変わり者の豚鬼種(オーク) 3
「シュラ殿、今、騎士達の骸が消えたのは何をしたのだ?」
俺が騎士達の死体を装備ごと回収していると、不思議そうな顔してゴドリックが聞いてきた。
「ゴドリック君は『空間袋』を知らないのかい?」
「手前の育った集落ではそのようなもの見た事も無い」
ティアリエも空間袋は貴重って言ってたし、見た事も無いというのは別段珍しくも無いのかもしれない。
「空間袋ってのは要は大きな物でも収納できる便利道具の事さ。シュラ君の篭手は私特製の空間袋になっていてね、それを使って彼らの死体を回収したって訳さ」
無論、ティアリエの言は完全に嘘なのだが、そう言っておいた方が信憑性あるとの事なのでそういう事にしている。
この辺りは事前に打ち合わせしている。
「成程」
その説明を聞いたゴドリックは素直に納得している様子である。
「では、森を探索する前に手前の塒へと案内しよう。森を巡る前に腹ごしらえをしておく方が良かろう」
「それもそうだね!折角だからご相伴に預かろうかな。豚鬼種の食事にも興味あるし」
時間的には昼時なので、ティアリエも腹が減ってきていたのだろうゴドリックの提案に乗る事にしたようだ。
それにしてもオークの食事か。
肉マシマシな感じになりそうだが、ティアリエなら大丈夫か。
コイツ、見た目に反して結構な健啖家だからな。
「期待される程のものでは無いが、精一杯腕を振るわせて貰おう」
そうして俺達は巨大なオークであるゴドリックの先導に従って森の中を進み、彼の塒へと向かう。
「そう言えば、ティアリエ、タイミングが無くて聞きそびれたんだが、変異種ってのは何だ?」
まあ、字面的に何となく想像がつくんだけど、一応聞いておくべきだろう。
モ○ハンで言う亜種とか希少種的なものだと思う。
「端的に言うと普通とは違った特徴を持って生まれた種族の事を変異種って言うのさ。ゴドリック君の場合は、黒い肌、長く鋭い牙、オークとしては桁外れの巨躯が該当するね」
「普通のオークってのはどんな感じなんだ?」
「肌は物凄く薄い桃色、牙は短い円錐状、身長は190~210cmぐらい。そんな感じだった筈だよ。ゴドリック君、合ってるかい?」
「ああ。普通のオークは大体そのような感じだ」
目の前を歩くゴドリックは3mを越える巨体で俺よりも大きい。
確かに普通サイズと比べると明らかに大きいのが分かる。
「まあ、例外はあるんだけど基本的に変異種ってのは通常種と比べるとステータスが高かったり、特殊な能力を持っていたりすることが多いよ」
俺の予想は大体合っていたみたいだ。
「手前の場合、両方が該当する」
「そうなんだ。ゴドリック君はどんな能力を持っているんだい?あ、話せないなら話せないで構わないよ。ただの興味本位だから無理に聞き出すつもりはサラサラ無いから」
「特殊とは言ってもそう大層なものでは無い。手前の場合は全身の皮膚を鋼の如く硬く出来る。ただそれだけである故に秘密にする程でも無い」
「単純故に対策が打ちにくい類の能力だな」
「そう。故に秘密にするまでも無いという訳だ。話している間に着いたようだ。ようこそ、手前の塒へ。何もない所ではあるが精一杯のもてなしをすると約束しよう」
「ここがゴドリックの住処……」
俺は素直に驚いていた。
何となくだが洞窟とかジャングルの中の集落の草とかを利用した感じの塒をイメージしていたのだが現実は……
丸太を切り出して造り出したであろうログハウスが森に隣した湖畔に建っていた。
(うっわー、もの凄くオシャンティー)
何か、俺の中のオークのイメージが音を発ててガラガラと崩れていくような感じがする。
「この家はゴドリックが建てたのか?」
「うむ。集落では体格が良く、力が強い手前が建築の仕事を行っていた故にこの程度ならお手の物である」
建築家でしたかー。
武人とかじゃなかったのね、そこも意外だよ。
あー、でもそれで騎士達と戦っていた時の動きがどことなく鈍くさい感じがしたのか。
変異種故のステータスの高さ任せでぶん殴っていただけだったのだろう。
戦闘職でないのならそれも納得であった。




