勉強と探索と鍛錬の日々 7
姉貴殿が無事に実家に帰ったので久々の更新です。
「まあ、魔術は精神的に不安定になると効果が発揮されない事もあるから、逃走用の道具を常備することをオススメするけどね」
そうだよな。
魔力の操作は神経使うから、心が乱されると難しいだろうな。
「道具?」
キョトンとした顔でミラフィアが首を傾げている。
純粋だ。
「うん。私が錬金術師だからってのもあるけど、その手の道具は豊富に開発してるからね!」
「どんなのがあるの?」
「そうだねー……ダメージと足止めには苛性落とし穴、灼熱鳥もち、電撃ローション、凍結とらばさみ」
何か組み合わせるとヤバい組み合わせが次々と上がっていく。
字面だけでも相当えげつないと分かるぞ。
というか、全部足止めとダメージの両方を狙いに行くのな。
「感覚を奪うのには、激臭閃響催涙弾とかあるよ。まあ他にももっとえげつないのが色々とあったりするけどそれは緊急用だから秘密だよ!」
いや、今のままでも十分えげつないと思うぞ。
聞いてる中で穏便な雰囲気の道具が1つも無かったもの。
どれも剣呑とした雰囲気が漂ってやがる。
最後のはフラッシュバンに加えて、催涙効果のある激臭空気を撒き散らすものと見た。
どんぐらい臭いのかは分からんが、目を閉じて閃光を回避しても催涙ガスで執拗に目潰しを狙いに行く辺り考えられてるな。
というか、徹底的に重要な感覚を潰しに行ってる辺りにティアリエの本気が感じられる。
「色んなのがあるんだね」
「それはそうさ。手段が多ければそれだけ逃げられる確率は上げられるんだ」
1つがダメでも他の手なら成功するかもしれないからな。
それに組み合わせによってより効果を発揮するものだってあるだろう。
当然の用心だ。
ティアリエは普段が明るく抜けている部分も多いが、狙われるのが常だったせいだろう。
実際、かなり用心深い。
俺と出会った時も、習慣で迷彩をそのままにしていたぐらいだ。
見付からない事は勿論だが、見付かった場合の手段も豊富に揃えている。
「ミラフィア君には比較的安全なのを幾つかあげよう。使い方は実演込みでちゃんと説明するから危なくなったら遠慮なく使っておくれ」
言ってティアリエは自前の空間袋から札や卓球の球ぐらいの大きさの小さな玉のようなものを幾つか取り出す。
「良いの?」
「勿論!私はそれぐらいの道具なら簡単に作れるし、もっとヤバイのを沢山持ってるからね!」
ミラフィアに聞かれたティアリエはそう言って、ミラフィアに取り出した道具の数々を手渡した。
それにしても、ティアリエが他にどんな手札を持っているのか非常に気になる。
ティアリエが『ヤバイ』と言うのだからそれは相当にヤバイんだろうなと想像に難くない。
見てみたいような、見たくないような微妙な心境になってしまう。
まあ、その機会は無いに越した事は無いんだけどな。
「ありがとう、ティアリエ!」
「手前カラモ、礼言ウ」
ゴドリックもその辺りは本当に心配だったのだろう。
深々とティアリエに頭を下げていた。
「うんうん。私としてもミラフィア君のような娘に何かあったらと思うと心配になってしまうからね。使う機会が無い方が良いけど備えだけはしておいた方が良いと思っただけだし、気にしないで良いよ」
2人から礼を言われたティアリエはそう言って、ミラフィアの頭を撫でた。
「ついでだし、ミラフィア君にはこれもあげよう」
そう言って取り出したのはウエストポーチだった。
「何の変哲もない小道具入れだけど、今渡した逃走用アイテムを仕舞うには丁度良い筈だよ。冒険者向けのものだから、緊急時に直ぐに取り出せる工夫もしてあるし、走ったり跳ねたりする程度だったら収納したものが飛び出さないようにもなってるからそこそこ便利だよ」
空間袋という絶大な便利道具があるから大した物では無いという認識なのだろうが、それはそれで結構な便利な品だと俺は思った。




