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迫り来る悪意の足音 6

「ゴドリック君、多分君が一番辛い役目になると思う。先行部隊は潜伏の為に数は多くない筈だけど、その分精鋭が揃えられていると思う」


エルフの活動領域で発見されていないというのであれば間違いなくそうだろう。


それに森の中でエルフの拠点にカチコミを仕掛けるのだ。


全員が一定以上の強さを有していると見て然るべきだ。


「だとしても、手前のやる事には変わりはないのである。エーゼルを守るために戦う。それだけである」


「うん。良い覚悟だ。君には多めにポーションと兵糧を渡しておくよ。私特製の品だから効き目は保証するよ!」


ティアリエはそう言ってウエストポーチ型の空間袋を取り出すと、その中に惜しげも無く様々な薬を突っ込んで空間袋ごとゴドリックに手渡した。


「かたじけない」


ゴドリックはウエストポーチを装着して深々と頭を下げた。


「あと、まだ全部は揃ってないんだけど……ゴドリック君用の装備も作ってあるんだよね」


次に取り出したのは篭手(ガントレット)脛当(グリーブ)胸甲(キュライス)だ。


ちなみに色は黒基調の銀装飾。


「インナーとか兜とかが無いんだけど無いよりはマシだと思う!あと壊れてもまた作るだけからその辺りは気にせずに使って良いよ!」


ゴドリックは体のサイズがデカイから作るのに時間掛かるんだよな。


何より合間合間に作ってたからなぁ……


でもまあ、手抜きはしてないのでティアリエの言っていた通り無いよりはマシな筈である。


「どれも手前には勿体無いぐらいだ」


それらを装着していくと……


「おお!一気に騎士っぽくなったね!」


「カッコいいけど、やっぱ悪役っぽいな」


まあ、ゴドリックの種族がオークだからそれは仕方ないか。


ゲームだったら確実にボスキャラの風格だわ。


見た目悪役っぽいのは俺も同じだし。


「……どうやら、本当に時間が無いみたいだ」


ゴドリックの姿を見てはしゃいでいたティアリエが急に真顔になった。


「どうした?」


「ミラフィア君が私のあげた逃走用アイテムを使ったみたいだ」


「分かるのか?」


「うん。アレらには私の魔力が込められてるからね。起動すると大体の位置が分かる」


成程、あの危険物一式を渡したのはそういう理由もあったのか。


使用した時に位置が分かるようにしていたみたいだ。


実に用意周到だと言えよう。


だが、それを使っているという事は、ミラフィアは本当に危機的な状況という訳だ。


「ミラフィア君の為にも全速力で行かせて貰うよ!」


バッ!


ティアリエはローブを脱ぎ捨てて、その下に隠していた大きな翼を広げる。


キラキラと翡翠のように輝く美しい翼の見せる光景は正に幻想的で思わず目を奪われてしまう。


それはゴドリックも同じであったようで、彼は目を見開いて言葉を失っていた。


「シュラ君、ゴドリック君!私は先に行くから!」


翼を羽搏かせてティアリエが飛び立つと同時に迷彩を発動したようで、姿が見えなくなり吹き抜ける風だけがその行き先を示していた。


風系統の魔術を駆使して飛ぶティアリエは途轍もなく速い。


「ティアリエ殿は翠翼種だったのか……」


「ああ。悪いがこれは秘密にしといてくれ」


「無論である。恩人に仇成すは恥ずべき行為。それをするぐらいなら自死を選択する」


この義理堅い漢なら本気でそうするだろう事が分かる。


「ありがとな」


「このぐらい当然である。礼を言われる事でも無い」


ゴドリックは謙遜でも何でもなく本気で言っている。


だからこそ、俺達がここまで協力したくなったんだけどな。


「じゃあ、俺達も行くとしますかね」


「うむ。互いに役目を果たそうぞ!では、また!」


ゴドリックは森の奥へ、俺は森の外の方へそれぞれ逆方向に駆け出して、それぞれの成すべき事を成しに向かった。


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