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番外編【想い出の観察者(メモリーオブザーバー)】後編


モンスターが生まれてくる瞬間を捉えた写真は珍しく、

それを私たちは撮る為に、

安全な場所で撮影をしようと考えました。


ダイくんに相談しました所、

ギルド学園の屋上が適しているみたいです。


夜の内に親ワイバーンと卵を

ギルド学園の屋上へと移しました。


ダイくんは明日もあるからと言って宿所に戻っていきました。

私たちは今日で終わりですが、

彼はギルド学園を卒業するまで世話を続けるのですから、

彼の真面目な心根と、

誠実さが私たちには伝わりました。




いつ生まれてくるかわからない為、

私たちは寝ずに夜通しワイバーンの卵を見守ることに、、、


その瞬間は、

もうすぐ日の出が顔を出してきそうな時間帯に訪れました。



ーーピキッ。


卵の殻が破ける音がし、

それと同時に、

レートさんが私の肩を叩いてくれました。


ウトウトしていた私は、

「はっ!」っと目覚め。

私もすぐさま、

近くでスヤスヤ寝ていた甘飴甘味(あまあめかんみ)さんと、

りと!さん、アカベコくんを急ぎ起こしました。


レート「たつかぜくん。任せたよ」


寝ずにずっと見守ってくれたレートさんが、

私の出番を期待してくれました。



シャッターチャンスは一度切り……

手に汗が握ります。


私は魔道カメラのファインダーに瞳を預けました。


ピキッ、パラッ、パラパラ、、、


(生まれて来るっっ!!!)


カメラのシャッターを押そうとした時でした。


「……⁈」



     !!ピカァー!!



私は眩しさの余り、

つい目を閉じてしまいました。


ちょうど日の出と重なってしまったのです……


目を開けたときには時すでに遅し、、、


親ワイバーンが嬉しそうに、

卵からかえった我が子をぺろぺろと舐めていました。



全員『あぁぁぁぁ〜〜⁈』



撮影チャンスを逃したことで、

クラスメイト全員が落胆したのがわかりました……





(ですがご安心を!!

"私なら"

チャンスを(のが)したとしても、

(のが)した内に入りませんからっ!!!)



『時よ!

 幾分の世界の歯車を戻したまえっ!!』



私は即座に時空魔法を唱えました。


ーーガシャン。キュルキュルキュル。


〜〜〜


レート「たつかぜくん。任せたよ」



(この角度では日の出とぶつかる!)


私は体験した未来を回避するべく、

身体を横へとずらして撮影に挑みました。



ピキッ、パラッ、パラパラ、、


(生まれて来るっっ!!!)



カシャ!!


シャッター音が鳴り響きました。


先ほどは私が目を瞑っていたのでよく見えなかったのですが、

今度ははっきりと見えています。


『親ワイバーンの愛おしそうに我が子を見つめる優しい目』


すぐさま親ワイバーンは嬉しそうに

生まれてきた我が子をぺろぺろと舐めていました。


撮れた!


あの親ワイバーンの愛おしそうに見守る表情!!


そして卵から生まれて来る新しい生命の瞬間!!


背景には日の出が綺麗に親子と重なり、

神秘的な光景に!!


まるで新しい生命を祝福しているかのようだ!!!



間違いなく!

今回出品するテーマの

『瞬間』を撮ることができたのです!!


私は興奮のあまり、

カメラのファインダーを覗き込んだまま、

片手でガッツポーズをしておりました。


それを見たクラスメイト達も満面の笑みを浮かべていました。

甘飴甘味(あまあめかんみ)は母性でもくすぐられたのか、

愛おしそうに

まるで自身が母親にでもなったかのように、

ワイバーンの子を眺めており、

りと!さんは甘飴甘味(あまあめかんみ)に抱きついて喜び、

レートさんとアカベコくんはお互い笑顔で

片手でハイタッチしておりました。


最高の瞬間を最高の写真として撮れました!



