エピソード2 回想シーンは突然に
ーーー
ピンクの髪の女の子の順番がやって来た。
甘飴甘味「かんみはね、僧侶になりたいの♪」
無邪気な笑顔で
ニコニコと元気いっぱいにそう告げた。
検査をする男性はそれを聞き、
少し困った表情を浮かべた。
「は、はぁ……そうですか。
あなたの希望通りの職業になれるとは限りませんからね?(クイッ)
まぁ、ご存知かと思われますが、、、
この世界には『魔力』と『気力』、
この二つの性質の力があり、
どちらか1つしか扱うことができないのです。
まぁ、
中には両方扱える方もいますが……
それは稀です。
……職業が気になるようでしたら、
まずは先に職業適性の方から調べてさしあげましょう。こちらに手をかざしてみてください」
(クイッ)
そうメガネをクイッとあげながら、
男の先生は答えてみせた。
ちなみに私も検査を担当しているわ。
生徒たちからなる、
この長い行列を眺めながら、
壁に寄り掛かってはサボッ……
……休んでいたの。
男の先生は眼鏡をクイッと上げ、
入学式を終えた生徒たちの適性検査を順番に見てあげている。
そんな彼の名前はザナトス先生。
防御魔法が得意な先生よ。
なんでも弟さんがいて、
その弟さんってのがなんと!
2度目の世界の危機をもたらした【魔獣王】
その【魔獣王】を倒した『七人の英雄』の内の1人なんだとか……
しかもザナトス先生も途中まで英雄たちと、
一緒に旅をしていたとか……
弟さんが英雄だなんて、、、
私なら間違いなく自慢するわね。
そんなザナトス先生が
ピンクの髪の女の子の生徒の検査をしてあげている。
この女の子が回復魔法を扱うことができるかどうかを先に調べてあげているのだ。
気になる検査結果は……
「残念ながら、、、
あなたは回復魔法や補助魔法はいっさい使えませんね」(クイッ)
無情にもそう告げたザナトス先生。
ご自慢の眼鏡を二本の指でクイッと上げ、
ピンクの髪の女の子に、非情なまでに現実を突きつけたのだった。
ピンクの髪の女の子はそれを聞き、
肩をガックシと落としては、
見るからに残念がっていた。
……あらら、
ピンクの髪の女の子よ。残念だったわね。
「次は魔力の質と量を調べますか。」
ザナトス先生が言い終わるぐらいに、
私は壁に寄り掛かってタバコに火を付けようとしていたの、、、
その時だったわ。
ーーーゾクッ!!!
背筋に寒気が走った
それと同時にザナトス先生の驚きの声が聞こえてきた
「……な、なんだこの魔力は⁈
調べるまで探知できなかっただと⁈」
目の前でピンクの髪の女の子の魔力検査をしてあげているザナトス先生が、
ご自慢の眼鏡が下にズレるほど、心底驚いていた。
この女の子の隠された潜在能力が、
魔力検査によって露見したのだ。
魔力検査では対象者を調べる際に、
潜在的なものも含め、
強引に魔力の質や量を引きずり出して調べるのよ。
調べるだけだから魔力切れや魔力の暴走が起こることはないわ。
あなた様も一度やってみるといいかもね。
先ほどの悪寒が気になり、私も覗いてみることにした。
「う、嘘⁈ なんなのこの数値⁈⁈⁈」
私は咥えていたタバコを床に落とすほど、
その圧倒的な魔力の質と量に驚いていたわ。
なんと!なんと!
ピンクの髪の女の子の魔力適性の数値が、
『歴代最高得点』
を、
叩き出していたからなの。
これは先ほど紹介してはチラッと出てきた『英雄達』をも凌ぐ、
物凄いほどの魔力の質と量なのよ!
いえ、
例えるなら、、、
このピンクの髪の女の子の魔力の量や質は、
遥か昔に、この世界を
《1度目の世界の危機》に追いやったと伝えられている【魔王の域】なのかもしれないわ……
ざわ ざわ ざわ
ざわ ざわ ざわ
当然、この検査結果は学園中に伝わったわ。
先生を含む、誰もが驚き大騒ぎし始めたの。
ーーー
はい。回想シーン終わり。
ちなみに私はサボってたんじゃなく、
休憩よ休憩。
そんなこともあり、
ピンクの髪の女の子は、
その恐ろしい魔力の持ち主として、
一躍有名人としてこの学園で名を轟かせたの。
そしてこの子を中心に、
これからギルド学園でさまざまな『事件』が巻き起こることになるなんて……
はぁ……もうここで終わりでいいわよね?
作者さんは1話完結タイプの作品として意識してるんでしょ?
だったらさぁ、
この1話で作品自体が終わりってことで……
(あっダメ?
やっぱりダメなのね。はぁ……)
私は作者さんに抗議しながらも、
仕方なくギルド学園編をナレーションするのだった。
そうなの、
今回は私がナレーターなのよ、、、
……代わって欲しい人がいたらぜひ、
このギルド学園までお越しください!
てゆーか今すぐ来てっ!!