エピソード11危険な野外訓練②
「……いたよ?あそこ」ボソッ
ボソッとした小さな喋り方だった。
大きめの岩の上で体育座りをしながら
本を片手で持って読み
もう片方の手は
ターゲットに向けて指差していた。
そんな女の子の特徴は、
身体が小さく
髪が黄色で緑色の眼鏡をしている
ボソッとした喋り方が特徴の『十六夜』だ。
見た目がヤンキーな男の子は
十六夜が指差した方に目を向け
自身の武器の戦闘用フライパンを
頭の"四次元リーゼント"から取り出しては
ターゲットのモンスター目掛けて振りかざした。
……が、
ターゲットのモンスターと目が合った。
つぶらな瞳だった。
ヤンキーの男の子は一瞬、躊躇い
狙いを大きく外してしまったのだ。
ーースカッ。
当然、攻撃はモンスターには当たらなかった。
「……はぁ。
〈マッチョラビット〉を
仕留められないなんて……
きみには前衛は向いてないと思うよ?」(ボソッ)
十六夜が男の子に対して呆れていた。
見事に空振りを見せたヤンキーの男の子
名前は
『悪田わるぞう』
料理人見習いのはずなのに前衛をしている。
その理由は、
魔法使いの甘飴甘味が
授業の実技演習で
前衛で戦っている姿を見たからだ。
自分も前衛で戦おうと意識しているのだ。
「ふっ……あと1匹だな」
音も無く現れたのは
青い髪が特徴の『シャウラ』だった。
手には先ほどわるぞうが逃したモンスター
〈マッチョラビット〉を見事に仕留めていた。
片手で〈マッチョラビット〉の耳を掴みながら
不適な笑みをこぼしていた。
……いつのまに仕留めたの?
わるぞう「オレっちワルだからよぉ。
そいつがもうちょっと太ってから
丸焼きにする予定だったんだぜ?
決して目が合ったからじゃないぜ?」
……目が合って可愛さのあまり逃したのね。
シャウラ「おぃおぃ、お前らなぁー
俺は補助のはずだろ?
前衛と後衛だけで
ちゃんと戦闘を組み立てろよなぁ」
シャウラは呆れながら続けてこう言った。
「わるぞうは動物が好きなのかぁ?
同情して狩りができないようなら
前衛に立つなよ。
十六夜も狩りに集中しろよ。
〈精霊使い〉なのに、
魔法で呼んだ精霊をガン無視して
本を読む続けるやついるかぁ?
……それとお前もだ!そこっ!」ーーシュッ!!
シャウラが自身の投げナイフをシュッと飛ばした。
ーーガシャン!!
少し離れていた男の子の
手に持っていた"魔道カメラ"が、
シャウラの投げナイフによって破壊された。
「あぁぁぁ!なんてことをっ!!」
魔道カメラを壊され嘆いているのは
思い出の観察者の『たつかぜ』だった。
しかし、
たつかぜはすぐさま魔法を唱えた。
すると、
たつかぜの手には
先ほど壊されたはずの魔道カメラが、
ちゃんと握りしめられていたのだ。
"時間を少し戻す魔法"を使ったのだろう。
そう、
たつかぜは時空魔術師なのだ。
「ふぅー
戻った 戻った。
さぁ、盗撮の、、、じゃなかった
撮影の続きだ!♪」
たつかぜは再び魔道カメラを自身の顔に近づけ
覗き込んでいた。
近くにいる甘飴甘味のパーティーを撮影しているようだ。
シャウラ「……ったく、
仲間なんて足手まといなんだよなぁ」
そんなことを言いながらも、
パーティーで依頼を達成する為に
みんなの足並みに合わせているシャウラ。
パーティーに合わせて動くこともまた、
自身の経験として生きるのだろうと
シャウラは学んでいるのだ。
もう1匹の〈マッチョラビット〉を探す為に
動き出そうとした。
シャウラ「ん?お前は、、、赤髪」
アカベコ「ん?お前は、、、男女」
ばったり出くわした二つのパーティー。
そこへ、、、
たつかぜ「ちょっ、ちょっとみなさん?
あっあれを見てくれないかな。」
魔道カメラのファインダー越しに
何かを見つけた たつかぜ。
近くにいる生徒たち みんなに呼びかけた。
みんなは たつかぜの視線の先を見つめた。
ドドドドドドッ!!!
土鳴らしを響かせながら、
〈巨大な桜ポヨスライム〉が
甘飴甘味のいる美少女パーティーを追いまわしていた。
『キャー!!!』ーーパシャ!パシャ!パシャ!
逃げまとう美少女パーティーの悲鳴と共に、
たつかぜの魔道カメラのシャッター音も響き渡った。
アカベコ「……なんか嫌な予感がするんだが?」
シャウラ「……あぁ、オレもだ」
この続きは③へと繋がるわよ。