ーーカシャ。


不意にどこからかシャッター音が聞こえた気がしました。


魔道カメラを持っていたのは私だけだったので、

私は自分の魔道カメラに目を落としました。


……変わった様子は特になかったです。



この後のワイバーンの親子のことは、

ダイくんがもうじき来てくれるので、

お任せするとしましょう。



「たっつん!急いだ方が良くない⁈♪」


「そうよ。急ぎましょう!」


「僕達も一緒について行くよ」


「あぁ、最後まで見届けるぜ!」



私たちは急ぎ会場へと向かいました。

転移魔法でもあればすぐなのですが、、、

無いものを言っても仕方がありません。

急ぎましょう。




間に合うかどうか焦る気持ちはあるものの、

全員が

やり切った感で満足した顔をしておりました。


達成感と嬉しさやら、何やらの、

いろんな感情でいっぱいでした。


まさに『感無量』の一言です。








会場に到着した私たちは、

すぐに受付へと向かいました。


息を切らしながらも、

受付のお姉さんに写真を提出しました。


「あら?あなたは先程……」


受付のお姉さんが首を傾げていました。


「お姉さん♪早くエントリーしてなぁ♪」


甘飴甘味(あまあめかんみ)さんの元気で明るい声で、

受付のお姉さんはいつもの対応に戻りました。



「失礼しました。

 本日のコンクールの出品ですね。

 かしこまりました。

 ……はい。こちらですね。お預かりいたします。

 ……

 ………受理いたしました。

 こちらがエントリーNo.となっております。

 結果発表は本日の夕方となっております。

 審査員の方が審査した後、

 エントランスを抜けて2階の会場にて

 優勝作品と、2位、3位の写真が順番に

 並んで発表されます。

 3位以下の作品は、

 1階の会場にて、まとめて発表されます。」



そう説明を聞き、

番号札を渡されました。

番号は48番、、、

50番までの締め切りでしたので、

間に合って良かったです。危なかった。


私たちは夜通し寝ずに起きていた為、

現在進行形で眠たかったのです。

近くの待合室で横になることにしました。


   スヤスヤ。


        スヤスヤ。


……ぐぅー。


いびきではありません。

お腹が鳴って目が覚めたのです。


そういえば朝から何も食べてませんでしたね……

時刻はお昼過ぎでした。


私はみなさんを起こし、

少し遅めのお昼ご飯を食べることにしました。


私たちは食堂にて、

ご飯を食べながら今朝のことを語り合いました。


あの感動を、

クラスメイト達と共有できたことが何よりも嬉しかったのです。


夕方になりました。


会場にはだんだんと人が集まってきています。


1階には早くも入賞作品以外の作品が、

発表されているようでした。


ここには私たちの作品は無いと信じておりますが、

それでもやはり気になり、

私たちは1階の作品を観に行くことに、、、


その数、

のべ47作品の写真がズラリと貼り出されておりました。


『鳥の卵から……』


『虹が出るとき……』


『花が咲き誇る瞬間……』


『シバター参上……』


どれもこれも似たような『瞬間』でした。

(いま変なおじさんがいませんでしたか?……)

やはり入賞するにはインパクトが必要ですね。



「よかったぁ♪

 ここに無いってことはぁ〜♪」ーービシッ!


甘飴甘味(あまあめかんみ)さんが、

クルクル♪っと回ったあと、

テンションを上げ片手を天に突き出し、

可愛くポーズを決めております。


「ってことはぁ♪」ーービシッ!


りと!さんも同じポーズをしては、

片手を天に突き出しております。

その姿はまるで、

ポケモンのリザードンポーズのようでした。




「はい、はい、周りの人が見てるから、

 その辺で止めようね」



レートさんが両手をパン、パンと鳴らしながら、

二人のポーズを止めました。

レートさんも、

1階に私たちの作品がなかったことに安堵し、

顔が緩んでおりました。



アカベコ「これは楽しみだなぁ♪」


アカベコくんは入賞は間違い無しと知り、

両手を頭の後ろに組んで歩き、

機嫌良く鼻歌を口ずさんでおりました。



アナウンス『いまから2階の会場にて、

      優勝作品と、

      入賞作品の発表をいたします。』



会場全体にアナウンスが流れました。



(来ましたか!運命の瞬間が!

