アンタ仕事しろよ!
翌朝行きたくないが、出勤した。
ストライカーのヤツ、オレの事沙織にあれこれ言ったのかな?
決して童貞だという事だけは言わないでくれ!
会社に着き、机に座る。
まだ沙織は来てないみたいだ。
顔合わすのイヤだな~。
「あ、おはよう仲村君」
沙織だーっ!
「あ、おはようございます」
オレは悟られないよう、無表情で挨拶した。
「仲村君さぁ、ユースケさんとSNSで知り合ったんだって?」
やっぱり!ストライカーのヤツ、沙織に言ったのか!
っていうかユースケって名前なのか、ストライカーは?
知らんかったwww
「いや、まぁその。何て言いますか、はい」
ヤベッ、テンパってんぞオレ!
「へぇ、そうなんだぁ。ユースケさんと仲村君かなり年が離れてるよね?どんな話ししてたの?」
何故そんな事を聞いてくんだ?
しかも、何だそのニヤけた顔は?
まるで、お前の事は全部丸っと丸解りだ、とでも言わんばかりに思えてきた。
「いや、ゲームっすよ、ゲーム仲間の1人ですよ」
動揺してるのバレてないかな?
沙織はオレの目をジーっと見つめる。
ヤバい、バレたか?っていうかオレを見るな!
しかし、綺麗な目だな。
キリッとした目で、吸い込まれそうだ。
おまけにショートカットが似合い、可愛いというよりは美人と言った方が良い。
「ふ~ん、ゲームねぇ。でも何だか幸せそうだったな、あの二人。アタシも早く結婚したいなぁ」
アンタはしばらく結婚は無理だよ!
っていうか、彼氏すらいないだろがwww
あ、オレなんざもっと無理かw
「センパイ結婚できて羨ましいなぁ」
知るかよ。
今日も沙織にコキ使われるのか…
憂鬱だなぁ。
「おぅ、仲村。最近沙織と仲良いじゃねえか。もしかしてお前、沙織と付き合ってんのか?」
オレが倉庫で在庫チェックしてた時に野村がやって来た。
「まさか。オレと高橋さんがそんな関係になるわけないじゃないですか」
野村はオレが沙織と親しげにしてるのを見て、勘違いでもしてんだろうか。
「いや、お前はどっちかっつーと年上の女の方が合うんじゃないかな。お前まだ童貞だし、年上の女にリードしてもらった方が良さそうな感じがしてな」
年上?考えた事もないぞ、そんな事!
「お前、沙織の事どう思う?」
えぇ~っ!何だいきなり!
「いや、どうって。仕事教えてもらってる良きセンパイだと思ってますが」
「そうじゃねぇよ!沙織を女としてどう見てるかって事だよ」
正直に言えば沙織はいい女だと思う。
できればああいう女と初体験できたら幸せだなぁと思う事もあるが、沙織はオレを男として見てないだろうな。
「そ、そりゃ綺麗なヒトだと思いますが…」
「仲村、お前沙織と付き合ったらいいんじゃないか?沙織ならお前をリードしてくれそうだしなw」
「何言ってんすか、高橋さんはオレの事を何とも思ってないすよ」
多分、弟のような存在としてオレに接してるんだと思う。
「いや、ありゃお前に気があると思うな」
マジで?沙織がオレに?
そう考えると思い当たるフシが…
いや、ない!絶対あり得ない!
そんな事考えたら余計意識するじゃんかよ!
童貞のオレに余計な事吹き込むな!
勘違いして告白なんかしたら自殺モンじゃないか!
「ないですよ、それは。ただ単にパシりに使ってるだけですよ、オレを」
うん、そうだ!アンタと一緒でオレをパシりに使うようなヤツだ沙織は!
「じゃ、もし沙織がお前の事好きだったらどうする?」
…あり得ねえだろ、野村!
オメーの頭はそんな事しか考えてねえのかよ!
「絶っ対にないですよ、それは」
オレは語気を強めて言った。
「ていうかお前、沙織と付き合っちゃえ!大丈夫、心配すんな!アイツはお前の事を気に入ってるはずだ!な?だから付き合っちゃえよ」
何故強引にくっつけようとしてんだ、野村!
コイツ何か企んでるのか?
…っていうか、仕事しろよ、野村!
何でいつもサボってんだ、テメーは?
よく考えたらこのオッサンが仕事してるのあまり見たことがない。
何でクビになんねーんだ、このオヤジは?




