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ゲーム開始

 これもフラグというものなのか?

 主人公カルが戦闘の開始の意思を見せた途端に、俺の視界はゲームにおける行動選択画面になってしまったのである。

 風景はそのままだ。

 違うのはアクリルボードで出来た円柱に俺が閉じ込められている錯覚に陥っており、そのアクリルボードには文字が浮かび上がって見せつけられている、という状態なのだ。


 目の前に文字が現れるなんてと、驚くしかないだろう?



 魔法を使用しますか?

 はい  いいえ



 俺は乾いた笑いを飲み込むと、はいを選択した。


 頭がハイと答えると、「はい」という文字が金色に輝き、そして消えるとまた別の文字が俺の目の前に浮かんだ。



 アクア ヴィテ(個人回復魔法)     レベル1

 テラ メエリタ(全体回復)       レベル1

 レメディウム(状態異常解除魔法)    レベル1

 ポエンティアアゴー(身体強化魔法)   レベル1

 ラディウス(光系攻撃魔法)       レベル1

 カリブンクルス(炎系攻撃魔法)     レベル1



 どれもレベル1なことが笑えるが、攻撃魔法が二つもあることに驚いていた。

 聖女ヴィヴにはそんな魔法が無かったはずだったからだ。


「ヴィヴ!」


 待ちきれないのかカルが俺をせっついた。


「ええ。すぐに。」


 俺は防御力と攻撃力を増す事の出来る補助魔法、ポエンティアアゴーを取りあえず選択した。

 するとスカーンと俺を囲むアクリルボードの類は消えた。

 だが、俺が見えざる者の手によって拘束状態にあるのは変わりはない。

 俺の口が今までのヴィヴが学びも知りもしなかった呪文を勝手に詠唱し始めているのである。

 詠唱が終わるやカルだけでなく、ハルバートとイーヴまでも仄かに金色の輝きを身に纏った。


「ありがとう!ヴィヴ!俺は君を絶対に守るから信じていて!」


 カルは少年めいた笑い声をあげると馬を嘶かせ、そして、俺を残したまま敵陣兵へと切り込んでいった。


「ハハハハ、誰があの子を育てたんだろうねぇ。戦闘馬鹿だあ。」


 イーヴは眠そうな笑い声をあげると馬にひょいと飛び乗り、カルの後に続いて行ってしまった。

 ハルバートは無言で、だったが、彼が走り去る時に彼の低い声で何かの詠唱が聞こえたので、彼は恐るべき魔法を使うのかもしれない。


 僧兵だったはずの彼だが、彼が神様に帰依する事など無い。


 彼は太陽から自分を守るための闇の世界の蝙蝠だって呼び出せるという、黒魔法を習得した魔法使いでもあるのである。

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