エピソード6 平和な野外訓練①
生徒たちが広場に集まっては先生が来るのを待っていた。
ここは王都にあるギルド学園ではなく、
少し離れた場所にある小さな街だ。
生徒たちはそこに集まっているのだ。
そこへ、
黒いコートに両手をポケットに突っ込みながら
歩いて来た1人の男の人がいた。
集まっている生徒たちの目の前で
ピタリと止まり、
生徒たちに向かって挨拶をはじめた。
「えー、みんな集まってるなぁ。
きみたちと行動する『ヴェポ』だ。
今日はきみたちに狩りの仕方を教える。
流れとしては
今からこの街ギルドで依頼を受け、
孤児院までの一本道にある平原で狩りをする。
そして依頼を達成したら報告をし、
街ギルドから報酬を得る。
……っと言った感じの流れだ。
本来は見習いの冒険者や職人は、
モンスター討伐の依頼を受けることは出来ない。
だけど今回は
学園長ことギルド長から許可を得ている」
街の広場で生徒たちに説明をしているのは、
担任の私ではなく『ヴェポ』先生だった。
「ヴェポ先生ぇ〜。
うちらの担任のなゆ姫先生は?」
生徒の1人が担任不在の状況に疑問に思い、
質問を飛ばした。
「……なゆ姫先生は遅刻だそうだ。
おそらくだが、
朝からアニメでも見てる可能性が高いな」
自分の推測によほど自信があるのか、
言わなくてもいいのに、
ヴェポ先生は私の遅刻の理由を勝手に推測し、
そう答えた。
……ふーん?
へぇー、そぉ。
言い切るんだぁー。
なんてたいした自信ね?
私って遅刻したら、
そんな風に思われてたんだぁ〜へぇー。
ふーん。
……もちろんあってるわよっ!!(逆ギレ)
ヴェポ「では今からパーティーに分かれてくれ」
生徒たちはガヤガヤと騒がしくしながらも、
くじ引きで決まったパーティーに分かれはじめた。
各自グループを作っている。
するとそこへ、
なゆ姫先生「お、遅くなってすみません!
ちょっと道が渋滞していて……」
私は汗をかきながら、
さも急いで走って来たかのように、
すばらしい演技をした。
実際は朝からアニメを観ていて
その余韻にひたりながら
のんびりと歩いてきたのよ。
走ったのはついさっきなの。
ヴェポ「……そうゆうのいいんで。」
ヴェポ先生は一瞬、私をギラリと睨んでは、
すぐさま視線を外して呆れていた。
すべてを見透かしたようなその鋭い目……
私はちょっとだけ反省したわ。
「それにしてもすごい組み合わせですね。
このパーティーはなゆ姫先生が、
お考えになったんですか?」
ヴェポ先生が生徒たちのパーティーを眺めては、
奇抜な組み合わせに感心している感じだった。
「いえ、
生徒たちが自分たちで決めました。
……くじ引きで。」
私は少し恥ずかしくなりながらそう答えた。
『くじ引き⁈』
あまり動じないヴェポ先生が動揺していた。
そんなくじ引きで決まったパーティーがこちら↓
……え?ページの都合で次回ですって?