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鈍痛 2

ゴドリックが痛みに呻いていると、


「そら、休んでる暇は無いぞ」


ブオン!!


唸りを上げてシュラの杖が横合いから振るわれる。


「くッ……」


薙ぎ払いの動作は突きよりもモーションが大きく軌道も見え易い。


ゴドリックは痛みを無視しつつ自らの側面……


右側の方に杖を立てるようにして防御の構えを取った。


(間に合ったこの攻撃は防げる!)


そう思い杖に来るであろう衝撃に備えたのだが……


カッ……


ゴドリックの杖に来たのは予想外なほどに軽い振動。


そして……


バシン!!


「かはッ!!?」


嘘のようにシュラの振るう杖がゴドリックの構えた杖を素通りして、横っ腹を強かに打ち付けた。


ゴドリックにはそうとしか見えなかった。


「甘い。今の攻撃を防御するつもりなら1歩前に踏み込まないとな」


「グ……どうなっている?」


「そこは見て考えろ」


(流石にそこまで甘くはないか……)


実戦において敵に聞いて教えてくれる道理はない。


集落において職人の技も見て覚えるのが当たり前であった。


「……と師範なら言うんだろうが、流石にそれは酷だし、種明かしをしてやるか」


「良いのか?」


「それは勿論。俺は基本的に理屈も対処も教えるつもりだ。知ったからと言って簡単に対処できるかと言われれば、そこは完全に別問題だとしか言い様がないからな」


それもまた道理であった。


木材を真円に加工するのですら、教えられたからと言って一発で出来るものではない。


何度も挑戦と失敗を繰り返して習得するものなのだ。


「ゴドリック、さっきの防御と同じ構えをしてみてくれ。解説付きで再現するから」


「分かった」


シュラの言葉に従い、ゴドリックは先程と同じ防御体勢を取る。


「横薙ぎの攻撃は突きに比べると軌道は読み易いし、モーションも大きいから対処し易い。それは間違いじゃない。だけどな、今俺がやったみたいに横に踏み込みつつ、手首の返しを遅らせてやれば……」


ゴドリックにハッキリ見える様にゆっくりと同じ軌道で杖を振るシュラ。


先程は迫り来る杖に意識が向いていて気が付かなかったが、シュラはゴドリックから見て左側に踏み込んでいた。


その踏み込みで打点をズラしたのだ。


しかも、意図的に手首の返しを遅らせることでシュラの杖の先端はゴドリックの杖に浅い角度で引っ掛かる形で接触する。


(当たりの衝撃が軽かったのはこういう事だったのか)


ゆっくりと再現を見て納得するゴドリック。


そして、シュラがそのまま腰を捻れば、先端が引っ掛かったシュラの杖は押し込みによって開放されてバッと勢い良くゴドリックの杖から解き放たれていた。


要はゴドリックの杖を使って、デコピンの溜めの原理を利用した攻撃を繰り出していた訳である。


「こうやってゴドリックの防御をすり抜けて攻撃を加えたという訳だ。これを防ぐならさっきも言ったが、前に出て俺の杖の根元近くで抑え込まないとな」


「さて、解説も終わったところで再開と行こうか」


結局、その日は反撃どころか碌に防御もできないまま、成すがままにゴドリックは撃たれ続けるだけなのであった。

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