おれだけ勇者じゃない?
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「エッ!?」オレは青くなって、アイーザさんを見た。
アイーザさんは冷たい目で、「申し訳ないですが、その能力値では戦いに行くのは無理です。召喚者でこんな能力値は前例がありません、お名前は、ヨへさんでしたか?」と、もう勇者とも言ってくれなくなっていた。
太郎も気まずそうに、「まあ、アイーザに突っかかるなよ、戦闘しないで街に居たら、なんとかなるんじゃないかな、、、」と気まずそうに呟いている。
これは非常にマズい展開だ、オレはどうなるんだ?勇者として召喚されたのに、一般人並みの能力ってなんだ!?太郎の巻き添えで近くに居たからたまたま巻き込まれただけってことか?
そういえば、太郎は身長180センチで、ジャニーズ系の顔をしている、高校生達も、美男美女と言っていい顔立ちだ、それに対してオレは、ブサイクとは言われたことないが、バレンタインのチョコも義理チョコしか貰わないし、実は、清い身のままだ、恥ずかしくて会社では適当に誤魔化していたがな、ハハ、、、
そうだよな、勇者なんてリア充のやることに決まってるよな。
アイーザさんは、「まだ戦闘系や魔法系以外のスキルはヨへさんにあるかも分かりませんし、努力次第では、戦闘系や魔法系のスキル取得も可能性はありますから。」と慰めてくれたが、やはり太郎が伝説の勇者並みの能力値なので気になって仕方がない様子だ。
オレとの会話をそこそこに、太郎を王に謁見させたくて、しびれを切らせたアイーザさんが、「では、勇者様方、マールデン王に謁見してください。」と言い、みんなで王の間に通された。
王の間は、荘厳な大理石風の石造りの部屋で、縦に長く、深紅の敷物が敷かれており、その先には、数段の階段があり、その先に大きくいかにもな王の椅子が置かれている。
王は年の頃50歳程度に見えるが、筋骨隆々とした体躯は、歴戦の勇士であろうことを物語っている。
「貴殿たちが、召喚勇者殿か、余はアルフォンソ3世、マールデン王国を統べるものである。今回、貴殿たちを召喚したことには言い訳はせぬ。だが、わがマールデン王国は、魔族の侵攻を受け、民が苦しんでおる。魔族を追い返し、魔族を打ち滅ぼすのに、力を貸してほしい。褒美は望みのままのものを取らすぞ。では、名を聞こうか。」と、王が重々しく口を開いた。
タロウがまず初めに名を名乗り、高校生が、ユウキ、サクラ、ユカリ、と名乗っていく。高校生たちも、ジャニーズ系とアイドル系の顔立ちだ、まったく3次元を地で行っているのはおれだけなのか…
次は、俺が名乗る番だな、と思っていると、アイーザさんが、「以上が今回の勇者様です。こちらのヨヘさんは、勇者様方の召喚に巻き込まれた普通の方のようです。能力値も70程度で、戦闘用のスキルもありません。」と、王に説明しているぞ。
王が、憐れむような目でオレを見て、
「今回の召喚に巻き込まれたこと、誠にすまなく思う、ヨヘ殿。王国で、貴殿の生活は保障する故、ゆっくりと滞在するがいい。」と声を掛けられた。
他の四人には、
「勇者殿たち、貴殿らには、わが国で考えられる最高の装備を与えよう、そのうえで、戦闘訓練を受けてもらい、自分たちの力を確かめたうえで、魔族征伐に参加するか決めていただければよい。」
と声を掛けている。
これって、異世界に来たのに、おれだけスキル無し、勇者じゃないってことか、絶望だな、、、
「太郎、オレはどうすれば?」太郎に聞いたが、
太郎には「悪い、スキルの無いお前と違って、オレは、能力も高くて、伝説級の勇者だって言われてるんだぜ!これは、魔族討伐やって、この異世界を楽しむんだ!オレはやってやるぜ!
お前も働かなくていいんだから、いいだろ。いい身分じゃないか!」と言われてしまった。
ああ、会社の同期なんか本当に薄情だな。
しかも、ネットも無い世界でニートって、相当ヒマなんじゃないか?それ、、、
それにしても、無職か、オレだけ勇者じゃないなんて、傷つくな〜