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勉強と探索と鍛錬の日々 4

「つ、疲れた……」


魔力循環の訓練後、俺とゴドリックはぐったりしていた。


体力的なものではなく、魔力操作による精神的な疲労だ。


「まあ、最初の全身に均一に流すってのが一番難しいからね。私も最初は苦労したものだよ」


そんな俺達を見てティアリエは懐かし気な様子だ。


「まあ、こればかりは練習あるのみだから焦っても仕方ないし、じっくりやって行こう」


「そうだな」


それしかあるまい。


「あ、ゴドリック君。治癒魔術の注意事項なんだけど、決して見るからに死にそうな重傷者には使っちゃダメだからね」


「え、治癒魔術なんだろ?何でなんだ?」


俺と同じ疑問をゴドリックも抱いていたようで、じっとティアリエを見詰めていた。


「治癒魔術は飽くまでも自然回復力を活性化させて傷を治しているだけなんだよ。だから、傷を治すのにはそれ相応の体力が持っていかれるのさ。重傷者相手だとその体力自体が残ってない場合がある」


あー、病気の老人が手術できないのと同じような感じか。


「つまり、下手すれば傷を治そうとして逆にトドメになってしまう可能性があると?」


「うん。正にその通りだよ。実際、そういう事故は起こるんだよね。知っていても窮地で思い出せなかったって事もあるし。逆に知っていながらも知らん振りして、不慮の事故扱いで全力で殺しに行くような人も出るしね」


どっちにしても嫌な話だな。


「では、重症だった場合はどうすれば良い?」


「その場合は、傷口を焼くとか、ポーションを傷口にぶっかけるとかして、出血だけ止めて体力の減少を止めてから、体力回復効果のあるポーションを服用させる。それから治癒魔術を使うって感じかな」


ゴドリックの質問に対し、ティアリエはそう答えた。


(そういえば、ゴドリックを助けた時に似たような対処をしていたな)


今更ながら、俺はそれを思い出す。


ゴドリックの場合、自然回復力と体力両方が優れた種族であるオークだから出血を止めて体力だけ回復させておけば問題無かったようではあるが。


「体力を減らさない様に癒せる術は無いのか?」


「幾つかあるよ。だけど、どれも治癒魔術とは比べ物にならないぐらい難しいよ?」


「それでも教えて欲しい。手前に出来る努力はするつもりだ」


「その中には術の使用者にリスクが生じるものもあるけどそれでも?」


「ああ」


「良い覚悟だ。分かった。私の知ってる範囲で色々と教えようじゃないか。あと、補助的な手段として何かと役立つ薬の造り方も教えようか?手間こそ掛かるけど、こっちの方が術より簡単だしリスクも少ない」


「是非ともお願いしたい」


治す方法を術に拘る必要性は無いからな。


ポーションみたいな便利薬がある世界ならそれを頼るのも手だからな。


むしろ、ティアリエは薬とかそっちの方が得意だしな。


本人も『私の場合、回復系の術よりもポーションの方が効能高い』って言ってたし。


「うん。承ったよ。じゃあ、今日の素材集めはゴドリック君の練習用に色々と沢山集めないとね!」


おっと、これは大変な事になってきたぞ。


俺も薬の造り方は知っておいて損無いから一緒に勉強するつもりだけど、やる事が一気に増えた感が半端ない。


「魔術の訓練は終わったが、朝食の後はどうする?」


「済まないが、朝は畑の様子を見たい。素材集めは昼からでも構わないだろうか?」


「全然構わないよ。私もゴドリック君の畑に興味あるし」


俺達は基本的に何かやらないといけない使命とか全く無いからな。


時間はあるし焦る必要も無い。


「夜からはオレの武術訓練もあるんだ。体力を使い果たさないようにしてくれよ?」


「オーク、体力だけはあるから心配無用」


「それは良かった。ただ、かなり辛い事になるのだけは覚悟しといてくれよ?」


「承知の上だ。夜は宜しく頼む」


「おう」


ゴドリックの目には滾る闘志が見えた。


なら、俺はその本気に応えるまで。


ただそれだけの事である。


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