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ゴドリックと小さな少女 1

余程驚いたのか、少女はその大きな目をパチクリと見開いていて、ルビーのような赤色とサファイアのような青色をした虹彩異色症(オッドアイ)の瞳が良く見えた。


光を受けて輝く金色の髪から伸びる長い耳は間違いなくエルフだと一目で分かるものであった。


(エルフ、来た!!)


内心で俺は歓喜する。


エルフと言えばファンタジー定番の種族。


それを目の前にして感動しない訳が無い。


俺とティアリエがゴドリックの家に居る事が予想外だったようで少女は困惑して、少しだけ逡巡した様子を見せていたが、


「えーと……こんにちは!」


意を決したのか、先ずは挨拶をした。


うん。


挨拶は大事だよな。


「「こんにちは」」


無論、俺達は挨拶を返す。


すると、


「あのあのあの、わたし、ミラフィア・ディアログスと言います!2人はゴドリックの友達ですか?」


少女……


ミラフィアは緊張した様子を見せつつも自己紹介をしてから、『友達か』と聞かれて『どう返したものかな?』と思っていると。


「そうさ!私達はゴドリック君とは友達だよ!私はティアリエ・テークシス、旅の錬金術師さ!」


何かティアリエが勝手にノリノリで応えていた。


俺が同じことを言っていればどこか嘘っぽくなっただろうが、ティアリエならそうはならないから正直助かった。


良くも悪くも彼女は真っ直ぐだ。


彼女はかなり本気で言っている。


少なくとも、ゴドリックと友好関係を結びたいと思っているのは確かだろう。


「俺はシュラ・ヴァンドゥという。ティアリエの守護騎士をしている」


俺もティアリエに合わせて軽く自己紹介をしておく。


ボロが出るので敢えて多くは語るまい。


その後、スグにミラフィアには気取られない様に小声でゴドリックに対して


「(スマン、ゴドリック。ティアリエが勝手な事言って。悪いが適当に話を合わせてやってくれ)」


とフォローしておいた。


「(いや、むしろ手前としても助かる。ミラには手前がカルディア傭兵国の騎士と戦った事は言わないでほしい)」


このミラフィアはゴドリックにとって大事な相手みたいだ。


心配を掛けたくないという思いがその眼からハッキリと伝わって来る。


「(分かった)」


ゴドリックの要望はティアリエにも聞こえていたようで、彼女を見ると事前に取り決めていた手信号で『了解』の意を示して黙諾していた。


「良かったぁ、ゴドリックの友達なら心配ないよね。ねぇねぇ、2人は森の外から来たの?」


「そうだね。私達はこの森に錬金術に使う素材を集めに来たんだ。そこでたまたまゴドリック君と出会って森の中を案内してもらう事になったんだよ」


「2人ニハ、獣、追イ払ウノニ、世話ナッタ」


「そっかぁ、そうだったんだね。エーゼルは『森の外から来る者は恐ろしい存在だから絶対に関わるな』なんて言うけどやっぱりそんな事ないよね。ゴドリックだって優しいもの」


「エーゼル、言ウ事、間違イデモナイ。手前ヤ、2人ガソウデナイ、ダケ」


ミラフィアに告げるゴドリックは先程の騎士達の存在を思い返していたのだろう。


その眼差しは真剣そのものであった。


先程、ゴドリック達が廊下で話していた時にも出て来ていた『エーゼル』とは人の名前なのだろう。


ミラフィアの保護者か何かだと適当に当たりを付ける。


「ソレヨリモ、1人デ出歩ク、危ナイ、イツモ言ッテル。森ノ中、魔物出ル、危険。ソレニ、ココ来テル事、知ラレル、ミラ、立場、悪クナル」


「もー、ゴドリックまでエーゼルみたいなこと言わないでよ!里での立場なんて元々良くないから良いの!」


「ムゥ……」


2人の会話を見ていて、何となくだが心配性のお父さんと娘みたいに見えてしまった。


だが、一つ気掛かりなのはミラフィアが『里での立場なんて元々良くない』と言っていた辺りだ。


何かあるのだろうか?


俺はそこが少し心配になった。


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