教えてティアリエ先生 12
「ティアリエ?」
「容積制限の無い空間袋ってだけでも羨ましいのに『あらゆる事象から隔離』……つまり、時間経過での劣化も無く、絶対に盗まれない!それに加えて鑑定機能まであるとか……錬金術師にとっては垂涎の機能ばかりだよ!」
「あー、そういう事か。でも、俺の場合、盗まれないかもしれないが、『自動修復』で消滅する危険性があるぞ?」
「そこだけが困りものだよね。だけど、『優先度を設定可能』って書いてあったし、どうでもいい物を大量に入れて優先的に消費するように設定しておけば問題無いだろう?」
「まあ、そうだな。内部保存を使い切る様な窮地にでも陥らない限りはって条件は付くけど」
「今は躰も称号もスキルもレベルが低いから色々と危ないかもだけど、君が成長したら滅多にそんな事態には陥らないんじゃないかな?」
「まあ、そんな感じはするわな」
何せ、無駄に硬い上にHPの容量がバカみたいに多い。
レベルが上がればそれがより顕著になるだろう。
特に効果が劇的なのは『自動修復』と『物質貯蔵』だろうな。
この2つはどちらかがレベル上がれば、外部保存可能なHPの容量が40000も増える訳だし。
『回復力強化』込みで考えると最低でも4000更に加算されるから尚の事大きいな。
「ティアリエ、『空間袋』ってのは俺の『物質貯蔵』みたいに大きな物も収納できるアイテムと考えていいのか?」
「そうだよ。ただ、君の『物質貯蔵』程の便利さは無いよ?内部の空間を拡張してるから大きな物も入れられるけど、入れた分の重さはあるし、容積の制限もある。更に言えば、時間の影響を受けるしね」
「ほー、そうなのか」
異世界ファンタジーでは定番のアイテムボックスさんは想像していたよりも世知辛い事情を抱えてるみたいだ。
「まあ、重量に関してはそれを軽減する効果が付いた物もあるけど、それ以外はどうしようも無いんだよね……」
「どういう事だ?」
「空間袋の肝である内部空間を拡張する『空間魔術』って物凄く燃費が悪い魔術の一つなんだよね。それを付与するだけでもとんでもない量の魔力持って行かれるのに、『空間魔術』よりも輪を掛けて燃費が悪い『時魔術』を付与するとか現実的じゃないとしか言い様が無いんだよ……更に言えば、付与する術式が増える程に倍率が上がるから、要求される魔力が桁違いに跳ね上がるからね」
「あー……」
言われてみれば納得であった。
『時間』と『空間』は両方とも利便性が高過ぎる存在で、ゲームや漫画の強キャラって大体どっちか持ってたりするよな。
ジ○ジョだと3部以降のボスは全員それ系統の能力を保有してる。
そんだけ便利な代物だからこそ相応の代償……
この世界では膨大な魔力が求められて然るべきという事なのだろう。
「逆に空間袋が作れる錬金術師は紛れも無く一流とも言えるから、空間袋を作れるか作れないかが錬金術師の実力を測る一種の判断材料にされたりするね」
「ちなみにティアリエは作れるのか?」
「勿論!ただ、容量が大きいの作ったら一発で魔力が空になるけどね!」
「マジか」
ティアリエのMPって職業補正込みで6000近くあったよな?
それが一発で消し飛ぶって、どんだけ燃費悪いんだ『空間魔術』!?
「ついでに聞きたいんだが、『付与する術式が増える程に倍率が上がる』って言っていたが、それだと重量を軽減する効果のある空間袋を作るのは難しいんじゃないか?」
「まあ、『内部空間拡張』と『重量軽減』を術式として2重付与するなら容量が小さめの物でも難しいだろうね」
「ふむ、その言い方だと抜け道があるという感じか?」
「鋭いね、その通りだよ!そして、その答えは既にシュラ君も持っている」
俺が持っているというと……
「あ、さっきくれたグラナイト鉱石か」
「その通り!グラナイト鉱石を精錬して純度の高めたグラナイト結晶を繊維状にして鞄を編めば、重力遮断効果で物を入れても重くなり難い鞄が出来あがる訳さ。その鞄に『空間拡張』を付与してやれば完成するよ!」
「成程な、物質が元々持っている特性を利用してやれば付与する術は1つで済むという訳か」
「そうそう。物質の持つ特性を理解して組み合わせるのもまた錬金術の醍醐味さ!そりゃまあ、『空間拡張』と『重量軽減』の2重付与が出来たら凄いとは思うけど、重量軽減で持って行かれる魔力を全部『空間拡張』に突っ込んで容量広げた方が利便性高いしね」
それを聞いていた、俺は『道理だな』と思った。




