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ゴドリックの事情

「狩られて、喰らわれるのも、道具の材料にされるのも許容できる。手前らだって、そうしているのだからお互い様だ。だが、奴隷狩りに関して手前は許容できない。アレは尊厳を著しく蹂躙する最低の行いだ」


同じ種族の仲間が冒険者に撃ち取られたと語っていた時と違い、奴隷狩りの話をしていた時のゴドリックの瞳には静かでありながらも激しい怒りが見えた。


「その様子だと何かあったんだね?」


「うむ。手前らの集落の近くには金狐種の集落もあった」


「金狐種……あー、そういう訳か。今ので大分話が見えて来たよ。実にあの国のやりそうな事だ。君の集落が冒険者に襲われたのはカルディア傭兵国の差し金だったんじゃないかい?」


「ご明察である。後で知ったのだが、手前らの集落が冒険者に襲われたのは、ティアリエ殿の推察の通り、カルディア傭兵国の差し金であったらしい。金狐種の集落の近くにあった手前らの集落が邪魔だったから、偽りの依頼を出して冒険者達をけしかけたというのが真相であったらしい」


「自分の手を汚さず被害を最小限且つ稼ぎを最大限にって訳か。反吐が出るね」


「同感である。滅びた故郷の中で1人生き延びた手前は交流のあった金狐種の友人を頼る事にしたのだが……手前の向かった金狐種の集落で目にしたのは、カルディア傭兵国の騎士達による奴隷狩りの光景であった」


静かに語るゴドリックであったが、拳を握るその手にはギュッと力が込められていた。


「手前も奮戦したが敵わなかった。手前の目の前で連れて行かれた友人の姿は今も忘れられない……手前はもう二度とあのような悔しい思いはしたくないのだ」


それが、先程ゴドリックが戦っていた理由なのだろう。


だから、あそこまで必死に戦っていたのだろう。


それが痛い程に伝わって来る。


「ゴドリック君……」


「金狐種の集落で暴れた事で手前にも討伐依頼が出された様であってな。しばらくすると冒険者の追手が来るようになった。故郷の近くに居てはいつか討ち取られるのが目に見えていたので、命からがらこの辺境まで逃げ延びて来た。それが、手前が今1人である理由である」


ティアリエもそうだが、ゴドリックも相当に壮絶な過去を持っていた。


世界は決して人に甘くない。


そういう事なのだろうか。


そんな事を考えていると……


バンッ!!


家の入口の方で勢いよく扉が開かれて、壁に当たる音がした。


「「!?」」


何事かと思い、玄関口の方に意識を集中して探知系のスキルを発動させる。


数は1人。


そして、何か小さいな。


『気配察知』の反応が正しければティアリエより小さい反応が感じられる。


「ゴドリック、遊びに来たよー!」


そして、入口の方から高い声が聞こえて来る。


明らかに成熟していない子供の声だ。


「今日も来たのか……」


それを聞いたゴドリックは『やれやれ』とでも言わんばかりの様子で、軽く息を吐いていた。


「2人共、警戒を解いて欲しい。敵では無い」


家主に言われては従うしかあるまい。


俺もティアリエも警戒を解いて、スキルの発動を切る。


「ゴドリック、居ないのー?」


トタトタと軽い足音が入口から近付いてくる。


それに対してゴドリックも入口の方へとのそのそと向かっていた。


「あ、ゴドリック、居るなら返事してよ!居ないのかと思ったよ!」


「ミラ、ココ来ル、良クナイ。エーゼル、イツモ言ッテル」


スキルが自動翻訳してくれたから気付かなかったが共通語だったみたいだ。


ゴドリックがまた片言になっている。


「エーゼルは心配し過ぎなんだよ。あれじゃ、いつかハゲちゃうよ!ゴドリックは悪い人じゃないもん」


玄関からこのリビングに続く廊下でそんな会話をする声が聞こえてきて、少し微笑ましい気分になる。


「そんな事より、今日もお土産に果物持って来たから一緒に食べよ!」


「ア、ミラ!少シ、待ツ!」


ゴドリックの横をトテテと軽快に抜けて来たのは、金色の長い髪に長い耳をした10歳いかないぐらいの綺麗な少女であった。


「って、ゴドリック以外に誰かいる!?」


その少女はリビングに居た俺とティアリエを見て驚きの声を上げていた。


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