勉強と探索と鍛錬の日々 10
結局、その後エーゼル少年はミラフィアを連れて行き、俺達はそれを見送った後に森へと……
昨日とは違うエリアの素材集めへと向かった。
今回向かった先は茸系の素材が豊富で、ゴドリックの家に戻った時にはホクホク顔のティアリエがいた。
「ゴドリック君!君が案内しようと思っている場所はあと何か所ぐらいあるんだい!?」
色んな茸を集めたティアリエは興奮気味にゴドリックに聞く。
「15箇所といった所だ。この森はエルフの住むエリアを除いても尚広大だ。その上ミラの話によればエリア毎に違った魔力の偏りが存在するらしく様々な環境が存在する」
「つまり、それだけに色々な魔物や植物が存在するという訳だね!?」
「うむ。その通りだ。広過ぎるので手前も行った事のないエリアの方が多いぐらいである。基本的に手前はこの家から日帰りで戻れる範囲でしか移動しない故に」
そうだよな。
ゴドリックはいつ来るか分からないミラフィアが居るからあんまり離れられないよな。
「それはとても良い事を聞いた!面白くなってきたよ!」
ティアリエは研究者であり、開発者であり、探索者でもある。
この環境が嬉しくて堪らないのだろう。
(これは滞在が長くなりそうだ)
喜々とした様子のティアリエを見て俺はそう思った。
だが、ゴドリックやミラフィア、エーゼルと言った面白い連中も居る事だし、それも悪くないと感じていた。
(それにゴドリックを鍛えるに当たって中途半端にしない為にもある程度期間がある方が有り難い)
付け焼刃の技術程危ういものはない。
それは俺自身何度も体験してきているだけに嫌と言う程身に染みている。
「少し休憩したら、訓練を始めるつもりだが大丈夫か?」
「うむ。手前なら大丈夫だ」
やせ我慢とか虚勢とかではなく本当に大丈夫みたいだ。
本人も『体力には自信がある』って言ってたしな。
「本当ならじっくりと技術的な所からやって行きたい所なんだが……カルディア傭兵国の行動によっては時間があまり無いかもしれない。だから、実戦形式で実例を示しながら厳しく鍛える事にする」
最悪、戦闘勘だけでも掴ませなければならない。
ゴドリックは身体能力には恵まれているからそれだけでもかなり変わる筈だ。
「最初に言っておくが、間違いなく痛い目に遭うだろうからそれは覚悟しといてくれ」
「分かった」
ゴドリックの目を見る。
揺らぎは一切見られない。
ま、知ってはいたが覚悟は十分みたいだな。
なら、俺もその覚悟に応えるとしよう。
「それでシュラ君、君はゴドリック君に何を教えるつもりなんだい?」
「俺が教えるのは杖術と格闘術だ。俺の国の杖術の流派の言葉にこんなのがある。『突けば槍 払えば薙刀 打てば太刀 杖はかくにもはずれざりけり』ってな。要は杖術ってのは色んな武器に通じるものがあるから、最終的に別の武器を取るにしても基礎の技術として学ぶには打って付けって訳だ」
「成程。色々と考えてるんだね」
「そりゃ、一応な。何にしたって潰しが利く方が良いだろ?」
「それは道理だね」
まあ、ゴドリックは樵だったみたいだし、最終的には斧槍の類を持つのが良いんじゃないかと思っているが、その辺りはまだ決めていない。
本人に合った武器を使うのが一番だ。
だから、色んな武器の扱いの基礎となる技術を効率的に学べる杖術というのは剣術よりも潰しが利き易いという訳なのだ。
ティアリエに応えながら、俺は内部保存していた長さ2.5m程の棒を2本取り出す。
風竜の骨を芯にして、鱗を剥ぎ取った弾力のある風竜の皮を張り付けた一品だ。
俺やゴドリックの力で扱っても簡単には壊れない俺特製の訓練杖だ。
ちなみに『形状操作』のスキルを使って作ったものなので、材料は大量に有り余ってるから壊れてもスグに同じものを作る事もできるし、壊れた杖を一度内部保存して『組成操作』と『形状操作』を利用して直すという事もできる。
故に遠慮なく扱えるという代物でもある。
長さが長めなのは俺やゴドリックの身長が高いからそれぐらいは必要というだけの理由だ。