まぁ、

間違いなく私たちの作品が"優勝"でしょう!)



フンフンフン♪


私もついつい、

Vtuber『星川サラ』ばりの鼻息で、

会場へと軽い足どりで向かいました。


……

………

…………

……………

………………え????



私たちはみな、

口を開けて唖然(あぜん)としました。


"ありえない"っと言った表情をして……


当然、私もです。






優勝作品:エントリーNo.42

作品タイトル:『青春の1ページ』

出品者:ミスターX様




驚いている私たちの目の前に、

優勝作品が堂々と飾られてありました。

もちろん私たちは優勝を逃したことを驚いているのではありません、、、


目の前の"一枚の写真"に驚いているのです。



「え?え?

 あれって、かんみたちやんなぁ??」


「ちょっと、どうゆうことなの⁈」


「う、うそだろ⁈誰がどうやったんだ⁈」


「……僕達は利用されたみたいだね」



その隣に、、、


私たちの作品が並んでありました。

続いて3位の方の作品も。



「……これは完敗ですね。」


私は優勝作品を眺めながらそう(なげ)きました。



優勝作品の写真……



そこには、、、



"私たちが写っていた"のです



私たちのワイバーンの親子の愛おしい写真


それを嬉しそうに満面の笑みで喜んでるみなさんと、

魔道カメラのファインダーを覗き込み、

ガッツポーズをしている私が写っていたのです。


隣に並べられている私たちの2位の作品が、

この優勝作品をドラマティックに引き立ててしまったのです。

それはまるで2枚で1つとして見えるほどの、

芸術かと錯覚するほどの写真でした。



このミスターXさんは、


"写真を撮る人の瞬間を撮る"


と言う、


"撮る側"を撮ってみせたのです。



……この一枚で、私は気付かされました。



美しい人


美しい風景


美しい街並み



美しさには誰もが目を惹かれます。


もちろん、

目を惹かれるのは何も美しい物ばかりではありません、、、


写真と言うのは人生の連続の瞬間を切り取った物

その一枚を眺めるだけで、

その時の感動や感情をそっと思い出し、

見ただけで懐かしく思う風景の写真もあれば、

何気ない日常の写真もあります。


それを家族や友人と一緒に見返しては、

笑い合い、話が広がったり、

自分が知らないエピソードが聞けたり。


中には写真に魂の在り方まで収めようと

試みる者もいるほどです。


何が言いたいのかと申し上げますと、


"その写真を撮ろうと思った心が美しい"


っと、気付いたのです。

いえ、

気付かされたのです。


『あなた様』に上手く伝わったかどうかわかりませんが、

例えば『あなた様』が道端に咲く花を見かけた時、

素直に『綺麗だなぁ〜♪』っと、

写真に収めようと思ったその心、

その"綺麗と思える心"が誠の綺麗なのです。

もちろん綺麗の基準は人それぞれですけどね。


それはどんな物に対しても同じことだと言えます。


1階にあったあの変なおじさんの写真ですら、

それを撮ろうと思った"撮影者の気持ち"が、

"写真では見えない暖かい気持ち"が、

隠れているものなのです。

もしかしたらあの変なおじさんは

笑いを取ろうと狙ったのかも知れませんね。

自撮りでしたからね。


おじさんの写真を見た100人中99人の人が、


「誰やねんw」


「なんで出てきたしw」


「無視w無視w」


「ライジンの時はカッコ良かったけどこの写真はw」


っと、批判的な意見が大半でしょう、、、



ですが、


100人中、残りの1人が


「クスッ」


っと心の底から笑ったのなら、


その撮影者は「してやったり」となることでしょう。



……おじさんの写真で、

こんな風に熱く語れる自分にびっくりです。

SAN値チェックしときますね。



そう思うと、、、


写真1枚でもいろんなことが見えてくるのだと、

私はこの優勝作品から気付かされたのです。



私は涙が出て止まりませんでした。



つい今朝の出来事だったのに、


あの時の感動が蘇ったかのように、

心がざわついているのです。


自分自身では気付かなかったであろう私のあんなに喜んでいる顔。

本来なら私が撮るべきだった仲間達の満面の笑み。



それらすべてがこの一枚の写真に詰まっておりました。



そこには、



"私たちのかけがいのない青春の1ページ"




が、


たしかにあったのです。



『それはとても素敵な一枚でした』



番外編【想い出の〜〜


ーーー


「……٩(๑❛ᴗ❛๑)۶」


あれ?作者さん??


