エピソード1 個性的な生徒たち
ーーボッ!
私は指先に魔力を込め、タバコに火をつけた。
職員室にある喫煙ブースにドカッと座り、
生徒たちのプロフィールファイルへと目を向け、
それを静かに開いた……
「ふぅー……」トントン
灰皿に灰を落とし、
今年から受け持つ生徒たちの顔写真と、
そこに記載されている細かな詳細を軽く流すように閲覧した。
「しかしまぁ……なんと個性的な生徒たちだこと」
フゥーっとタバコの煙を吐き出しては、
プロフィールリストに載っている様々な生徒たちを受け持つことになり、
正直、面倒だと感じていた。
貴族の者もいれば孤児院の出の者、
小さな島国から来た者、
ここの卒業証書が目当ての冒険者達
……ほんっと様々ね、、、
ギルド学園は東の大陸の王都内に建てられている。
わざわざ他の大陸から入寮してくる子もいるほど、
とても有名で人気の学園なの。
とゆーのも、
この学園を卒業し、
卒業証書を入手できれば、
自分の階級よりワンランク上の依頼を受けられるようになるからなのよ。
なぜそれほどまでの権限がこのギルド学園にあるのかと言うと、、、
実はこの学園を作った学園長は、
数あるギルドの中のトップ、
〈ギルド長〉
でもあり、
〈賢者〉の職業を得ている「モフ郎」って
お名前のおじいちゃんなの。
……間違っても怒らせないようにね?
私のお給料がまた減っちゃうから、、、
「ふぅー……」
吸い終わったタバコを、
灰皿にグリグリと押し潰し、
私はこの"シュッとした体型"で動き出し、
職員室を後にした。
それははまるで一流モデルが、ランウェイで歩いているかのような、
それはそれはもう優雅で気品あふれる、鮮やかな歩き方だった。
世界中の男達が私の歩き方に虜になるかのようだった
今すぐにでも求婚を迫られそうな、
そんな魅力あふれっーーー
じぃー(๑❛ᴗ❛๑)
なっ、なによ、作者さん。
何か言いたげね?
「しつこいです」ってぇ⁈
はぃはぃ!!
わかりましたっ!わかりましたよっ!
普通にナレーションをすればいいんでしょ?
まったく……
「……さてと、教室に向かおうかしら」
私は自分が受け持つ教室へと普通に歩き出した。
普通にね。
教室の目の前に着き、私はドアを開けた。
すると、、、
中からなにやら、生徒同士で揉め事が起こっている騒々しさだった。
「てめーっ!!ふざけんなっっ!!
教室でいきなり魔法をぶっ放つやつがいるかっ!」
赤い髪の男の子の怒鳴り声が教室に響いた
「はぁ?
あんたが遅刻ギリギリでこの教室に入って来たんじゃない。
かんみが魔法で回避させなかったら、
今頃ぶつかってたわよ!
逆にお礼を言ってほしいわっ!」
ピンクの髪の色をした可愛いらしい女の子が
負けじと元気いっぱいに反論している
「だからってなぁ〜おまえ、、、
ふつぅ教室を水浸しにするかぁ?
水の魔法を使ってクッションにしたのは褒めてやるけど、
少しは加減をしろよ!加減をッ!!」
赤い髪の男子生徒は言い終わると、
呆れるようにタメ息をついた。
「褒められた♪」
ピンクの髪の女の子は自身の魔法を褒められたことしか耳に入っておらず、
ニコニコと上機嫌になっていた。
「……」
(そういえばプロフィールリストに、
この女の子は『やべー奴』として載ってたわね、、、
てか、
赤い髪の男子生徒が言ったように、
私が受け持つ教室だけ、
床が水浸しなんですけどぉぉぉ!!
このエピソードは生徒たちの自己紹介をしたかったんですけどぉぉぉ!!!
はぁ、、、
状況から推測すると、、、
男の子と女の子がぶつかりそうになり、
女の子の生徒がとっさに魔法で水の球体を作り出し、
それを使って男の子との衝突を防いだのね。
だけど魔法で作り出した水の球体が破裂してしまい、
この教室の床が水浸しになってしまったと……
つまりこの女の子は、
風の補助魔法の〈エアークッション〉を使わず、
水の攻撃魔法の〈ウォーターボール〉を使って防いだってことがわかったわね。
……水の魔法が得意なのかしら?
まって、、、たしかこの女の子って、、、
いや、この女の子のことは後で紹介するとしましょう。
とりあえず私だけでも、
防水魔法をかけてから教室に入ることにするわ。
「落ちつけお前ら。
私はこのクラスの担任のなゆ姫だ。
えーっとぉ、たしかぁ……
赤い髪のキミがぁ……
『アカベコ』で、
そしてピンクの髪の女の子がぁ……
『甘飴甘味』だったわね。
そして教室にいる生徒諸君!
さっそくだが、
他の先生に見つかる前に掃除よ。
みんなで掃除よ。」
巻き込まれた他の生徒たちからはブーイングの嵐だった。
……気持ちはわかるわよ。
他の子は関係ないものね。
巻き込まれて服や靴が濡れた生徒たちだっているものね。
私はそんな生徒たちを思いやりながらも、
笑顔で優しく丁寧に口を開いた。
「うるさーいっ!!!
文句を言うな!文句を!
さっさと掃除しなさいっ!
連帯責任なんだからね?
あっ、
さっきの2人は後で職員室まで来るように」
……ゴホンッ、優しく丁寧ではなかったかもね。
はぁ、、、
今日は生徒たちの自己紹介をしていく予定だったのに、
全員で
この水浸しの教室を掃除するはめになるなんて……
初日でこれなんだから、、、
先が思いやられるわね……
ちなみに、
この教室を水浸しにした女の子の生徒の名前は、
さっきチラッと紹介したけど、
『甘飴甘味』と言う名前よ。
覚えておいてね。
ピンクの髪をした可愛いらしい女の子よ。
おまけに声も可愛い。
この子はとても印象に残っているの、、、
なぜなら、、、
そう、あれは学園の入学式を終えてすぐのことよ……
この学園に入学した生徒全員はね、
まずは適性検査と呼ばれる検査をするのよ。
適性検査を簡単に説明すると、
自分の向いている職業がすぐにわかる検査のことよ。
そして次回は回想シーンに入るわ。
もちろんページ数の都合よ。