9/452
七
どのような人物も、初めてこの女性を見たら「まさか」と思う。息も止まる者もいよう、目を押さえてから二度見する者もいよう。
そう。
今はもう、立場が変わっておられるが、当時は。
『姫』だ。
君らもよく知っているね。
当時は、私よりもご年齢は上であられたが、青年といえる男よりかは、いくらか、もしくはだいぶん、お年は下…御髪(髪の毛)はヒザくらいまであられたし、端正な上怜悧なご尊顔をなされていたし、体つきも…いや、そのことではないね。
姫を見た瞬間、人がまず目を見張るのは。
…そうだね。
森の緑、海の青、空の透ける色、稲光のような輝き。
彼女の、髪と瞳だ。
姫は、頭の先から髪の毛の先にかけて、緑からだんだんと青に変わっていく不思議な髪の色と、それと同様に上から下へ、緑から青へ色が変化し、かつ、奥の方で鈍く金色に輝く瞳を持っておられた。