勉強と探索と鍛錬の日々 12
しばらく、仕事の関係で福岡に行くので更新できないかもしれません。
俺が夕食の下準備をしているとティアリエが台所に来た。
「ゴドリックの方は大丈夫か?」
「うん。あれだけボコボコ殴られてた割には大した事は無かったよ」
「そりゃ当然だろ。ゴドリックの半分のステータスで相手してたんだからな。思いっきりぶん殴ったところで大したダメージは与えられないさ。更に言えば急所は外していたんだからな」
その代わり終始かなり本気で殴ってたけどな。
「それにしたって随分と過激にやったもんだよ。ゴドリック君のHPの残り4割ぐらいだったよ」
「一撃一撃のダメージが小さいとは言っても200~300発ぐらいは叩き込んだからなぁ……」
塵も積もれば何とやらだな。
「オークは種族的に自然回復力が高いから滅多に死にはしないとはいえ、彼の心が折れるとは思わなかったのかい?」
「それに関しては全く心配してなかったな。ゴドリックは大事なモノは全部持ってた」
「大事なモノ?」
「ああ。やり遂げようとする意志。恐怖に立ち向かう覚悟。辛苦に耐える根性。俺を信じる愚直さ。心に深く刻まれた後悔。そして、何よりも大きいのは、ゴドリックには何に変えても守りたいと思っている相手が居るという事だ」
ゴドリックは誠実で優しい男だ。
そして、純朴で単純な男でもある。
人によっては甘いだけと取られるかもしれないが、俺はそんなゴドリックの在り方に好感を抱いていた。
「あの手の性格のヤツは、己が守ると決めた相手が居る限り簡単に折れたりしない」
俺の前世における初恋の女性がそんな感じだったから、良く知っている。
あの女性も辛く厳しい困難な道を進むと決めた時、ゴドリックと同じ覚悟を決めた強い眼をしていた。
「そんでもって自分の痛みには無頓着な所があるから、無茶し過ぎないようにという点だけはかなり厳重に注意しないといけないからこっちも精神削られるんだけどな。今は軽めだから加減も楽だが、これから先はゴドリックの成長に合わせて俺のステータスも上げていくし、卑怯な手段も解禁していくしなぁ……先が思いやられるぜ」
まあ、それまでにはまだ時間が掛かるだろうから今は深く気にする必要は無いんだが、いずれ直面する問題だから考えておいた方が良いのは間違いない。
「話は変わるんだけど、目標としてはどのぐらいを目指しているんだい?」
「そうだな。あらゆる手段を解禁した状態且つ、ゴドリックのステータスの2倍程度の状態の俺を相手に出来るぐらいかな」
「それ、かなり難しいんじゃない?」
「当たり前だろ。簡単だったら目標にする意味が無い。だが、まあ状況によっては時間が無いかもしれないからな。最低でも自分と同じステータスの状態の俺とやり合える程度には鍛えておきたいな」
「それでも十分厳しい条件だと思うよ」
「まあな。でもゴドリックなら必ずやり遂げるだろうさ。勿論、簡単ではないだろうが」
地道を積み重ねてどれだけ時間が掛かるか分からない。
だが、俺は彼が決して投げ出さずに目標とした領域に届くだろうと信じている。
「当面の目標は基礎をしっかりと作り上げる事だな。それに伴ってゴドリックに合うスタイルを見出さないとな」
多分だが、ゴドリックは俺と同じスタイルは向かないと思う。
どちらかと言うと、かつての俺の幼馴染のような正道を行くスタイルが性格的に向いてると感じているが、実際色々やらせてみて本人に合うスタイルを探ってみないと分からないところだ。
「戦闘スキルに頼らない技術的な強さってのはそういう経験の積み重ねでしか得られないものだからな。1歩1歩段階を踏んで焦らずにやっていくしかないな」
時間がなかろうと疎かにしてはならないものもある。
特に基礎は大事にしなければならないものだ。
「そうだね。じゃあ、シュラ君も言語スキルに頼らない本物の言語学を学んでみないかい?」
「それだけは断固として断る!!」
「断固!!?」
「ふ、自慢にならないが俺は言語に関しては大の苦手分野だ!元々の故郷の言葉も正しいものはまともに扱えやしないしな!」
「ホント、自慢にならないね!?」
まあ、日本語は色んな意味で複雑すぎるから俺だけに限った話でも無いんだがな!
本当の意味で正しくまともに使えるヤツなんてのはそれこそ全国民の1割も満たないのではなかろうか?
方言とか入ると冗談抜きで複雑怪奇な魔境と化す。
「言葉なんてのは話が通じて字が読めればそれで良い!俺の頭でそれをやろうとしたら、それこそ何年あっても足らんわ!」
それはまごうことなき俺の本音であった。




