぶ。
「ん~、いまよみたいけど、じんくんによんでもらうの、たのしみにしてるね!」
「っ!!~~うん!楽しみにしててね!」
はぁ~、よかったぁ~と仁がへなへなになりながら腰を落とす。両腕にプレゼントを抱えながらにこにこ顔のむぎを見て、智宏がほっとしたように声を掛けた。
「よかったなあ、むぎ。サンタさんにプレゼントもらえて。」
「うん!うれしい!でもね」
「ほんとのサンタさん、いつくるの?」




