迫り来る悪意の足音 2
訓練でレベルも上がり、少しはマシになってきたとはいえ、ゴドリックのSPDのステータスは低い。
だが、ミラフィアの住処を知っているのはゴドリックだけだ。
(このままだと時間が掛かり過ぎるな)
そう判断した俺は即座に『形状操作』を発動させて自身の形を変容させる。
所々に金色がちりばめられた漆黒の金属質な輝きを魅せる巨大馬。
頭に5本の角、尾は馬のものではなく不死鳥を彷彿させる尾羽。
魔○馬雷○だ。
『魔導○なら轟○じゃないのかよ!』と突っ込まれるかもだが、カラーリング的にこっちの方が近いからな。
あとあのキンキラキンは非常に目立って目立って仕方ないので却下せざるを得なかった。
「ゴドリック、乗れ!」
俺が○剛の姿でゴドリックの横に並んでそう告げると、ゴドリックは俺の姿に一瞬驚いたようではあったが、気にしている場合では無いと判断したのだろう。
「かたじけない!」
と言って俺の背に飛び乗った。
俺のステータスでもゴドリックの4倍以上の速度は出せる。
これで時間を大分短縮できる筈だ。
今まで見せていなかった俺の隠していた能力の1つを曝した訳だが、俺は気にしていない。
もしそれが原因で間に合わなかったら俺は確実に深い後悔を味わう事になる。
そして、そうなってしまえばゴドリックは非常に傷付いてしまうだろう。
それは嫌だ。
だから、俺は俺に出来る全力を尽くす。
「あ、私も乗せて貰うよ!」
ティアリエもゴドリックの後ろに飛び乗った。
『お前は俺の2倍以上速いだろ!』と思いはしたが、ゴドリックしか道が分からない以上どちらにせよ到着時間は変わらない。
ティアリエが乗ろうが走ろうが同じ事だ。
ティアリエのスタミナの節約を考えればこちらの方が良いだろう。
そう判断した俺は
「飛ばすぞ!振り落とされるなよ!」
と注意を飛ばすと同時に全速力で駆けた。
ダダダッ……!!
森の中を疾駆する蹄の音がリズミカルに響く。
そして、障害物が少ない所では『風竜玉』に魔力を流し込んで風を吹き出す事でスラスターとして使用してステータス以上の速度で駆ける。
「ゴドリック!川が見えたが越えるのか!?」
エーゼルから『川を越えるな』とは言われているので確認を取る。
「緊急事態故に押し通る!」
ま、聞くまでも事だよな。
ミラフィアの身の安全が掛かっているのだ。
俺も全く以て同意見だ。
「了解!!向こう岸まで跳ぶぞ!舌噛むから口は閉じてろよ!」
その答えを予想していた俺は、速度を落とすことなく注意を飛ばして……
ダンッ!!!
力強い跳躍と共にスラスターを開放して『跳ぶ』というより、『飛ぶ』といった風情で10m以上はある幅の川を越えた。
「ゴドリック、引き続き案内を頼む!」
「了解した!」
そのまま川を越えた先の森の中へと突入する。
「ここから先はエルフの隠れ里の警戒領域だ!いつどこから矢が飛んでくるか分からないから注意してくれ!」
「「了解!!」」
ゴドリックの忠告に応えつつ、俺とティアリエは警戒レベルを引き上げた。
そうして、森の中を駆け抜ける一陣の風の如く、更に速度を上げて突き進んだ。




