初めての勝利とレベルアップ 16
「うっはぁーっ……こんな状態の良い属性竜素材は滅多にお目に掛かれないよ!それだけに何作ろうか考えるだけで楽しくなってくるよ!」
目の前に広げられている風竜の皮に触れて、恍惚とした様子でティアリエは笑う。
おおよそ女性が見せてよい類の姿ではないが、彼女は根っからの生産職だから仕方ないとも言えた。
俺はそんな彼女の横で骨、角、牙、爪といった床に置いても大丈夫そうな素材を並べていく。
血とか内臓とかは容器が無いと置けそうにも無いので俺の中に入れっぱなしにしてある。
そして、最後に風竜の体内にあった赤い角ばった結晶と緑色の透き通った真球状の結晶の2つを取り出して、
「ところで、これらは何に使うのか聞いても良いか?」
と聞いた。
『内部保存一覧』では『魔血晶』と『風竜玉』と出ていたが詳細は確認していない。
ティアリエに聞いた方が早いし分かり易いだろうと判断したからだ。
ちなみに、どちらも俺の掌と同じくらいの大きさで結構大きい。
「魔血晶と竜玉だね!血晶は魔物の体内に存在する自由魔力素を溜め込む性質のある物質で、主にゴーレムや魔道具の原動力として使用されるよ!大きい物程、自由魔力素を多く溜め込めて、色が濃い物程純度が高くて効率が良いというのは覚えておいて損は無いよ」
成程、電池やコンデンサーみたいなものか。
或いは外部バッテリー。
「竜玉は一定以上の強さを持つ竜の体内にしか存在しない結晶で、入力された魔力を増幅して属性変換する作用があるんだ。これを使って所謂魔剣とかの魔装具作られる事が多いね。師匠の話だと大きい物程、魔力増幅率が高くて、色の濃い物程属性変換効率が高くなるって聞いたことがある。私も取り扱った事の無い素材だから何とも言い難い所ではあるけど」
多分だが、電力増幅回路付きの電動モーターみたいなものか?
電動モーターは電気を流す事で磁界を変化させて、フレミングの法則を利用して回転力を生み出すことで電気エネルギーを運動エネルギーに変換させる装置だ。
属性変換とは、電動モーターで譬えるなら、色々なエネルギーに変換できる電気エネルギーを運動エネルギーという特定の形に変換して出力するのと似たようなものではないかと解釈したという訳だ。
「風竜玉は名前が示す通り、魔力を込めると風属性の魔力に変換してくれる筈だよ。少しだけ試してみても良いかい?」
「勿論構わないぞ」
俺は魔力を外部に出力する方法とか知らないしな。
『形状操作』による外見の変化はそういうの一切気にする必要無かったし。
ティアリエに風竜玉を手渡す。
俺だと片手ぐらいの大きさだが、小柄なティアリエが持つと両手で抱えるぐらいの大きさになる。
地球で一番近いのはバスケットボールぐらいのサイズだな。
風竜玉を受け取ったティアリエが魔力を込めたのか、ティアリエの両手と風竜玉が僅かに光るのが見えた次の瞬間。
ブワッ!
風竜玉を中心に全方向に強い風が一瞬だけ吹き抜けた。
風速で言うと6~7m/sぐらいだろうか。
木全体が揺れるぐらいのそこそこ強い風が吹いたという感じだ。
「ほんの少しの魔力量で、しかも、方向を収束していないのにこれか……想像してたよりも凄い増幅率だよ。これは血眼になって竜玉を求める人がいる訳だよ」
「ティアリエ、済まないが君のステータスを見せて貰っても構わないか?」
「うん、良いよー」
確認を取ると、ティアリエは即座にステータス閲覧の共有をしてくれたようで、彼女の現状のステータスが見えた。
減ってるMPは1とホントに僅かだった。
たった1であれだけの風が吹くのか、凄いな。
それを確認して、少しやってみたい事ができた。
「なぁ、ティアリエ。その竜玉なんだが……俺が貰っても良いか?」
「言いも悪いも風竜を倒したのはシュラ君だし所有権は全般的に君にあるよ。私は何もしてないからね」
「ありがとう。多分、お前も欲しいだろうとは思ったんだが、少しやりたい事ができてな」
「ほほう、是非とも聞かせて欲しいかな」
「先ず、確認したいんだが……その風竜玉を俺に組み込む事は可能か?」
「うん。大丈夫だと思うよ。それで、君は風竜玉をどう利用するつもりなんだい?」
「『形状操作』と風竜玉を組み合わせて、推進装置代わりに出来ないかなと」
あわよくば空を飛んでみたいまである。
リアルでガ○ダムを実装出来るんじゃないかとそう考えた訳である。
飛べなくても俺の機動力を補ってくれるのであればそれで十分ではあるしな。
「良いね!面白い!是非ともやってみよう!!」
俺の提案を聞いて、ティアリエは爛々と目を輝かせて、興奮を露わに激しく賛同してくれた。