「……うーん٩(๑❛ᴗ❛๑)۶」



ど、どうされましたか?

ここでおしまいだと聞いておりましたが?

後はタイトルの後に"完"って付けるだけでしたよ?

"完"って。



「うーん……٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 アニメ版だけに公開するつもりだったけど、

 いいや、

 ぜんぶ載せちゃえっ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶」



え?


ーーー


優勝作品を確認した後、

会場を後にした男がいた。


会場を出てすぐに、

壁にもたれながら待っていた女の子が声を掛けた。




「ちゃんと優勝できましたか?ミスターXさん♡

 あはは♡

 それにしても、

 ミスターXって名前はどこから来たの?♡」



ザ・イモウトと呼んでも良いくらいの、

小柄で可愛いらしい感じの女の子、

七月(ななつき)このは』が、

からかうようにしてそう言った。



男はため息まじりで返事をした。



「私に聞かないでくださいよ……

 私の時にはもうすでに、

 この名前だったんですから、、、」



男は振り返っては、

懐かしむように会場を見上げた。


夕日が男の背中を照らし、

どこか寂しさを感じさせた。



「……悪いね、"過去の私"よ。

 優勝を獲って(撮って)しまって。

 しかしこれは、

 "決まっていたこと"なんでね。」

 


男はポツリとつぶやいた。



そう、


ミスターXの正体は、


遠い未来から来た

『たつかぜ』本人だったのだ。



どうやって未来から来たのか?


それは、、、


今よりだいぶ年月が過ぎた時の話です、


とある天才錬金術師と、

とある北の錬金術師が、

2人で〈魔道遊具〉を共同開発していた所、

差し入れを持ってきた『たつかぜ』が、

なぜかその試作品を試乗するハメになったのです。



ジェットコースター系、

いわゆる絶叫系が苦手な『たつかぜ』。

おまけに得体の知れない乗り物に乗るのが怖かった『たつかぜ』は、

時空魔法を使って、

"試作品を乗り終わったことにしよう"

と考えました。


……が、


試作品に乗って時空魔法を発動した瞬間!


時空がねじれ、

その乗り物はなんと!


過去や未来へと行き渡れる、

〈タイムマシン〉と化したのです。

そして遠い未来に飛ばされた『たつかぜ』は、

そこで運良く、

【神の使者】である『七月(ななつき)このは』と出会えたのです。

それから〜〜(以下略。


ーーー



未来から来た『たつかぜ』は会場に向かって

静かに言葉を残しました。



「ある意味写真は、

『その時間(トキ)を止めてくれる魔法』のようですね。

揺るぎない永遠の時間として、

切りとられたかのように景色や人物をそこに(とら)えてくれます。


写真を一目(ひとめ)見れば思い出すこともあれば、

じっくり見て思い出すこともあるでしょう。

まったく忘れているってことすらありえますね。」



ふっ……っと、


まるで誰かさんのように

不適な笑みを浮かべては、

続けて言葉を残しました。



「失敗や敗北から学ぶこともあります。

 その素敵な一枚のこと、

 いつまでも忘れないでくださいよ。

 "過去の私"。」


それは自分にも言い聞かせているようにも思えました。


そんな去りゆく未来の私を見送ることもなく、


現代の私はいつまでも一枚の写真を眺めておりました。



『それはとても素敵な一枚でした』



番外編【想い(メモリー)観察者(オブザーバー)】完


人間は忘れていく生き物だから

写真があると思い出したりしますよね。

それを残してくれる人に感謝ですね٩(๑❛ᴗ❛๑)


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