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現状把握(自分)

俺はティアリエの言葉に耳を傾け続けていた。


「筋力自体はそれなりに強いけど獣人種の中じゃ弱い方だし、強くて頑丈な守護者が欲しかったから今の君の躰を造り、君の魂を召喚して定着させたという訳さ」


「チョット待て」


(この女、今とんでもない事を幾つかサラッと言わなかったか?)


「『今の君の躰を造り、君の魂を召喚して定着させた』とそう言ったか?」


「うん、言ったよ」


「先ず聞きたいんだが、今の俺は何になっているというのだ?」


「そうだねえ、見た方が早いね。はい、鏡」


ティアリエはその場に置いてあった手鏡を手に取って俺の方へと掲げて見せる。


鏡に映っていたのは殆ど黒に近い濃紺色の飾り気のない全身鎧。


金ピカな英雄王とドンパチする狂戦士な湖の騎士様のようだ。


ただし、シルエットは彼よりも図太く肉厚だ。


「な、なんじゃこりゃあああッッ!!?」


「おお!良い反応だね!」


驚く俺を尻目にティアリエは気楽な様子だ。


(俺、鎧姿になってる!結構カッコいいな……ってそうじゃない!)


「ティアリエ、これは一体……」


「うん、その辺りは勿論説明させてもらうから一度落ち着こうか」


「……分かった」


ここで取り乱しても話が進まない。


俺は自らに『落ち着け』と内心で言い聞かせながら、ティアリエの話を聞くことにする。


「まあ、見て分かったと思うけど今の君は所謂『人種(ひとしゅ)』ではない。自己進化型の無機魔導機構生命体。それが今の君さ」


「良く分からんが、要はゴーレムというヤツか?」


「ゴーレムなんていう命令通りにしか従えないモノと一緒にされたら困るな!」


俺の言葉を聞いて、ティアリエは突然声を張り上げた。


何かの琴線に触れてしまったらしい。


「どう違うのか全く分からん」


「ゴーレムというのは魔力で動くだけのただの物、それを動かす為のただの術式でしかない。でも君は魂を持ち、生きている。躰が無機物で構成されているというだけで、自ら思考し、動き、自前で魔力を生み出す!錬金術の粋により造られた新たな生命体だ!あんなつまらない存在ではないのだよ!」


「ふむ、なるほど」


「分かってくれたかい!?」


「サッパリ分からんが要するに俺は生きているという事なんだな?」


「まあ、その解釈で間違いではないよ」


俺の言葉で一度目を輝かせたティアリエだったが、更に続いた言葉を耳にしてガックリと項垂れていた。


期待させて申し訳ないのだが、俺はそこまで頭が良い方では無いから小難しい事は分からんのだよ。


「お前がこの躰をとんでもない情熱を持って作り上げたのはさっきの様子で大体理解した。だが、何故俺の魂を召喚したんだ?」


「いやー、技術者としては凄く情けない話なんだけどね。もう二度と手に入らないような希少素材を偶然入手して衝動の駆られるがままに今持てる最高の技能と素材を使って君の躰を作ったのは良いんだけど、人造(じんぞう)(こん)だと立って歩くとかそういう基本的な技術から学ばせるのにとんでもない時間と労力が掛かる事に気付いてね。それで、経験豊富な実際に生きていた魂を入れる事にしたんだけど……折角だからこの世界に無い知識が知りたいと思ったから、こことは違う世界の死んで彷徨っている魂を呼び寄せる事にしたという訳なのさ。肉体ごとの転移は色々な問題で物凄く難しいんだけど、魂だけの召喚だったら比較的簡単に出来たからね」


「要はアレか?人工知能(AI)に一から学習させるのは面倒だったから、その辺りのプリセットを持つ俺を手っ取り早くインストールしたと?」


「そうなるね!」


「マジかよ……」


そんな理由で異世界に、しかも人外転生することになるとは夢にも思わんかったわ。


ティアリエの目を見て、その言葉に嘘偽りが全く無いのが分かり、逆に俺は項垂れてしまうのであった。


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