スキルで何ができるか確認してみるよ!
ようやく、スキルの確認まで来ました。
朝になって、宿の受付に降りていくと、広間で食事が出されていた。
食事のメニューは、温かいパンと塩味のスープのみだ、パンはおそらくは元の世界の小麦のようなもので出来ているのだろう、温かいしそれなりに美味しい、しかしスープは塩味のみで具もキャベツとタマネギのような野菜が入っているのみだ。そりゃ、日本での食事と比べると美味しいとは言えないが、食べられるだけマシなんだから、我慢、我慢。
食事を取り、部屋に戻って、さあ、スキルの内容確認を再開する。
まずは、すでに利用できる『ねぇ、グルグル』から確認しよう。部屋の近くに人気がないことを確認して、確認開始だ。
「ねぇ、グルグル。マールデン王国について教えて?」と言ってみる。
するとスキルが『マールデン王国は、アナストリア大陸の西端に存在する人類国家です。人口は、9,800万人。首都はマルスで、第一次産業が盛ん。前の王を追放したアルフォンソ3世が治世しており、魔族領、神聖クリストフ教皇公国と戦争状態にあります。』と声がした。
これはすごいな。知りたいことが分かるのかは、異世界で生き抜くのにもってこいのスキルだ。どこまで分かるのか試してみよう。
「ねぇ、グルグル。アルフォンソ3世の秘密を教えて。」ふふ、どうなるかな?
スキルから、
『アルフォンソ3世は、宮廷魔術士のアイーザを第三夫人に迎えたいと考えています。これ以上の秘密を獲得する権限は、現在のスキルレベルでは実施不能です。』と回答があった。
なるほどね、王が美人の宮廷魔術士に熱をあげてるなんて、ありがちな展開過ぎて、秘密とも言えなさそうなものだが、個人的な秘密まで分かるんだね、現在のスキルレベルでは秘密の取得は難しいけど、スキルレベルを上げればもっと個人的な秘密も分かるってことか、すごいチートスキルだな!
スキルレベルを上げていくと恐ろしいことになりそうだ、この方法は使えるが、個人的な秘密の取得を、あまりにも乱用すると、スキルの存在がバレる原因にもなりかねないな。使用の乱発は控えよう。
では、お次は、「ねぇ、グルグル。マールデン王国の〈銀の琴亭〉の受付の女性の名前を教えて。」『ルルです。』ふ~ん、ルルさんって言うのか、名前は確実に分かるってことね。なにかに使えるかもしれないな。
では、「ねぇ、グルグル。ルルさんが、いま何を考えているか教えて。」
『申し訳ありません。分かりません。』
超能力的なテレパシーとか、読心術のような使い方は、できないのか。
お次は、異世界といえばアレでしょ、アレ
「ねぇ、グルグル。魔法の使い方を教えて。」
『3つあります。スクロールや魔導書を利用して、魔法を自分にシンクロナイズさせたのちに、呪文を唱える方法、使い捨てのマジックアイテムを利用する方法、ルーン石と魔石が埋め込まれた剣・杖などを利用して、魔法を発動させる方法です。』
おお!魔法の使い方も学習できそうだな!
使い方は、覚えておこう。なにせ、魔法はロマンだ、異世界召喚されて、自分に何の能力も無いと言われたときはみじめだったが、今は、良くわからないが強力そうなスキルもあるし、魔力も高いことが分かっている、あとはどうやって魔法の使い方を実践できるかだ。スクロールやマジックアイテムね、探してみよう。
では、次、
頼むから答えてくれ、教えてくれグルグルさん!
「ねぇ、グルグル。私のスキルの〈シュレディンガーのねこ〉について教えて。」
『シュレデンガーのねこは、自分の存在を隠すと念じることで、他者から自分の存在が認識されなくなるスキルです。』
え?
キターーーーーーー!!!
隠密スキルじゃん、これって。いろいろな使い方が想定されるけど、どのゲームでもだいたい強力スキルとして、必要不可欠なものだよな。どこかで、隠密具合をテストしてみよう。
次は、他のスキルについて確認しないと。
「ねぇ、グルグル。〈勉強家〉について教えて。」
『勉強家は、この世界に存在するスキルやアーツの仕組みを、勉強家スキル保有者が学習し、理解することによって、自分のスキルとして取り込むことができるスキルです。』
おお!これも定番のスキル追加取得ができるスキルか、でも、敵を倒したりとか、食べたりとかでは貰えないんだね。仕組みを理解か、、、正直、自信がないな。
まぁ、なんとかなるだろう、オレを召喚したアルフォンソ王に、強力なステータスとスキルが、実はありました!と暴露して、保護してもらって、スキルの仕組みを教えてもらう手もあるしな。
でも、マールデン王国って、魔族とか神聖なんとかって国と戦争中なんだよな。通常の現代日本人の感覚だと、中世の戦争に行って、剣で人をバッサリとかって、グロだよなぁ、オレはグロは苦手だよ。
魔物とか動物なら倒すけど、戦争は怖いね、やっぱり。
あと、アルフォンソ王って、お抱え魔術士のアイーザさんに良からぬ感情を抱いていたり、なんだか俗物っぽいし、苦手だな。
30日に一度、金貨10枚をくれるというのも、城に呼び出して、あとでスキルの発現が無いか確認するため、とか、異世界人を監視・操作しやすくするためって狙いも明らかにあるしねぇ。
そう考えると、マールデン王国に残るのは、危険とも言えるな。
この状態で、鑑定玉を使われたら、間違いなく強制的に戦争に駆り出されて、スプラッター映画のような日々を送る羽目になるだろう。
剣と魔法の世界なら、いずれは避けられない運命としても、なるべくなら異世界では、のんびりとスローライフを満喫したいねぇ。
日本では社畜と呼ばれるカテゴリに属していたからな。人権もなさそうな異世界で、戦争に参加すれば、社畜の再現まっしぐらだ、何としても避けなければ。
となると、まずは自分で生活費を稼いで、生活の基盤を安定させることが必要だな。
う~ん、ひょっとしたら、スキルを使って商売もできるかもしれないな。
ちょっとしたアイディアがあるので、グルグルさんに聞いてみて、試してみよう。