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ゴドリックと小さな少女 3

ミラフィアの緊張が良い感じに解れたところで、俺達はミラフィアの持って来た果物を有り難く頂きながら食後のティータイムとしゃれ込んでいた。


ゴドリックは静かに黙々と果物を口に放り込みながら、頬を緩めていた。


どうやらゴドリックは甘党らしい。


思えば、先程出された料理の中には極端に辛い物や苦い物は無かったなと今になって気付く。


「2人はどこから来たの?」


「ここから大分離れた海の向こう側からかな?私の故郷は南大陸なんだけど、故郷を離れてからは適当に各地を転々としてたから、恥ずかしながらどこからっていうのが正確には分からないんだよね」


旅立つ前にあらかじめ決めていた設定なのだが、嘘は言っていない。


実際、ティアリエはそういう風に過ごしていたらしいし、浮遊大陸は常に移動しているのでどこに在るか正確な位置が基本的に分からない土地なのだ。


「俺も気が付いたらティアリエに拾われてた身だからな。少なくとも俺の故郷はこの近くじゃないのは確かなんだが、どこに在るのか全く分からないんだよな。ティアリエの推測だと大規模な空間魔術の事故に巻き込まれたんじゃないかって事だが、どうにもその辺りの記憶があやふやで自分でも要領を得ない状態なんだよな」


勿論、俺のこの事情は完全に設定である。


流石に、『他の世界から魂だけ召喚されて、ティアリエの造った魔導機構の中に放りこまれてました』とは言えんしな。


それに全てが全て嘘という訳でも無いし。


世界を隔てているので、地球がどこに在るのかなんて全く分からんし、召喚もまた大規模な空間魔術の事故と言えなくもないからな。


気付いたら拾われていたというのは全く以てその通りだしな。


「そっかー、そうなんだ。そういう事って森の外だと良くあるの?」


ミラフィアは年相応にかなり純真みたいで、俺達のそんな設定を信じている様子であった。


騙してるみたいで少し胸が痛むが仕方あるまい。


「いや、滅多にないよ。空間魔術って冗談抜きでアホみたいに魔力消費するし。でも、シュラ君という実例がある以上『無い』とは言えないね。私は自由気ままな放浪の旅をしている身だし、旅ついでにシュラ君の故郷を捜すって事で一緒に行動してるって訳さ」


「俺としてもティアリエの世話になりっぱなしというのは流石に気が引けるから、護衛として守護騎士をやらせて貰ってるって訳だ」


「いやー、正直、シュラ君が居てくれて色々助かってるよ。私は肉体的には弱い方の種族だしね。女の一人旅は中々に怖い物があるからね。それにシュラ君は生産活動の補佐も出来るし、家事全般が私より上手だし、いやホント」


「そうだな。何か守護騎士というより保父さんやってる気分になる事はあるが、こっちとしても何かと世話になってる身だしな。手伝える事は手伝うさ」


ちなみに、今の言葉は俺の紛れもない本心である。


多分だが、ティアリエも同様であろう。


俺としても何だかんだ言っても、ティアリエとはお互い自由に楽しく過ごせているし、憧れのファンタジー異世界での生活であるので心躍るというものである。


前世と違って時間に追われていないというのもあって、非常に心地が良い環境であるのは間違いない。


ここで生活してみて思ったけど、やっぱ日本人は働き過ぎだぜ。


病的と言っても良い。


そりゃ、過労死と自殺の件数が多い訳だよと納得するぐらいにな。


一言で言えば、アレは社会が悪いな。


いや、マジで。


この世界は多少殺伐としている何かと物騒な世界ではあるが、心が削られてすり減って行くような感覚は余り無い。


元々の仕事が仕事だし、実家の関係もあってグロには耐性があるしな。


まあ、奴隷狩りとか戦争とかが在る世界でもあるようだから、これから先、嫌なモノを見る機会も多いかもしれない。


だが、それはそれで異世界ファンタジーの定番だろう。


暗いモノがあるからこそ、その中にある眩しいモノがより輝いて見えるだろうと俺は信じている。


D○3のラスボスであるゾ○マ様は倒された後に『光ある限り闇もまたある』という言葉を残していたが、逆もまた然りだと思うのだ。


深い闇の中だからこそ輝く光もまたあると。


数々の不遇に曝されながらも、真っ直ぐな生き方を貫いているティアリエやゴドリックに俺は闇の中で尚輝く眩い尊き光を見出していた。


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